私の親友

蒼キるり

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8.違和感の正体

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 親友の恋がほんの少し進展したように見えたって、本人が行動しなければそれ以上は動かないものなのだと、私はここ最近思い知った。
 あれから二人は会話すらしない。神崎は人気がある方だし、瑠衣は私しか友だちがいない。会話は発生させようと思わなければ始まらないのだ。


「話したいなぁとか思わないの」

「そんな大それたこと考えないよ」

「ふーん、そんなものなんだ」


 私にはよくわからない世界だ。休み時間に話を振ってみたけど、瑠衣は相変わらずつれない態度なので、しつこく問い詰めることはしない。


「ちょっとトイレ行ってくる」


 いってらっしゃい、と瑠衣がひらりと手を振る。
 友だち同士一緒にトイレに行く人が多いみたいだけど、私たちはしたことがない。そんな意味のないことはしない。同じ場所に入れるわけでもないのに。
 女子トイレに入ってすぐ、後にすればよかったと後悔した。
 この間もひそひそと陰口を言っていた、私たちのことをなんとなくよく思っていないのであろう人たちが揃っていたからだ。


「珍しいね、田辺と一緒じゃないなんて」


 くすくす笑いが狭いトイレの壁に反響して、馬鹿みたいに滑稽だった。
 そんな当たり前のことを言って、この人たちは何が言いたいんだろう。


「安藤ってさ、結局田辺となんなの」

「親友だよ」


 私が何も言わないから業を煮やしたらしく正面切って訪ねてくるから素直に答えた。
 それなのに鼻で笑われたから、こっちだって気分がよくない。
 どうせ瑠衣がいなくて私だけだから、ちょっとくらいキツイことを言っても大丈夫だと思っているのだろう。浅はかすぎていっそ笑える。


「ぶっちゃけ、ちょっときもいよ。いい年して親友とか。二人してずっとくっついてさ。友だちとかいないじゃん」


 確かに瑠衣以外の友だちを作る努力はしなかったけど、高校に入学してすぐいつも一緒の私たちを見て笑ったのはそっちだし、そもそもそれって他人にどうこう言われることだろうか。私たちそっちに嫌なことした覚えはないんだけど。
 私がほんの少し黙って睨んだだけで、向こうは怯えたように顔を見合わせて出て行ってしまった。
 くだらない、と思うけど瑠衣に言ったら怒られそうだから黙っていよう。
 静かになったトイレで用を済ませて教室に戻ると、なぜかそこはさっきまでとは違う異様な空気に包まれていた。
 どうしたんだろう、と少しだけ疑問に思って、すぐにその正体に気づいて寒気がした。瑠衣がさっきの人たちに囲まれていた。


「なにしてんの」


 私が近づいてそう聞いても、顔を見合わせるばかりで明確な答えは返ってこない。
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