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第5章
幸せの絶頂3※
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オレンジ色の温かみを感じさせる明かりがつき、ほのかに部屋を照らす。
まな板の鯉とかした俺は手や目線をどこにやったらわからず、挙動不審になる。
自室にいるはずなのに、べつのところにいるような錯覚を覚えた。
「そんなに緊張しないでよ」
「う、うるせえな。なんで、おまえ、そんなに余裕あるんだよ」
「余裕? ほんとに余裕があると思ってるの」
尊がパジャマの上着を脱いで俺の上に覆いかぶさった。ギシとベッドがきしみ、頭の横に尊の大きな手がある。
こいつの裸なんて、何度も見ただろ!? いくら顔が端正でも俺と同じものがついてる男だぞ。シャキっとしろ!
頭の中のもうひとりの自分が、そんなふうに怒るけど俺は尊の体から目が離せなくなっていた。色白ですべすべしてそうなきれいな肌も、均整のとれた体つきも、筋肉のつき具合も、芸術作品みたいだから……。
自分の顔も、体も十人並で尊と釣り合いがとれないんじゃないかと不安になり、身をよじって体を横にして縮こまらせる。
「……怖くなっちゃった?」
いつものようにからかったりせず、優しい声色で訊いてくる。
「あ、ああ。ただ、おまえが怖いわけじゃないんだ。その……」
ちらと尊の顔を見る。真剣な顔つきをしていた。
やっぱり今のはなかったことにして、煮るなり焼くなり好きにしろって言ったほうがいいんじゃないかと頭を悩ませていれば、そっと頭を撫でられる。
「大丈夫だから言って。葵の思っていることを、ちゃんと訊きかせてよ」
また胸がきゅっと締めつけられるように痛くなる。
でも死にそうなくらい胸が痛くて怖いんじゃない。尊に嫌われたり、今夜こそ一線を超えるという約束をなくされてしまうのが怖かったんだ。
「途中でおまえのことを萎えさせるかもしれねえし、最後までできねえかもって思ったら、なんか怖くなったんだ。それで……」
「うん、続けて」
「おまえに愛想を尽かされたり、次がなくなったらとか、ギクシャクしたくないなって思ってる。すげえ情けなくて男らしくねえことばっか言って、なんだおまえって感じだけど。だから……だから……」
そこで言葉を言えなくなってしまうと尊にそっと抱きしめられ、唇を吸われた。
「ねえ、葵……」
「……んだよ」
「僕はどんな葵でも受け入れるし、好きだよ。きみが自分で卑下する体も、顔も僕の手でとろけていくのが見たいし、感じている声だってちゃんと聞きたい」
緑の瞳を見つめている間も額や頬、鼻の頭、耳殻なんかに唇が落ちてくる。
「妄想と現実は違うんだぞ。おまえが描いていた俺と違って幻滅するかも」
「それならとっくの昔に嫌いになって、きみのそばにいないよ。ほかの子なんて眼中にないって、わかってるでしょ。僕は葵さえ恋人でいてくれれば、それで十分なんだから」
「……優しくしろよ」
「うん、もちろんだよ」
そうして唇にまたキスをされる。今度は、ちゃんとディープキス。舌と舌を絡めて俺は尊の肩に手を置いた。
互いの息も奪うようなキスが終わると、尊に上と下を脱がされ、裸に尊の大きな手が這う。
――熱くて、どうにかなりそうだ。
体中を尊の手で触られるだけで、バカみたいに気持ちよくなってる。
唇以外の場所も散々吸われてキスマークをつけられる痛みにまで感じている。
一度も感じたことのない乳首に触れられて、イケるわけないと思っていたのに、尊の手でまでこねくり回され、吸われているるうちに気づいたらイッてた。
そうして勃起しているちんこも擦られ、あっという間に二回目を放出し、放心状態になっていれば、すぐに後ろに指をくわえさせられる。中の感じるところを撫でられ、指の腹で押しつぶされる。
「……あ、尊……そこ……ダメだって……っ!」
「なんで、痛い?」
「ちが……! 気持ちよすぎる、から……ひっ、ああっ!」
「気持ちいいのに、何が問題なの?」
「バカ! 体力……ん、もたねえよ……寝ちまう……も、入れろ……」
「……そっか、わかったよ」
そうして尊の指が俺の中から出ていった。
枕を腰の下に入れられ、尊に太ももをグイと引き寄せられ、足を大きく開かされる。慣れた手つきでコンドームの封を切って、つけた。
ピタリと熱いものが尻の孔に触れるのを感じる。反射的に上へ逃げようと腰が引け、頭をベッドにぶつけそうになると「危ないよ、葵」と尊の手が頭に触れた。
「わ、悪い……いやなわけじゃなくて、その……」
「大丈夫? 今夜はここまでにしておく?」
その言葉を聞いた瞬間、さあっと全身から熱が引くのを感じた。
「い、いやだ! 尊と最後までやる!」
俺は尊の首に抱きつき、絶対離れるもんかと意思表明する。
「あんまり煽らないでよ。僕だってそんなできた人間じゃないんだよ」
「いい! このまま有無を言わさずに突っ込めよ!」
「突っ込めって……」と葵が耳元で苦笑いする。息がかかって、こそばゆいし、ゾクゾクしたものが背筋を走った。
「俺が暴れても最後まで抱け。じゃないといつまでも前に進めねえだろ!? 痛いのはやだけど、おまえと繋がれねえのは、もっとやなんだよ!」
わけもわからず泣きたい気持ちになって、気づいたらいつの間にか涙が勝手に出ていた。
まな板の鯉とかした俺は手や目線をどこにやったらわからず、挙動不審になる。
自室にいるはずなのに、べつのところにいるような錯覚を覚えた。
「そんなに緊張しないでよ」
「う、うるせえな。なんで、おまえ、そんなに余裕あるんだよ」
「余裕? ほんとに余裕があると思ってるの」
尊がパジャマの上着を脱いで俺の上に覆いかぶさった。ギシとベッドがきしみ、頭の横に尊の大きな手がある。
こいつの裸なんて、何度も見ただろ!? いくら顔が端正でも俺と同じものがついてる男だぞ。シャキっとしろ!
頭の中のもうひとりの自分が、そんなふうに怒るけど俺は尊の体から目が離せなくなっていた。色白ですべすべしてそうなきれいな肌も、均整のとれた体つきも、筋肉のつき具合も、芸術作品みたいだから……。
自分の顔も、体も十人並で尊と釣り合いがとれないんじゃないかと不安になり、身をよじって体を横にして縮こまらせる。
「……怖くなっちゃった?」
いつものようにからかったりせず、優しい声色で訊いてくる。
「あ、ああ。ただ、おまえが怖いわけじゃないんだ。その……」
ちらと尊の顔を見る。真剣な顔つきをしていた。
やっぱり今のはなかったことにして、煮るなり焼くなり好きにしろって言ったほうがいいんじゃないかと頭を悩ませていれば、そっと頭を撫でられる。
「大丈夫だから言って。葵の思っていることを、ちゃんと訊きかせてよ」
また胸がきゅっと締めつけられるように痛くなる。
でも死にそうなくらい胸が痛くて怖いんじゃない。尊に嫌われたり、今夜こそ一線を超えるという約束をなくされてしまうのが怖かったんだ。
「途中でおまえのことを萎えさせるかもしれねえし、最後までできねえかもって思ったら、なんか怖くなったんだ。それで……」
「うん、続けて」
「おまえに愛想を尽かされたり、次がなくなったらとか、ギクシャクしたくないなって思ってる。すげえ情けなくて男らしくねえことばっか言って、なんだおまえって感じだけど。だから……だから……」
そこで言葉を言えなくなってしまうと尊にそっと抱きしめられ、唇を吸われた。
「ねえ、葵……」
「……んだよ」
「僕はどんな葵でも受け入れるし、好きだよ。きみが自分で卑下する体も、顔も僕の手でとろけていくのが見たいし、感じている声だってちゃんと聞きたい」
緑の瞳を見つめている間も額や頬、鼻の頭、耳殻なんかに唇が落ちてくる。
「妄想と現実は違うんだぞ。おまえが描いていた俺と違って幻滅するかも」
「それならとっくの昔に嫌いになって、きみのそばにいないよ。ほかの子なんて眼中にないって、わかってるでしょ。僕は葵さえ恋人でいてくれれば、それで十分なんだから」
「……優しくしろよ」
「うん、もちろんだよ」
そうして唇にまたキスをされる。今度は、ちゃんとディープキス。舌と舌を絡めて俺は尊の肩に手を置いた。
互いの息も奪うようなキスが終わると、尊に上と下を脱がされ、裸に尊の大きな手が這う。
――熱くて、どうにかなりそうだ。
体中を尊の手で触られるだけで、バカみたいに気持ちよくなってる。
唇以外の場所も散々吸われてキスマークをつけられる痛みにまで感じている。
一度も感じたことのない乳首に触れられて、イケるわけないと思っていたのに、尊の手でまでこねくり回され、吸われているるうちに気づいたらイッてた。
そうして勃起しているちんこも擦られ、あっという間に二回目を放出し、放心状態になっていれば、すぐに後ろに指をくわえさせられる。中の感じるところを撫でられ、指の腹で押しつぶされる。
「……あ、尊……そこ……ダメだって……っ!」
「なんで、痛い?」
「ちが……! 気持ちよすぎる、から……ひっ、ああっ!」
「気持ちいいのに、何が問題なの?」
「バカ! 体力……ん、もたねえよ……寝ちまう……も、入れろ……」
「……そっか、わかったよ」
そうして尊の指が俺の中から出ていった。
枕を腰の下に入れられ、尊に太ももをグイと引き寄せられ、足を大きく開かされる。慣れた手つきでコンドームの封を切って、つけた。
ピタリと熱いものが尻の孔に触れるのを感じる。反射的に上へ逃げようと腰が引け、頭をベッドにぶつけそうになると「危ないよ、葵」と尊の手が頭に触れた。
「わ、悪い……いやなわけじゃなくて、その……」
「大丈夫? 今夜はここまでにしておく?」
その言葉を聞いた瞬間、さあっと全身から熱が引くのを感じた。
「い、いやだ! 尊と最後までやる!」
俺は尊の首に抱きつき、絶対離れるもんかと意思表明する。
「あんまり煽らないでよ。僕だってそんなできた人間じゃないんだよ」
「いい! このまま有無を言わさずに突っ込めよ!」
「突っ込めって……」と葵が耳元で苦笑いする。息がかかって、こそばゆいし、ゾクゾクしたものが背筋を走った。
「俺が暴れても最後まで抱け。じゃないといつまでも前に進めねえだろ!? 痛いのはやだけど、おまえと繋がれねえのは、もっとやなんだよ!」
わけもわからず泣きたい気持ちになって、気づいたらいつの間にか涙が勝手に出ていた。
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