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42話
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サクラコは逆さまに吊るされ続けているせいで、額に血液が寄り集まってむくんでいき、その周囲がブヨブヨになっていくような嫌な感触を覚えていた。
そんな折、金髪の青年はアズサの七体の像を目掛けて、ツタ製の球体を一直線に放った。
物凄いスピードで球体は飛んでいき、七体の像の内、左から三番目を中心に痛烈な勢いで迫る。
先程持っていた刃物の長さからすると、その三番目のアズサは本物にしか見えない。
しかしながらそのボールは空を切り、そのまま真っ直ぐ途方もない場所まで飛んで行ってしまった。
サクラコはそれを見てホッと胸を撫で下ろす。
一方、金髪の青年はギリりと歯を軋ませながら、残りの四体の像を凝視していた。
だが、残り四体の像は相変わらずの牛歩でユラユラと陽炎のように少しずつ近づいてくるのみであった。
何かがおかしい。
だがそれにグラジオラスが気付いた時には、アズサの本体は既に青年の背中側に在った。
トスン。
刹那。肉を抉られたにしては、乾いた音がした。
アズサは青年の背中を短刀で一突きした。
――全部偽物か。
グラジオラスは下らないジョークに付き合わされたと興が醒めた。
正々堂々威風堂々、自分でそのような生き方や男を好んでいると豪語する割には、なんだこのあからさまな不意打ちはと腹が立った。
アズサが背中から短刀を抜くと、その傷口から赤い血液が流れ始める。
だが刺された背中の痛みをグラジオラスはまるで感じなかった。怒りで我を失っているのか、夢の影響だからなのかそれはわからなかった。
アズサが、すかさずもう一突きを試みる。
だが突如グラジオラスは喉に有らん限り力を込めてけたたましいボリュームの奇声を上げた。
「ァァァアァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
アズサは思わず一歩後退し、短刀を持っていない手で片耳を塞ぐ。
だがしかしグラジオラスは決して気が触れた訳でもなくむしろ冷静だった。
既に地面へ多量のツタを這わせていた。奇声はそのツタの動きを悟られぬための布石だった。
アズサは奇声によって音が掻き消されたためにツタの奇襲に気付かなかった。
即座、アズサは両足首を這ってきたツタに異常な力で掴まれ……。
そしてグキリという嫌な音がした。
「ぐあああああああああああああああああ」
今度はアズサが絶叫した。両足首の骨を折られたのだ。
その痛みは想像を絶する。
アズサは思わず握っていた短刀を地面へ落とす。
そして、刹那の内にツタはアズサの両腕や首元にも巻き付いてきた。
「く、く……」
瞬く間に全身を蔽われたアズサは呼吸をすることがままならず、加えて尋常ではない足の激痛に悶える。
そしてそんな彼女もまた、やがてサクラコの隣に逆さ吊りにされた。
そんな折、金髪の青年はアズサの七体の像を目掛けて、ツタ製の球体を一直線に放った。
物凄いスピードで球体は飛んでいき、七体の像の内、左から三番目を中心に痛烈な勢いで迫る。
先程持っていた刃物の長さからすると、その三番目のアズサは本物にしか見えない。
しかしながらそのボールは空を切り、そのまま真っ直ぐ途方もない場所まで飛んで行ってしまった。
サクラコはそれを見てホッと胸を撫で下ろす。
一方、金髪の青年はギリりと歯を軋ませながら、残りの四体の像を凝視していた。
だが、残り四体の像は相変わらずの牛歩でユラユラと陽炎のように少しずつ近づいてくるのみであった。
何かがおかしい。
だがそれにグラジオラスが気付いた時には、アズサの本体は既に青年の背中側に在った。
トスン。
刹那。肉を抉られたにしては、乾いた音がした。
アズサは青年の背中を短刀で一突きした。
――全部偽物か。
グラジオラスは下らないジョークに付き合わされたと興が醒めた。
正々堂々威風堂々、自分でそのような生き方や男を好んでいると豪語する割には、なんだこのあからさまな不意打ちはと腹が立った。
アズサが背中から短刀を抜くと、その傷口から赤い血液が流れ始める。
だが刺された背中の痛みをグラジオラスはまるで感じなかった。怒りで我を失っているのか、夢の影響だからなのかそれはわからなかった。
アズサが、すかさずもう一突きを試みる。
だが突如グラジオラスは喉に有らん限り力を込めてけたたましいボリュームの奇声を上げた。
「ァァァアァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
アズサは思わず一歩後退し、短刀を持っていない手で片耳を塞ぐ。
だがしかしグラジオラスは決して気が触れた訳でもなくむしろ冷静だった。
既に地面へ多量のツタを這わせていた。奇声はそのツタの動きを悟られぬための布石だった。
アズサは奇声によって音が掻き消されたためにツタの奇襲に気付かなかった。
即座、アズサは両足首を這ってきたツタに異常な力で掴まれ……。
そしてグキリという嫌な音がした。
「ぐあああああああああああああああああ」
今度はアズサが絶叫した。両足首の骨を折られたのだ。
その痛みは想像を絶する。
アズサは思わず握っていた短刀を地面へ落とす。
そして、刹那の内にツタはアズサの両腕や首元にも巻き付いてきた。
「く、く……」
瞬く間に全身を蔽われたアズサは呼吸をすることがままならず、加えて尋常ではない足の激痛に悶える。
そしてそんな彼女もまた、やがてサクラコの隣に逆さ吊りにされた。
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