【完結】聖女の奇跡が止まった日

あめとおと

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祈りが、空に消えた

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――聖女視点――

 私は、祈れば救えると信じていた。

 神は正しく、
 奇跡は平等で、
 私が願えば、世界は応えてくれると。

 だから、数字の話は分からなかった。
 だから、現実的な忠告は聞かなかった。

「大丈夫です。祈りますから」

 それが、私の口癖だった。

 あの日。
 悪役令嬢と呼ばれた彼女が追放され、
 私は初めて、一人で祈った。

 けれど。

 光は、降りなかった。

 胸が冷え、指先が震える。

(どうして……?)

 神に問いかけても、答えはない。

 代わりに思い出したのは、
 いつも静かに帳簿を見ていた、あの背中だった。

 「祈りだけでは、足りませんわ」

 そう言われた気がして、
 私は初めて、目を伏せた。

 私は聖女だった。
 でも――
 世界を支えていたのは、私じゃなかった。
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