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ひきだしからぼたもち
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夜8時。僕はちょっとした調べ物をしていた。
そして、ペンを出そうとひきだしを開けると、そこにあったはずの文房具は消え去っていた。
その代わりに、ぼたもちが入っていた。
ぼたもち。
棚からぼたもちは聞いたことがあるが、ひきだしからぼたもちは聞いたことがない。
しかし実際、ぼたもちはそこに入っていた。
おいおい、どうすればいいっていうんだ。
「どうしたんだい、少年」
どこからか声が聞こえてきた。
でもどこから?
この部屋には僕一人きりのはずだ。ワンルームのマンション。隣は最近空き家になったばかりだから、隣の声が聞こえてくるはずもない。
「ここだよ、ここ」
声は下から聞こえてきた。まさか、と思ったが、残念ながら、そのまさかだった。
「そう、僕さ」
「ぼたもちが喋ってる」
「ぼたもちとは失礼な」
「いや、だって」
「僕はぼたもち型ロボットの、ぼたえもんだよ」
おいおい、どうすればいいっていうんだ。
「ぼたもち型ロボットってなんだよ、まさか未来からきたとかいうんじゃないだろうな」
「なんだい、知っていたのか。そうだよ、僕は未来から来た」
「未来で僕の子孫が大変なことになってる、とか?」
「いや、たまたま、ここに来ただけだ」
「たまたま?」
「そうさ、時間旅行っていうのは意外と不便でね、思った通りのところにつけないこともあるのさ」
「へえ……」
どうやら僕の知っている猫型ロボットとは訳が違うらしい。
「で、そのぼたもち型ロボットさんがどうして過去に来たんだい?」
「時間旅行っていうのは未来で流行っていてね。それで僕も流行りに乗ってみたってわけさ」
「そんな気軽なもんなのか」
「僕の時代だとね」
ぼたもちが喋っているというむちゃくちゃな世界観をはじめに受け入れてしまったからだろうか。時間旅行が意外と手軽なことに僕はもう驚かなくなっていた。
「そうだそうだ、一つ忘れていた」
「どうしたの?」
「欲しいもの、ない?」
「欲しいもの?」
「そう、巨万の富とかは無理だけど、ちょっとしたものならプレゼントするよ。時間旅行のための場所を貸してくれたお返しにね」
「このひきだしに出てきたから、そのお礼をしたいっていうことかい?」
「そう、簡単にいえばね」
「へえ」
時間旅行なんて突拍子もないことをしているかと思ったが、意外と普通なルールもあるんだな、なんてぼんやりと思った。
「じゃあ、新しいパソコンをもらおうかな。ちょっといいやつ」
僕は最近パソコンの調子が悪かったことを思い出して、そう答えた。
「わかったよ、じゃあこの時代の最新パソコンをプレゼントしよう」
ぼたもちはそういうと、しばらく黙り込んだ。
「よし、じゃあ僕は帰ろうかな」
「あれ、もういいの?」
「うん、旅行はしてきたから」
僕にはなにがなにやらわからなかったが、ぼたもちが満足できたといったなら、そういうことなのだろう。
「じゃ、また会う日まで」
「また会えるのかい?」
「さあ、それはわからないけどね」
ぼたもちがそんなあやふやなことを行ったかと思うと、一瞬ぱっと光ったかと思うと、次の瞬間にはひきだしは元にもどっていた。
気づくと時計は深夜2時を指していた。
おいおい、どうすればいいっていうんだ。
調べ物もおわっていない。けれど、早く寝ないと明日に響く。
なにやら変なものにでもばかされたのかもしれない。これは早く寝るに限るな。
僕はそう思って、ベッドに潜り込んだ。
次の日には、ぼたもちのことなんかすっかり忘れていて、僕はひきだしを開けて確かめてみることもしなかった。
それから数日経った頃である。
家にパソコンが届いた。
覚えがなかったが、どうやら何かの懸賞に当選したらしい。
パソコンが壊れかけていたし、これ幸いと思ったが、やはりかんがえてみても心当たりはなかった。
まあでも、こういう幸運もたまにはあるのかもしれない。
ひきだしからぼたもち……、いやいや、棚からぼたもち、なんて言葉もあるんだし。
そして、ペンを出そうとひきだしを開けると、そこにあったはずの文房具は消え去っていた。
その代わりに、ぼたもちが入っていた。
ぼたもち。
棚からぼたもちは聞いたことがあるが、ひきだしからぼたもちは聞いたことがない。
しかし実際、ぼたもちはそこに入っていた。
おいおい、どうすればいいっていうんだ。
「どうしたんだい、少年」
どこからか声が聞こえてきた。
でもどこから?
この部屋には僕一人きりのはずだ。ワンルームのマンション。隣は最近空き家になったばかりだから、隣の声が聞こえてくるはずもない。
「ここだよ、ここ」
声は下から聞こえてきた。まさか、と思ったが、残念ながら、そのまさかだった。
「そう、僕さ」
「ぼたもちが喋ってる」
「ぼたもちとは失礼な」
「いや、だって」
「僕はぼたもち型ロボットの、ぼたえもんだよ」
おいおい、どうすればいいっていうんだ。
「ぼたもち型ロボットってなんだよ、まさか未来からきたとかいうんじゃないだろうな」
「なんだい、知っていたのか。そうだよ、僕は未来から来た」
「未来で僕の子孫が大変なことになってる、とか?」
「いや、たまたま、ここに来ただけだ」
「たまたま?」
「そうさ、時間旅行っていうのは意外と不便でね、思った通りのところにつけないこともあるのさ」
「へえ……」
どうやら僕の知っている猫型ロボットとは訳が違うらしい。
「で、そのぼたもち型ロボットさんがどうして過去に来たんだい?」
「時間旅行っていうのは未来で流行っていてね。それで僕も流行りに乗ってみたってわけさ」
「そんな気軽なもんなのか」
「僕の時代だとね」
ぼたもちが喋っているというむちゃくちゃな世界観をはじめに受け入れてしまったからだろうか。時間旅行が意外と手軽なことに僕はもう驚かなくなっていた。
「そうだそうだ、一つ忘れていた」
「どうしたの?」
「欲しいもの、ない?」
「欲しいもの?」
「そう、巨万の富とかは無理だけど、ちょっとしたものならプレゼントするよ。時間旅行のための場所を貸してくれたお返しにね」
「このひきだしに出てきたから、そのお礼をしたいっていうことかい?」
「そう、簡単にいえばね」
「へえ」
時間旅行なんて突拍子もないことをしているかと思ったが、意外と普通なルールもあるんだな、なんてぼんやりと思った。
「じゃあ、新しいパソコンをもらおうかな。ちょっといいやつ」
僕は最近パソコンの調子が悪かったことを思い出して、そう答えた。
「わかったよ、じゃあこの時代の最新パソコンをプレゼントしよう」
ぼたもちはそういうと、しばらく黙り込んだ。
「よし、じゃあ僕は帰ろうかな」
「あれ、もういいの?」
「うん、旅行はしてきたから」
僕にはなにがなにやらわからなかったが、ぼたもちが満足できたといったなら、そういうことなのだろう。
「じゃ、また会う日まで」
「また会えるのかい?」
「さあ、それはわからないけどね」
ぼたもちがそんなあやふやなことを行ったかと思うと、一瞬ぱっと光ったかと思うと、次の瞬間にはひきだしは元にもどっていた。
気づくと時計は深夜2時を指していた。
おいおい、どうすればいいっていうんだ。
調べ物もおわっていない。けれど、早く寝ないと明日に響く。
なにやら変なものにでもばかされたのかもしれない。これは早く寝るに限るな。
僕はそう思って、ベッドに潜り込んだ。
次の日には、ぼたもちのことなんかすっかり忘れていて、僕はひきだしを開けて確かめてみることもしなかった。
それから数日経った頃である。
家にパソコンが届いた。
覚えがなかったが、どうやら何かの懸賞に当選したらしい。
パソコンが壊れかけていたし、これ幸いと思ったが、やはりかんがえてみても心当たりはなかった。
まあでも、こういう幸運もたまにはあるのかもしれない。
ひきだしからぼたもち……、いやいや、棚からぼたもち、なんて言葉もあるんだし。
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