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街道調整編
第3話 地図を覗き込む魔法使い
木々の間を抜け、必死に街道へ戻ろうとした、そのときだった。
「――動かないで!」
凛とした声が、横合いから飛んできた。
同時に、空気が震える。
俺の横を掠めるように、青白い光が走り――
森の奥から飛び出してきた魔物の足元が、氷に覆われた。
「え……?」
「そのまま下がって。あとは私がやるから」
声の主は、ローブを纏った少女だった。
年は俺と同じくらい。
淡い紫色の髪を一つにまとめ、杖をしっかりと握っている。
「【フロスト・バインド】」
短い詠唱とともに、氷の蔦が地面から伸び、魔物を絡め取った。
残りの気配にも、正確に魔法が飛ぶ。
――早い。
しかも、無駄がない。
数分も経たず、森は再び静寂を取り戻した。
「……助かりました」
深く頭を下げると、少女は少しだけ目を見開いた。
「一人? この辺、危険区域よ」
「えっと……街道の安全確認で……」
嘘ではない。
だが、全部を話すのは躊躇われた。
少女は俺を一度見てから、ふと視線を落とした。
「……ねえ」
そう言って、俺の横――何もないはずの空間を見つめる。
「今、そこに……何か、見えてる?」
心臓が跳ねた。
「ど、どうしてそれを……?」
「やっぱり」
彼女は小さく息を吐き、興味深そうに目を細める。
「私、魔力感知が少しだけ鋭いの。
今、あなたの周りに……“魔法陣みたいな情報の流れ”を感じる」
――見えてないけど、分かる。
この人、只者じゃない。
「スキル、だと思う」
覚悟を決めて、そう答えた。
「【地図作成】」
「……地図?」
一瞬きょとんとした後、彼女の表情が変わる。
「それって……場所の情報、どこまで分かるの?」
「えっと……未踏破エリアとか、魔物の位置とか……」
言い終わる前に、彼女は息を呑んだ。
「……それ、外れじゃない」
断言だった。
「むしろ、危険。
世界の“知られていない部分”に触れるスキルよ」
その言葉に、背中がぞくりとした。
「私、リーナ。魔法使い。
さっきの魔物、あなたが気づいてたから迎撃できた」
「カイルです。助けてくれて、ありがとう」
リーナは少し考え込み、やがて言った。
「ねえ、さっき……森の奥、行こうとしてたでしょ」
「……バレてた?」
「地図が、そっち向いてた」
思わず苦笑する。
「危険度、低って表示されてたんだ」
「それ、“低”だから行っていい、じゃないからね?」
そう言いながらも、彼女はどこか楽しそうだった。
「でも……興味ある。
あなたの地図も、あの奥も」
リーナは杖を肩に担ぎ、俺を見た。
「提案。
私が護衛する。
代わりに、あなたは“案内役”」
――初めて、スキルを必要とされた。
「……よろしくお願いします」
そう答えると、リーナは小さく笑った。
「こちらこそ。
面白い冒険になりそうね、カイル」
「――動かないで!」
凛とした声が、横合いから飛んできた。
同時に、空気が震える。
俺の横を掠めるように、青白い光が走り――
森の奥から飛び出してきた魔物の足元が、氷に覆われた。
「え……?」
「そのまま下がって。あとは私がやるから」
声の主は、ローブを纏った少女だった。
年は俺と同じくらい。
淡い紫色の髪を一つにまとめ、杖をしっかりと握っている。
「【フロスト・バインド】」
短い詠唱とともに、氷の蔦が地面から伸び、魔物を絡め取った。
残りの気配にも、正確に魔法が飛ぶ。
――早い。
しかも、無駄がない。
数分も経たず、森は再び静寂を取り戻した。
「……助かりました」
深く頭を下げると、少女は少しだけ目を見開いた。
「一人? この辺、危険区域よ」
「えっと……街道の安全確認で……」
嘘ではない。
だが、全部を話すのは躊躇われた。
少女は俺を一度見てから、ふと視線を落とした。
「……ねえ」
そう言って、俺の横――何もないはずの空間を見つめる。
「今、そこに……何か、見えてる?」
心臓が跳ねた。
「ど、どうしてそれを……?」
「やっぱり」
彼女は小さく息を吐き、興味深そうに目を細める。
「私、魔力感知が少しだけ鋭いの。
今、あなたの周りに……“魔法陣みたいな情報の流れ”を感じる」
――見えてないけど、分かる。
この人、只者じゃない。
「スキル、だと思う」
覚悟を決めて、そう答えた。
「【地図作成】」
「……地図?」
一瞬きょとんとした後、彼女の表情が変わる。
「それって……場所の情報、どこまで分かるの?」
「えっと……未踏破エリアとか、魔物の位置とか……」
言い終わる前に、彼女は息を呑んだ。
「……それ、外れじゃない」
断言だった。
「むしろ、危険。
世界の“知られていない部分”に触れるスキルよ」
その言葉に、背中がぞくりとした。
「私、リーナ。魔法使い。
さっきの魔物、あなたが気づいてたから迎撃できた」
「カイルです。助けてくれて、ありがとう」
リーナは少し考え込み、やがて言った。
「ねえ、さっき……森の奥、行こうとしてたでしょ」
「……バレてた?」
「地図が、そっち向いてた」
思わず苦笑する。
「危険度、低って表示されてたんだ」
「それ、“低”だから行っていい、じゃないからね?」
そう言いながらも、彼女はどこか楽しそうだった。
「でも……興味ある。
あなたの地図も、あの奥も」
リーナは杖を肩に担ぎ、俺を見た。
「提案。
私が護衛する。
代わりに、あなたは“案内役”」
――初めて、スキルを必要とされた。
「……よろしくお願いします」
そう答えると、リーナは小さく笑った。
「こちらこそ。
面白い冒険になりそうね、カイル」
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