ポメ・ポメ・パニック!〜犬猿幼なじみとあま〜い主従関係!?〜

鶴機 亀輔

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第8章

小さな友だちVS犬猿幼なじみ!?1

『へえー、三上さんとこの息子さんと仮契約結んだのか』

「そうなんですよ」

 聡太さんにLIMEライムで電話しながら、先週のできごとを話した。

「健太くん、すごくいい子で、やさしくて、子どもなのに頼り甲斐もあって、犬のぼくのお世話もしっかりしてくれます。たまに、どっちが年上? って感じで複雑な気分になっちゃうんですけど」

『まあ、おまえ高校生にしてはガキっぽいし、天然ボケだからな』

 辛辣な言葉に唇を尖らせる。

「そんなんじゃないです!」って怒ったら、ますます墓穴を掘りそうで文句も言えない。

『で、この後も、その……健太くんって子と出かけるのか』

「はい、三上さんは、お仕事がお忙しくって。ぼくは今日、レッスンがないので健太くんとアニメ映画を見るんです」

 前髪に寝癖がついていないのを確認し、手についらワックスを落とすため、ハンドソープで洗う。

 洗面所のタオルで拭き、スマホを持ち上げる。

「健太くんと話すのは楽しいから好きですよ。でも、人間の姿で出かけるとなると、おまわりさんから職務質問されないか心配です。顔も似てないから親戚のお兄さんで通せないし、ぼくと健太くんじゃ七歳も違う。今の世の中って高校生が小学生といるだけでロリコン・ショタコンって大人から思われちゃうでしょ?」

 深刻に悩んでいるののに聡太さんはケラケラ笑い始める。

『大丈夫、大丈夫。童顔のおまえじゃ、中学生くらいにしか見えないって。それに、そんなポヤポヤした能天気顔の犯罪者なんていないっつーの!』

「聡太さん、言い方! もっとオブラートに包んで言ってくださいよ……!」

『むしろオレは、おまえのほうが心配だけどな。さぎみやプロデューサーにつけ狙われてるくらいだし』

 聡太さんの言葉にぼくは乾いた笑いをこぼした。



「信・濃・くーん」

「はい」

 ガヤの出演が終わり、帰路につこうとしたら廊下で鷺ノ宮プロデューサーに声をかけられた。

 芸能界の重鎮と知り合いで、やり手だと先輩方が話している。

 細身のやさしそうなおじさんなんだけど、猛禽類みたいな目つきが、ちょっと苦手。

「いやー、今日のきみの演技もすばらしかったよ! まるで、かわいいワンちゃんがキュンキュン言ってるみたいで、聞いてたら胸が熱くなっちゃった」

「えっと……ありがとうございます」

 毎度、顔を合わせるたびに犬みたいだなんだと言われて心臓に悪い。それに――「きみのかわいい声と演技なら男の人とエッチなことしてるBLCDが売れると思うんだよね。きっと女の子たちのファンが大勢できるよー。NLのCDでも女の人に責められてる演技なら絶対バカ売れ。男のファンもできてウハウハだ。保証するよ!」

「いえ、ぼく露骨な濡れ場ありはNGなんで……」

 大人向けの作品もいずれは出演するときが来るけど、二十歳になるまでは、やめておこうってマネージャーや社長と話し合いで決めた。

 それで仕事が狭まる可能性もあるけど、硬派でまじめな新人で売っているから、そのイメージを壊したくない。

 何度もお断りしているのに鷺ノ宮プロデューサーは、ぼくに濡れ場のある仕事をどうかと聞いてくる。

「そっかー、残念だな。信濃くんはビジュアルもよくてアイドルに転向しても売れるのに」

「いえ、そんな……歌と踊りはアイドルの人たちに負けますよ。顔やスタイルだって、すごくいいわけじゃないし」

「そこはほら、整形って手もあるでしょ? 服を脱いだり、お風呂に浸かっている姿を撮った写真集でも出せば、すぐに資金も貯まるって」

「そういうのは、ちょっと……」

「そうそう、近々渋谷でナイトプールのパーティがあるんだ。会員限定なんだけど信濃くんもどう? きみがどんな水着を着て泳ぐのか見てみたいな」

「へっ?」

 急にプロデューサーの手が肩に回り、内緒話でもするみたいに顔を近づけられる。

 生理的な嫌悪でゾゾゾと悪寒が走り、真冬でもないのに鳥肌が立った。

「かわいいモデルの女の子が来るし、芸能事務所の関係者とコネも作れるよ。SNS映えするオシャレなご飯やカクテルなんかも――」

 お酒は二十歳まで飲んじゃダメ!

 親戚の結婚式や、お葬式に参加したときだって、「大人になるまで飲みません」って断ってきた。

 プロデューサーに初めて会ったとき、まだ高校を卒業してないって伝えてあるのに、なんでアルコールを勧めてくるの!?

「ごめんなさい。母に仕事が終わったら、すぐ明日の朝食に使うものを買ってくるよう頼まれているので、これで失礼します!」

 そうして脱兎のごとく逃げたのだ。



『完全にセクハラだな。つーか成人してないやつはノンアルでもグレーゾーンなのに』

「もう、なんとかならないかなーって感じで、困っているんですよね」

『マネージャーや社長に伝えとけよ。オレのほうからも言っとくから。後、おまえと健太くんが歩いても、渉が健太くんにキスしたり、トイレの個室へ無理やり連れ込んだりしない限りは、周りの連中もなーんも思わねえって』

「ぼく、そんなこと絶対にしませんよ! 同い年の好きな人がいるのに、なんで健太くんを傷つけるような真似をしなきゃいけないんですか!?」

 カバンの中身を確認し、スマホを入れて玄関のドアを開ける。
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