2 / 4
第一章
第二話 ここだけは
しおりを挟む
バイトが終わり、店長に呼び出された。椿のことがあってから3日が経とうとしている。何が何だか分からない日々だ。家に帰れば『おはよう』が聞こえて『おやすみ』を交わして寝る。変わったことなんて何にも、
「安藤くんかな?私の部屋はここだぞ」
店長は俺を見るなり微笑みかけてくれるようになった。店長だけじゃない。みんなあの日から対応が違う。失敗しても叱ってこないし、間違えても慰めるだけ。それに少しの居心地の悪さをおぼえる。
「あの、要件とはどういったものですか。」
「申し訳ない。いろいろなことが一度に起こって苦しい思いをしている君に、ハードな仕事を任せすぎたみたいだ。今日から数十日間の間休息を取ってもらって構わない」
店長はそう言い残し、部屋を後にした。ハードと言っても普通の人が行う内容と変わらない。分かっていた。これが気づかいということくらい。なのにむしゃくしゃした思いが込み上げてくる。手荒にロッカーからリュックサックを取りだしてバックヤードを出た。
「ただいま」
ファー、と効果音が着きそうなくらい大きなあくびをすると視界が歪んだ。リビングに入ると昨日干す予定だった洗濯物が散乱している。
「もー、つばきが干してよ、」
部屋をまとう暗闇にそう吐き捨てた。荷物を床に脱ぎ捨てて勢いよく階段を上がる。俺の部屋は一番奥であいつの部屋は突き当たりにある。寝る時は落ち着くがためにどちらかの部屋で寝ている。まぁ、基本お邪魔している側だが。どの場所の空気も俺を落ち着かせないものばかりだが、こいつの部屋は違う。
まるで時が止まったような空間。ここだけ、身軽な思いになれる。ある写真立てにそっと触れた。とっても懐かしく感じるこの写真は、無口で愛想のない俺が何の理由もなく笑ってしまった出来事。たまたま近くを通った担任によって撮られたものだ。ホコリ被った部分を優しくはたいて抱き締める。そのまま横になると必然的に意識が遠のいた。
「安藤くんかな?私の部屋はここだぞ」
店長は俺を見るなり微笑みかけてくれるようになった。店長だけじゃない。みんなあの日から対応が違う。失敗しても叱ってこないし、間違えても慰めるだけ。それに少しの居心地の悪さをおぼえる。
「あの、要件とはどういったものですか。」
「申し訳ない。いろいろなことが一度に起こって苦しい思いをしている君に、ハードな仕事を任せすぎたみたいだ。今日から数十日間の間休息を取ってもらって構わない」
店長はそう言い残し、部屋を後にした。ハードと言っても普通の人が行う内容と変わらない。分かっていた。これが気づかいということくらい。なのにむしゃくしゃした思いが込み上げてくる。手荒にロッカーからリュックサックを取りだしてバックヤードを出た。
「ただいま」
ファー、と効果音が着きそうなくらい大きなあくびをすると視界が歪んだ。リビングに入ると昨日干す予定だった洗濯物が散乱している。
「もー、つばきが干してよ、」
部屋をまとう暗闇にそう吐き捨てた。荷物を床に脱ぎ捨てて勢いよく階段を上がる。俺の部屋は一番奥であいつの部屋は突き当たりにある。寝る時は落ち着くがためにどちらかの部屋で寝ている。まぁ、基本お邪魔している側だが。どの場所の空気も俺を落ち着かせないものばかりだが、こいつの部屋は違う。
まるで時が止まったような空間。ここだけ、身軽な思いになれる。ある写真立てにそっと触れた。とっても懐かしく感じるこの写真は、無口で愛想のない俺が何の理由もなく笑ってしまった出来事。たまたま近くを通った担任によって撮られたものだ。ホコリ被った部分を優しくはたいて抱き締める。そのまま横になると必然的に意識が遠のいた。
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
僕は今日、謳う
ゆい
BL
紅葉と海を観に行きたいと、僕は彼に我儘を言った。
彼はこのクリスマスに彼女と結婚する。
彼との最後の思い出が欲しかったから。
彼は少し困り顔をしながらも、付き合ってくれた。
本当にありがとう。親友として、男として、一人の人間として、本当に愛しているよ。
終始セリフばかりです。
話中の曲は、globe 『Wanderin' Destiny』です。
名前が出てこない短編part4です。
誤字脱字がないか確認はしておりますが、ありましたら報告をいただけたら嬉しいです。
途中手直しついでに加筆もするかもです。
感想もお待ちしています。
片付けしていたら、昔懐かしの3.5㌅FDが出てきまして。内容を確認したら、若かりし頃の黒歴史が!
あらすじ自体は悪くはないと思ったので、大幅に修正して投稿しました。
私の黒歴史供養のために、お付き合いくださいませ。
昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
虐げられた令息の第二の人生はスローライフ
りまり
BL
僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。
僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。
だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。
救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。
お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる