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プロローグ

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 おいで。おいで。こちらにおいで。

 さあ、おいで。愛しい子。

 我のところに、さあ、早く。


 まるで童歌のように軽やかに歌うようなその声が、私の背中を追いかけてくる。
 どこまでも、どこまでも。

 こわい。こわい。助けて。誰か、だれか。

 声すら出ない恐怖に襲われて、私はただ泣くことしかできなかった。
 なんの力もない私はただ怯えて震えることしかできない。

 だれか、だれか。お願い、神様。


「大丈夫。わたくしが来ました」


 唐突にそんな声が聞こえた。

 それは私にとって、まさしく神様だった。

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