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第3章
逢引2※
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カイトの乳首をしゃぶりながら俺もカイトのズボンと下着を脱がした。グロテスクで赤黒い俺の性器と異なり、一回り小さく色素の薄い性器が、健気に天を向いている。
小ぶりなペニスを傷つけないよう慎重に握り、上下に手を動かす。
顔を真っ赤にしたカイトは唇を噛みしめ、快楽を逃すように、かぶりを振った。
「カイト……そんなに唇を噛むな」
小声で囁くとカイトは利き手じゃない左の手の甲を口もとへ強く押しつける。
頬が動き、己の手を噛んでいるのだと気づく。すかさず華奢な手首を掴んで口から出させた。左の手の甲は赤くなり、歯形がついていた。
「バカ! 何やってるんだよ!?」
「だって声が……誰かにこんなところを見られたら、僕たち、一巻の終わりだよ」
手や唇、舌で愛撫するたびに自然と声が口から出てしまうことを経験し、学んだカイトは、俺と厩で抱き合うときに、声が漏れ出ないようにする。前回は、そのせいで唇が切れ、血が出てしまったのだ。
幼い頃、村の子どもたちと喧嘩をしたり、父ちゃんに怒られたとき、母や姉たちに抱きしめられた。自分とは異なる、女性特有のやわらかさを感じる胸ではなく、骨と皮に、うっすら筋肉がついただけの胸にうずめていた顔を上げる。
「だったら、こうすればいいだろ」と音を立てキスをする。「俺の唇で、おまえの唇を塞ぐ。そうすれば声は出ないからな。だから自分の身体を傷つけるような真似はよせ」
「でも、ヒロ」
不安げな顔つきをして何か言い募ろうとするカイトに、もう一度、口づけて言葉を遮る。
「おまえが傷つく姿は、もう見たくねえんだよ」
「おおげさだよ、きみ」
苦笑しながらヒロは天を向いている男根を擦るのを中断した。
俺も、やつの小ぶりなものに手を添えただけの状態で動きを止める。
「この間、少し血が出ただけ。今日は、どこも怪我をしていないし、大怪我したわけじゃないのに何言ってるの?」
「おまえはガキの頃から怪我ばっかしてる。心配なんだよ。この村にやってきたときも、ひざや、ひじをひどくすりむいてたし、じいちゃんの手伝い中、獣に反撃を食らって手足の骨を骨折したこともある。具合が悪くて寝込んでるって聞いたときは肝を冷やしたよ」
「生きていくためには仕方なかったんだ。素性の知れない僕を助けてくれたおじいちゃんと、おばあちゃんに恩返しするには、山にいる獣や村を襲おうと狙う魔物・魔獣を仕留めるしかない。身を削ることで村の人たちの暴力を避けられるし、最低限の信頼を勝ち取れる。僕には魔法や魔術といった素養がないから弓矢やナイフを使って戦うしかないんだ」
「ずいぶん苦労してきたよな」
「みんな、それぞれ自分の役割があって苦労してる。僕だけじゃないよ。きみだって暑い日も、寒い日も畑を耕して重い荷物を市場まで運んだり、村の人たつを助けてる。ナイフで木の器を作っている最中に指先を切ったり、屋根の修理を頼まれたときに落っこちて頭を切ったこともあるでしょ?」
「それは、そうだけど……」
唇を尖らせていればカイトが口もとをゆるめ、穏やかに笑った。
「魔法使いや魔術師が多くいる王都や都市部なら、こんな不自由な思いをしなくて済んだかもね。子どもの頃は、この村を出て、広い世界をきみと一緒に目にできたらいいなって夢見てた。でも今の僕は足が不自由だから……」
「そういうことを言いたいんじゃねえ。俺は、ただ、おまえを大切にしたいんだ」
するとカイトは黒い目を丸くして唇を半開きにした。鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。
そんな姿もかわいいと思い、胸の辺りが熱くなる。
「おまえを伴侶にできねえのにヤることだけはヤッて説得力なんかねえって、わかってる。けど、遊びで、おまえの身体をもてあそんでるわけじゃねえ。俺の身体と同じくらい、いや、それ以上に大事なんだ。だから傷つけるようことは、しないでほしい」
「……存外バカだよね、ヒロって」
「ああ? なんだよ、唐突に」
真剣にカイトの身を案じているのに罵られるとは思いもしなかった。年上であることも忘れ、わがままを聞いてもらえなかった子どもみたいに、すねる。
「男で、家族でもない僕の身を案じるのは教会の人たちだけ。彼らは神に仕える身だから身寄りのない僕を哀れんで目をかけてくれる。子どもたちは同じように親兄弟を失った身だよ。だけど村の人たちの多くは、やっかい者扱いしてくる。家族同然のおじいちゃんと、おばあちゃん、親方も亡くなった。そんなことを言う物好きは、きみだけだよ」
「ったくバカはどっちだよ」と、さみしげな顔つきをする男の頭を拳で軽く小突いた。「言っただろ。おまえが男でも俺は――」
今度はカイトのほうが俺にキスをしてきて言葉にできずに終わる。最後まで言いたかったのにと、恨みがましい目で見つめていれば、目を潤ませる。泣き笑いのような面持ちをして頭を下げた。黒い前髪がカーテンのようになって彼がどんな表情をしているのか見えなくなる。
「……もう何もしゃべらないで。時間は無限にあるものじゃないよ。話している暇があるなら続きをシよう」
「そうだな……急がないと月や星が出て夜が来る」
俺たちは言葉を交わすのをやめ、唇を貪りあった。
小ぶりなペニスを傷つけないよう慎重に握り、上下に手を動かす。
顔を真っ赤にしたカイトは唇を噛みしめ、快楽を逃すように、かぶりを振った。
「カイト……そんなに唇を噛むな」
小声で囁くとカイトは利き手じゃない左の手の甲を口もとへ強く押しつける。
頬が動き、己の手を噛んでいるのだと気づく。すかさず華奢な手首を掴んで口から出させた。左の手の甲は赤くなり、歯形がついていた。
「バカ! 何やってるんだよ!?」
「だって声が……誰かにこんなところを見られたら、僕たち、一巻の終わりだよ」
手や唇、舌で愛撫するたびに自然と声が口から出てしまうことを経験し、学んだカイトは、俺と厩で抱き合うときに、声が漏れ出ないようにする。前回は、そのせいで唇が切れ、血が出てしまったのだ。
幼い頃、村の子どもたちと喧嘩をしたり、父ちゃんに怒られたとき、母や姉たちに抱きしめられた。自分とは異なる、女性特有のやわらかさを感じる胸ではなく、骨と皮に、うっすら筋肉がついただけの胸にうずめていた顔を上げる。
「だったら、こうすればいいだろ」と音を立てキスをする。「俺の唇で、おまえの唇を塞ぐ。そうすれば声は出ないからな。だから自分の身体を傷つけるような真似はよせ」
「でも、ヒロ」
不安げな顔つきをして何か言い募ろうとするカイトに、もう一度、口づけて言葉を遮る。
「おまえが傷つく姿は、もう見たくねえんだよ」
「おおげさだよ、きみ」
苦笑しながらヒロは天を向いている男根を擦るのを中断した。
俺も、やつの小ぶりなものに手を添えただけの状態で動きを止める。
「この間、少し血が出ただけ。今日は、どこも怪我をしていないし、大怪我したわけじゃないのに何言ってるの?」
「おまえはガキの頃から怪我ばっかしてる。心配なんだよ。この村にやってきたときも、ひざや、ひじをひどくすりむいてたし、じいちゃんの手伝い中、獣に反撃を食らって手足の骨を骨折したこともある。具合が悪くて寝込んでるって聞いたときは肝を冷やしたよ」
「生きていくためには仕方なかったんだ。素性の知れない僕を助けてくれたおじいちゃんと、おばあちゃんに恩返しするには、山にいる獣や村を襲おうと狙う魔物・魔獣を仕留めるしかない。身を削ることで村の人たちの暴力を避けられるし、最低限の信頼を勝ち取れる。僕には魔法や魔術といった素養がないから弓矢やナイフを使って戦うしかないんだ」
「ずいぶん苦労してきたよな」
「みんな、それぞれ自分の役割があって苦労してる。僕だけじゃないよ。きみだって暑い日も、寒い日も畑を耕して重い荷物を市場まで運んだり、村の人たつを助けてる。ナイフで木の器を作っている最中に指先を切ったり、屋根の修理を頼まれたときに落っこちて頭を切ったこともあるでしょ?」
「それは、そうだけど……」
唇を尖らせていればカイトが口もとをゆるめ、穏やかに笑った。
「魔法使いや魔術師が多くいる王都や都市部なら、こんな不自由な思いをしなくて済んだかもね。子どもの頃は、この村を出て、広い世界をきみと一緒に目にできたらいいなって夢見てた。でも今の僕は足が不自由だから……」
「そういうことを言いたいんじゃねえ。俺は、ただ、おまえを大切にしたいんだ」
するとカイトは黒い目を丸くして唇を半開きにした。鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。
そんな姿もかわいいと思い、胸の辺りが熱くなる。
「おまえを伴侶にできねえのにヤることだけはヤッて説得力なんかねえって、わかってる。けど、遊びで、おまえの身体をもてあそんでるわけじゃねえ。俺の身体と同じくらい、いや、それ以上に大事なんだ。だから傷つけるようことは、しないでほしい」
「……存外バカだよね、ヒロって」
「ああ? なんだよ、唐突に」
真剣にカイトの身を案じているのに罵られるとは思いもしなかった。年上であることも忘れ、わがままを聞いてもらえなかった子どもみたいに、すねる。
「男で、家族でもない僕の身を案じるのは教会の人たちだけ。彼らは神に仕える身だから身寄りのない僕を哀れんで目をかけてくれる。子どもたちは同じように親兄弟を失った身だよ。だけど村の人たちの多くは、やっかい者扱いしてくる。家族同然のおじいちゃんと、おばあちゃん、親方も亡くなった。そんなことを言う物好きは、きみだけだよ」
「ったくバカはどっちだよ」と、さみしげな顔つきをする男の頭を拳で軽く小突いた。「言っただろ。おまえが男でも俺は――」
今度はカイトのほうが俺にキスをしてきて言葉にできずに終わる。最後まで言いたかったのにと、恨みがましい目で見つめていれば、目を潤ませる。泣き笑いのような面持ちをして頭を下げた。黒い前髪がカーテンのようになって彼がどんな表情をしているのか見えなくなる。
「……もう何もしゃべらないで。時間は無限にあるものじゃないよ。話している暇があるなら続きをシよう」
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