すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜

ドラマチカ

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第四章 告白編

告白編 3

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「俺も、優しくしていたつもりでしたよ。少しでも、彼女たちの気持ちに近づければと思ってましたし……」
 彼女たち、という言葉に悠介は複数の元カノの話をしているんだ、と理解してまた胸が締め付けられた。当たり前に付き合える彼女たちが羨ましい、と思ってしまう。
「でも……どうしてもダメなんですよね……」
 柊一郎は悠介を見つめたまま、また微笑んだ。しかしその微笑みには少し寂しさが浮かんでいる。悠介はなぜか泣きたくなった。
「俺の事を好きだというのに……自分の欲求ばかりを押し付ける彼女たちを……好きになれなかったんです」
「……柊一郎さん……」
「彼女たちにとって俺は装飾品で……ステータスでしかなくて……まぁ、どのレベルのステータスなんて俺には分かりませんけど」
 こんなに優しく温かい柊一郎に、こんな寂しそうな顔させるなんてと悠介は少し腹が立った。普通に告白できて、付き合えて。それなのに。悠介は唇を噛んだ。羨望と、悔しさ。異性であるだけで容易い関係。
「そんな顔、しないでください。過去の話ですから」
 柊一郎は不服そうな様子の悠介に笑って、それでも自分のためにこんな表情をしてくれることに嬉しくなった。
「最初は、付き合うってこういうもんなのかなと思ってたんですけど……だんだん彼女たちにとって俺って何なんだろうと疑問を抱くようになって」
 柊一郎は言葉を切ってふぅ、と息を吐く。
 悠介は、なぜ柊一郎が突然こんな話を始めたのかと疑問に思うが、それでも柊一郎のことを知ることができて喜んでいる自分がいる。気持ちのいい話ではないこと残念だが。
「自分のしたいこととか、食べたい物、欲しい物。全部我慢して……相手の言いなりになって。楽しくも嬉しくもなくて……」
 悠介から視線を逸した柊一郎は、思い出しているのか視線を上に向けて顔を顰めている。そんな柊一郎に、悠介も自分の過去を思い出していた。
 
「好きってこんなにつまらないものなのかと思いました」
「柊一郎さん……」
 何と言って言葉を掛ければいいのか分からない。むしろ安易な言葉を言うよりも、その方がいいのかもしれない。そう思うと悠介は口を閉じた。柊一郎は黙り込んだ悠介に、また苦笑する。
「って言っても、相手はめちゃめちゃ嬉しそうでしたけどね。でも俺、思うんですよ……どちらか一方だけ幸せっていうのは違うんじゃないかって」
 それに関しては悠介も同じ意見だった。悠介は柊一郎の言葉に小さく頷く。
「高価なものを買ってあげて高級な飲食店に連れて行ってあげて……あそこは嫌だ、これも嫌だ。これを着てこれを持って。全部決められて……俺の意思は無視される」
 悠介はまた自分の過去を思い出した。相手が異性でも同性でも、結局は人間。何も変わらないんだと思った。

 
  
 
   
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