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初恋の話
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「時に、たけし」
「なんだ、さとし」
昼休み。弁当を食べ終わってからのなんとも言えない時間。
「お前、初恋っていつ?」
「どうした急に」
さっきまで昨日見たお笑い番組の話をしていたのに、突然たけしはそんな話を切り出した。
「いや、本当に何となく気になっただけで」
「ほお」
しかし俺は分かっていた。その視線の先にいたさきちゃん(この言い回しだとオヤジギャグみたいだが、仕方ない)に。
「なんかさ、初恋って特別だよなって」
「ほう、で、お前が今抱いている気持ちが果たして初恋なのかどうかを教えて欲しい、と?」
「は、はあ?違うし、全然!」
焦るなたけしよ。全部バレてる。むしろ隠す気があるんだったら、そのすぐにちゃんの方を見ちゃうくせをやめた方がいい。
とはいえ。
こんなことで友人をからかうのは俺も本意ではない。
「あくまでこれは俺の持論なんだけども」
と、俺は前置きしてから話を始めた。
たけしは、ほう、と小さく唸って真剣に俺の話に耳を傾けているようだった。
「初恋って、更新され続けるものなんじゃないだろうか」
「初めての恋が更新される?」
「そう」
「どういうことだよ」
「俺の感覚でしかないんだけども、誰かを好きになった時って、前に好きになったと思った人に対して抱くのとはなんか違う、って思うことないか?」
「あー」
たけしは上を向きながら唸った。
こうする時は決まって誰かの言葉を噛み砕き、反芻しているのだ。
「前の人とは違う気持ちを抱く、ね。何となくわかるかも」
「そうか、なら話は早い。つまりだ、それって初恋なんじゃないか?ってことだ」
「そういうこと、か」
「ま、これはあくまで俺の考えで、事実どうなのかは分からんけども」
「知らんけど、ってやつか」
「そう、それ」
実際問題、俺もそこまで恋多き人生を送ってきた訳では無いから、なおさら確かなことは言えないが、少なくとも嘘は言っていないつもりだ。
「初恋は更新される、ねぇ」
まだたけしは納得しきれていないようではあったが、少なからず手応えは感じていたようだった。
「何にせよ、初恋でもなんでも、好きな気持ちは特別ってことだ」
「そんなもんかな」
「そんなもんさ」
俺がそう言うと、まるで示し合わせたかのように授業開始五分前の予鈴が鳴った。
「応援してるよ」
「な、何をだよ」
「さあなー」
俺は立ち上がって自分の席へと帰った。
たけしは満更でもなさそうな顔で窓の外を見ていた。
もしかして窓越しにさきちゃんをみてる?
いや、さすがにそれは無いか。
それからたけしの恋が実ったのかどうか、それは語る価値もない、と言ってしまえば、結果は分かるだろうか。
まぁ、そういうことだ。
友の初恋よ、そのまま永遠に終わらないでくれ。
「なんだ、さとし」
昼休み。弁当を食べ終わってからのなんとも言えない時間。
「お前、初恋っていつ?」
「どうした急に」
さっきまで昨日見たお笑い番組の話をしていたのに、突然たけしはそんな話を切り出した。
「いや、本当に何となく気になっただけで」
「ほお」
しかし俺は分かっていた。その視線の先にいたさきちゃん(この言い回しだとオヤジギャグみたいだが、仕方ない)に。
「なんかさ、初恋って特別だよなって」
「ほう、で、お前が今抱いている気持ちが果たして初恋なのかどうかを教えて欲しい、と?」
「は、はあ?違うし、全然!」
焦るなたけしよ。全部バレてる。むしろ隠す気があるんだったら、そのすぐにちゃんの方を見ちゃうくせをやめた方がいい。
とはいえ。
こんなことで友人をからかうのは俺も本意ではない。
「あくまでこれは俺の持論なんだけども」
と、俺は前置きしてから話を始めた。
たけしは、ほう、と小さく唸って真剣に俺の話に耳を傾けているようだった。
「初恋って、更新され続けるものなんじゃないだろうか」
「初めての恋が更新される?」
「そう」
「どういうことだよ」
「俺の感覚でしかないんだけども、誰かを好きになった時って、前に好きになったと思った人に対して抱くのとはなんか違う、って思うことないか?」
「あー」
たけしは上を向きながら唸った。
こうする時は決まって誰かの言葉を噛み砕き、反芻しているのだ。
「前の人とは違う気持ちを抱く、ね。何となくわかるかも」
「そうか、なら話は早い。つまりだ、それって初恋なんじゃないか?ってことだ」
「そういうこと、か」
「ま、これはあくまで俺の考えで、事実どうなのかは分からんけども」
「知らんけど、ってやつか」
「そう、それ」
実際問題、俺もそこまで恋多き人生を送ってきた訳では無いから、なおさら確かなことは言えないが、少なくとも嘘は言っていないつもりだ。
「初恋は更新される、ねぇ」
まだたけしは納得しきれていないようではあったが、少なからず手応えは感じていたようだった。
「何にせよ、初恋でもなんでも、好きな気持ちは特別ってことだ」
「そんなもんかな」
「そんなもんさ」
俺がそう言うと、まるで示し合わせたかのように授業開始五分前の予鈴が鳴った。
「応援してるよ」
「な、何をだよ」
「さあなー」
俺は立ち上がって自分の席へと帰った。
たけしは満更でもなさそうな顔で窓の外を見ていた。
もしかして窓越しにさきちゃんをみてる?
いや、さすがにそれは無いか。
それからたけしの恋が実ったのかどうか、それは語る価値もない、と言ってしまえば、結果は分かるだろうか。
まぁ、そういうことだ。
友の初恋よ、そのまま永遠に終わらないでくれ。
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