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第5章
幸せの絶頂4※
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ボロボロ出てくる涙をそのままにして、ひしと抱きつけば「葵、泣かないで」と尊に慰められる。
俺が尊の首に回した手を緩めれば、葵が優しい笑みを浮かべた。ガキみたいに泣きじゃくる俺のことを、じっと見つめてくる。
あいつのやわらかくて薄い唇が、まぶたや頬に落ちてきた。
「……痛かったら僕の背中に爪を立ててもいいし、殴ったり、蹴ったりして逃げてね」
「しねえよ、そんなこと。おまえにできるわけねえ」
「そう?」
「そうだっつーの! おまえのことが好きなんだから」
すると尊は、なんとも言えない顔をして黙り込んでしまった。
どうしたのかと思って名前を呼んでも真顔でいる。
「んだよ、俺の気持ちが嘘だって疑ってんのか!?」
「違うよ、葵」
「だったら!」
「疑ったりなんてしてない。ただ――僕のほうがきみのことを思う気持ちが強いから」
ストレートに言われて俺の顔は、ぼっと火がついたみたいに熱くなる。
「だ、だったら問題ねえじゃねえか! なんか不都合でもあるのかよ?」
「ううん、ないよ。ごめんね、誤解させたりして」
「謝るな。謝るくらいなら……早く挿れてくれよ」
「うん……ありがとう、葵」
そうして尊と唇を重ねる。互いの舌を絡め合い、互いに口の中を探るように舐め合う。
グッと尊が体重をかければ、あいつの勃起したものが俺の中へ入ってきた。
ローションで解してあったからか、ひどい痛みは感じないで済んだ。でも違和感や異物感が半端ない。
自分の下にもついているものが、固く勃起し、ゆっくりと時間をかけて俺の体の奥へと侵入してくる。
本当に、これが尊の体の一部なのだろうかと不安を覚える。
でも目の前の尊が眉を寄せ、苦しそうな顔をして息を詰めている姿が目に映った。しっとりと汗をかき、頬を上気させている。
今、自分たちがセックスをしているんだと実感させられ、気づけば中にいる尊のことを無意識に締めつけていた。
「っ!? ちょっと葵……そんなに締めつけたら、すぐに出ちゃうんだけど?」
「は、はあっ!? し、知らねえよ! だって体が勝手に……」
「……僕が入ってきたから、うれしいってこと?」
かあっと全身が熱くなる。
「うるせえ、バカ。……ひ……ああっ!」
いっぱい尊のことを罵ってやろうとしたのに、瞬間目の前で火花が散った。言おうと思っていた言葉が出なくなり、その代わりに意味のない言葉を鳴き声のように発してしまう。
「そっか、さっき指で撫でたところ……ここだもんね。葵が一番、感じるところ……」と尊がとろけるような笑みを浮かべた。
そうして尊は奥へ入れるのをやめ、切っ先でそこを押したり、小刻みに揺さぶった。
自分で中をいじったり、尊に愛撫されたとき以上の快楽に翻弄される。何度も、何度も目の前でパチパチと火花が散って、腹の中が熱くなる。尊に幻滅されたら、どうしようと思ってたのに、そんなことは頭から飛んでいってしまった。もっと尊にそこを優しく叩かれ、こねくり回してほしい。堪らなく触ってほしくなり、声を出すのを恥ずかしいとすら思えなくなっていた。俺の足は尊が抑えてない状態でも勝手に開いたままとなる。
自由になった手で尊は、俺のももや腹、胸、腕なんかを撫でていった。唇で肌をきつく吸い、猫や犬が甘えるみたいに甘噛みされると中が勝手に締まり、先走り液が腹の上に貯まる。
「……うあっ……ん、あっ、ああ……あ……」
「葵、痛くない? 平気?」
「平気だ」と答えたくても答えられない。ただコクコクとうなずき、赤ん坊に戻ったみたいに喘ぎ、口の端から飲み込めなかった唾液を垂らす。
「かわいい、葵……感じてくれてるんだ……」
熱を孕んだような少しかすれて、いつもよりも低い声にすら肌が粟立つ。
「かわいくねえよ! どこに目ぇ、ついてるんだ!」って怒って噛みつくところなのに、まるで魔法女の子になったみたいに胸がキュンとする。
「あ、あ……あ、みこ……みこ……」
尊って名前を呼んで好きだ、愛してるって伝えたいのに伝えられないのが、もどかしい。俺は、やつの首に回していた手で尊の両頬を包む。
その手を尊が手に取り、握ってくれた。
「……うん、わかってる。……僕も好きだよ、葵……」
今まで一番きれいな笑顔をして、尊が笑いかけてくれた。それだけ胸が一杯になり、悲しくないのに涙があふれてくる。
「尊……ずっと、こうしたかった……」
「うれしいよ……僕も……」
「好きだ……おまえのことが……好き……」
俺たちは一夜をともにし、一晩中抱き合い、唇が腫れるほどキスをした。
――ずっと、これから先も尊のそばにいると思ってた。
ボロボロ出てくる涙をそのままにして、ひしと抱きつけば「葵、泣かないで」と尊に慰められる。
俺が尊の首に回した手を緩めれば、葵が優しい笑みを浮かべた。ガキみたいに泣きじゃくる俺のことを、じっと見つめてくる。
あいつのやわらかくて薄い唇が、まぶたや頬に落ちてきた。
「……痛かったら僕の背中に爪を立ててもいいし、殴ったり、蹴ったりして逃げてね」
「しねえよ、そんなこと。おまえにできるわけねえ」
「そう?」
「そうだっつーの! おまえのことが好きなんだから」
すると尊は、なんとも言えない顔をして黙り込んでしまった。
どうしたのかと思って名前を呼んでも真顔でいる。
「んだよ、俺の気持ちが嘘だって疑ってんのか!?」
「違うよ、葵」
「だったら!」
「疑ったりなんてしてない。ただ――僕のほうがきみのことを思う気持ちが強いから」
ストレートに言われて俺の顔は、ぼっと火がついたみたいに熱くなる。
「だ、だったら問題ねえじゃねえか! なんか不都合でもあるのかよ?」
「ううん、ないよ。ごめんね、誤解させたりして」
「謝るな。謝るくらいなら……早く挿れてくれよ」
「うん……ありがとう、葵」
そうして尊と唇を重ねる。互いの舌を絡め合い、互いに口の中を探るように舐め合う。
グッと尊が体重をかければ、あいつの勃起したものが俺の中へ入ってきた。
ローションで解してあったからか、ひどい痛みは感じないで済んだ。でも違和感や異物感が半端ない。
自分の下にもついているものが、固く勃起し、ゆっくりと時間をかけて俺の体の奥へと侵入してくる。
本当に、これが尊の体の一部なのだろうかと不安を覚える。
でも目の前の尊が眉を寄せ、苦しそうな顔をして息を詰めている姿が目に映った。しっとりと汗をかき、頬を上気させている。
今、自分たちがセックスをしているんだと実感させられ、気づけば中にいる尊のことを無意識に締めつけていた。
「っ!? ちょっと葵……そんなに締めつけたら、すぐに出ちゃうんだけど?」
「は、はあっ!? し、知らねえよ! だって体が勝手に……」
「……僕が入ってきたから、うれしいってこと?」
かあっと全身が熱くなる。
「うるせえ、バカ。……ひ……ああっ!」
いっぱい尊のことを罵ってやろうとしたのに、瞬間目の前で火花が散った。言おうと思っていた言葉が出なくなり、その代わりに意味のない言葉を鳴き声のように発してしまう。
「そっか、さっき指で撫でたところ……ここだもんね。葵が一番、感じるところ……」と尊がとろけるような笑みを浮かべた。
そうして尊は奥へ入れるのをやめ、切っ先でそこを押したり、小刻みに揺さぶった。
自分で中をいじったり、尊に愛撫されたとき以上の快楽に翻弄される。何度も、何度も目の前でパチパチと火花が散って、腹の中が熱くなる。尊に幻滅されたら、どうしようと思ってたのに、そんなことは頭から飛んでいってしまった。もっと尊にそこを優しく叩かれ、こねくり回してほしい。堪らなく触ってほしくなり、声を出すのを恥ずかしいとすら思えなくなっていた。俺の足は尊が抑えてない状態でも勝手に開いたままとなる。
自由になった手で尊は、俺のももや腹、胸、腕なんかを撫でていった。唇で肌をきつく吸い、猫や犬が甘えるみたいに甘噛みされると中が勝手に締まり、先走り液が腹の上に貯まる。
「……うあっ……ん、あっ、ああ……あ……」
「葵、痛くない? 平気?」
「平気だ」と答えたくても答えられない。ただコクコクとうなずき、赤ん坊に戻ったみたいに喘ぎ、口の端から飲み込めなかった唾液を垂らす。
「かわいい、葵……感じてくれてるんだ……」
熱を孕んだような少しかすれて、いつもよりも低い声にすら肌が粟立つ。
「かわいくねえよ! どこに目ぇ、ついてるんだ!」って怒って噛みつくところなのに、まるで魔法女の子になったみたいに胸がキュンとする。
「あ、あ……あ、みこ……みこ……」
尊って名前を呼んで好きだ、愛してるって伝えたいのに伝えられないのが、もどかしい。俺は、やつの首に回していた手で尊の両頬を包む。
その手を尊が手に取り、握ってくれた。
「……うん、わかってる。……僕も好きだよ、葵……」
今まで一番きれいな笑顔をして、尊が笑いかけてくれた。それだけ胸が一杯になり、悲しくないのに涙があふれてくる。
「尊……ずっと、こうしたかった……」
「うれしいよ……僕も……」
「好きだ……おまえのことが……好き……」
俺たちは一夜をともにし、一晩中抱き合い、唇が腫れるほどキスをした。
――ずっと、これから先も尊のそばにいると思ってた。
ケンカしたり、すれ違うことだってある。長くつき合っていれば倦怠期があったりしても、おかしくない。たとえそんな状態になったとしても、ふたりで乗り越えていける。
永遠じゃなくても、最期まで一緒にいられると根拠もなく信じていた。怖いものなんて何もなかったんだ。
だけど――コインには裏と表がある。
すべての人間が、嘘をつかず真っ正直なわけでもなければ、自分の気持ちをすべてさらけ出して素直に生きてるわけじゃない。
中には、呼吸をするように平然と嘘をつき、接する人によって仮面を使い分けて自分の本心を、本当の顔を誰にも見せないやつがいる。
尊は、俺と出会ったときからずっと嘘をつき、本心を天使の仮面の裏に隠していた。
その事実を思いがけない人物の登場によって知ることになるとは、このときの俺は夢にも思っていなかった。
俺が尊の首に回した手を緩めれば、葵が優しい笑みを浮かべた。ガキみたいに泣きじゃくる俺のことを、じっと見つめてくる。
あいつのやわらかくて薄い唇が、まぶたや頬に落ちてきた。
「……痛かったら僕の背中に爪を立ててもいいし、殴ったり、蹴ったりして逃げてね」
「しねえよ、そんなこと。おまえにできるわけねえ」
「そう?」
「そうだっつーの! おまえのことが好きなんだから」
すると尊は、なんとも言えない顔をして黙り込んでしまった。
どうしたのかと思って名前を呼んでも真顔でいる。
「んだよ、俺の気持ちが嘘だって疑ってんのか!?」
「違うよ、葵」
「だったら!」
「疑ったりなんてしてない。ただ――僕のほうがきみのことを思う気持ちが強いから」
ストレートに言われて俺の顔は、ぼっと火がついたみたいに熱くなる。
「だ、だったら問題ねえじゃねえか! なんか不都合でもあるのかよ?」
「ううん、ないよ。ごめんね、誤解させたりして」
「謝るな。謝るくらいなら……早く挿れてくれよ」
「うん……ありがとう、葵」
そうして尊と唇を重ねる。互いの舌を絡め合い、互いに口の中を探るように舐め合う。
グッと尊が体重をかければ、あいつの勃起したものが俺の中へ入ってきた。
ローションで解してあったからか、ひどい痛みは感じないで済んだ。でも違和感や異物感が半端ない。
自分の下にもついているものが、固く勃起し、ゆっくりと時間をかけて俺の体の奥へと侵入してくる。
本当に、これが尊の体の一部なのだろうかと不安を覚える。
でも目の前の尊が眉を寄せ、苦しそうな顔をして息を詰めている姿が目に映った。しっとりと汗をかき、頬を上気させている。
今、自分たちがセックスをしているんだと実感させられ、気づけば中にいる尊のことを無意識に締めつけていた。
「っ!? ちょっと葵……そんなに締めつけたら、すぐに出ちゃうんだけど?」
「は、はあっ!? し、知らねえよ! だって体が勝手に……」
「……僕が入ってきたから、うれしいってこと?」
かあっと全身が熱くなる。
「うるせえ、バカ。……ひ……ああっ!」
いっぱい尊のことを罵ってやろうとしたのに、瞬間目の前で火花が散った。言おうと思っていた言葉が出なくなり、その代わりに意味のない言葉を鳴き声のように発してしまう。
「そっか、さっき指で撫でたところ……ここだもんね。葵が一番、感じるところ……」と尊がとろけるような笑みを浮かべた。
そうして尊は奥へ入れるのをやめ、切っ先でそこを押したり、小刻みに揺さぶった。
自分で中をいじったり、尊に愛撫されたとき以上の快楽に翻弄される。何度も、何度も目の前でパチパチと火花が散って、腹の中が熱くなる。尊に幻滅されたら、どうしようと思ってたのに、そんなことは頭から飛んでいってしまった。もっと尊にそこを優しく叩かれ、こねくり回してほしい。堪らなく触ってほしくなり、声を出すのを恥ずかしいとすら思えなくなっていた。俺の足は尊が抑えてない状態でも勝手に開いたままとなる。
自由になった手で尊は、俺のももや腹、胸、腕なんかを撫でていった。唇で肌をきつく吸い、猫や犬が甘えるみたいに甘噛みされると中が勝手に締まり、先走り液が腹の上に貯まる。
「……うあっ……ん、あっ、ああ……あ……」
「葵、痛くない? 平気?」
「平気だ」と答えたくても答えられない。ただコクコクとうなずき、赤ん坊に戻ったみたいに喘ぎ、口の端から飲み込めなかった唾液を垂らす。
「かわいい、葵……感じてくれてるんだ……」
熱を孕んだような少しかすれて、いつもよりも低い声にすら肌が粟立つ。
「かわいくねえよ! どこに目ぇ、ついてるんだ!」って怒って噛みつくところなのに、まるで魔法女の子になったみたいに胸がキュンとする。
「あ、あ……あ、みこ……みこ……」
尊って名前を呼んで好きだ、愛してるって伝えたいのに伝えられないのが、もどかしい。俺は、やつの首に回していた手で尊の両頬を包む。
その手を尊が手に取り、握ってくれた。
「……うん、わかってる。……僕も好きだよ、葵……」
今まで一番きれいな笑顔をして、尊が笑いかけてくれた。それだけ胸が一杯になり、悲しくないのに涙があふれてくる。
「尊……ずっと、こうしたかった……」
「うれしいよ……僕も……」
「好きだ……おまえのことが……好き……」
俺たちは一夜をともにし、一晩中抱き合い、唇が腫れるほどキスをした。
――ずっと、これから先も尊のそばにいると思ってた。
ボロボロ出てくる涙をそのままにして、ひしと抱きつけば「葵、泣かないで」と尊に慰められる。
俺が尊の首に回した手を緩めれば、葵が優しい笑みを浮かべた。ガキみたいに泣きじゃくる俺のことを、じっと見つめてくる。
あいつのやわらかくて薄い唇が、まぶたや頬に落ちてきた。
「……痛かったら僕の背中に爪を立ててもいいし、殴ったり、蹴ったりして逃げてね」
「しねえよ、そんなこと。おまえにできるわけねえ」
「そう?」
「そうだっつーの! おまえのことが好きなんだから」
すると尊は、なんとも言えない顔をして黙り込んでしまった。
どうしたのかと思って名前を呼んでも真顔でいる。
「んだよ、俺の気持ちが嘘だって疑ってんのか!?」
「違うよ、葵」
「だったら!」
「疑ったりなんてしてない。ただ――僕のほうがきみのことを思う気持ちが強いから」
ストレートに言われて俺の顔は、ぼっと火がついたみたいに熱くなる。
「だ、だったら問題ねえじゃねえか! なんか不都合でもあるのかよ?」
「ううん、ないよ。ごめんね、誤解させたりして」
「謝るな。謝るくらいなら……早く挿れてくれよ」
「うん……ありがとう、葵」
そうして尊と唇を重ねる。互いの舌を絡め合い、互いに口の中を探るように舐め合う。
グッと尊が体重をかければ、あいつの勃起したものが俺の中へ入ってきた。
ローションで解してあったからか、ひどい痛みは感じないで済んだ。でも違和感や異物感が半端ない。
自分の下にもついているものが、固く勃起し、ゆっくりと時間をかけて俺の体の奥へと侵入してくる。
本当に、これが尊の体の一部なのだろうかと不安を覚える。
でも目の前の尊が眉を寄せ、苦しそうな顔をして息を詰めている姿が目に映った。しっとりと汗をかき、頬を上気させている。
今、自分たちがセックスをしているんだと実感させられ、気づけば中にいる尊のことを無意識に締めつけていた。
「っ!? ちょっと葵……そんなに締めつけたら、すぐに出ちゃうんだけど?」
「は、はあっ!? し、知らねえよ! だって体が勝手に……」
「……僕が入ってきたから、うれしいってこと?」
かあっと全身が熱くなる。
「うるせえ、バカ。……ひ……ああっ!」
いっぱい尊のことを罵ってやろうとしたのに、瞬間目の前で火花が散った。言おうと思っていた言葉が出なくなり、その代わりに意味のない言葉を鳴き声のように発してしまう。
「そっか、さっき指で撫でたところ……ここだもんね。葵が一番、感じるところ……」と尊がとろけるような笑みを浮かべた。
そうして尊は奥へ入れるのをやめ、切っ先でそこを押したり、小刻みに揺さぶった。
自分で中をいじったり、尊に愛撫されたとき以上の快楽に翻弄される。何度も、何度も目の前でパチパチと火花が散って、腹の中が熱くなる。尊に幻滅されたら、どうしようと思ってたのに、そんなことは頭から飛んでいってしまった。もっと尊にそこを優しく叩かれ、こねくり回してほしい。堪らなく触ってほしくなり、声を出すのを恥ずかしいとすら思えなくなっていた。俺の足は尊が抑えてない状態でも勝手に開いたままとなる。
自由になった手で尊は、俺のももや腹、胸、腕なんかを撫でていった。唇で肌をきつく吸い、猫や犬が甘えるみたいに甘噛みされると中が勝手に締まり、先走り液が腹の上に貯まる。
「……うあっ……ん、あっ、ああ……あ……」
「葵、痛くない? 平気?」
「平気だ」と答えたくても答えられない。ただコクコクとうなずき、赤ん坊に戻ったみたいに喘ぎ、口の端から飲み込めなかった唾液を垂らす。
「かわいい、葵……感じてくれてるんだ……」
熱を孕んだような少しかすれて、いつもよりも低い声にすら肌が粟立つ。
「かわいくねえよ! どこに目ぇ、ついてるんだ!」って怒って噛みつくところなのに、まるで魔法女の子になったみたいに胸がキュンとする。
「あ、あ……あ、みこ……みこ……」
尊って名前を呼んで好きだ、愛してるって伝えたいのに伝えられないのが、もどかしい。俺は、やつの首に回していた手で尊の両頬を包む。
その手を尊が手に取り、握ってくれた。
「……うん、わかってる。……僕も好きだよ、葵……」
今まで一番きれいな笑顔をして、尊が笑いかけてくれた。それだけ胸が一杯になり、悲しくないのに涙があふれてくる。
「尊……ずっと、こうしたかった……」
「うれしいよ……僕も……」
「好きだ……おまえのことが……好き……」
俺たちは一夜をともにし、一晩中抱き合い、唇が腫れるほどキスをした。
――ずっと、これから先も尊のそばにいると思ってた。
ケンカしたり、すれ違うことだってある。長くつき合っていれば倦怠期があったりしても、おかしくない。たとえそんな状態になったとしても、ふたりで乗り越えていける。
永遠じゃなくても、最期まで一緒にいられると根拠もなく信じていた。怖いものなんて何もなかったんだ。
だけど――コインには裏と表がある。
すべての人間が、嘘をつかず真っ正直なわけでもなければ、自分の気持ちをすべてさらけ出して素直に生きてるわけじゃない。
中には、呼吸をするように平然と嘘をつき、接する人によって仮面を使い分けて自分の本心を、本当の顔を誰にも見せないやつがいる。
尊は、俺と出会ったときからずっと嘘をつき、本心を天使の仮面の裏に隠していた。
その事実を思いがけない人物の登場によって知ることになるとは、このときの俺は夢にも思っていなかった。
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