私の初恋

皇ひびき

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私の初恋

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 私は伯爵家の一人娘だ。11歳の頃、馬車の事故に巻き込まれた。リハビリをして歩けるように頑張ろうと周りに言われても、満足に立ち上がる事も出来なかった。

 失望が募っていき、なぜ私は今も生きているのだろうと思った。

 そんな時、幼馴染の彼がお姫様抱っこをして階下に連れて行ってくれ、椅子に車輪の様なものがついた乗り物に座らせてくれた。

「お散歩にいこう? きっとお花も見頃だよ!」

 そう言って椅子を押してくれ、庭園の花壇へと連れて行ってくれた。

 3つ年上の彼は、事故から閉ざされていた私の世界を広げてくれた。

「すごくお花がきれいね!」

 事故から塞ぎ込んでいた私を救ってくれた。忘れていた世界の眩しさを思い出させてくれた。生きていても良いのだと思わせてくれた。

 好きになるのに時間なんてそんなにかからなかったと思う。

 だからリハビリを頑張った。いくら辛くても、彼の横に杖などなくても立てるように、私は頑張った。

 そんな私が立ち上がり、ダンス場踊れなくても、お茶会や夜会に顔を出せるようになった頃、彼を見かけた。

 私には見せた事のない眩しい笑顔で、どこかの令嬢と笑い合っていた。

「そうよね…。私なんて妹の様な存在よね……」

 生きる望みもなくして可哀想だから、優しくしてくれただけ。

 私がそれを、勝手に恋と勘違いしただけ……。


 いつかまた立ち上がらなければ、そう思いながらその場を立ち去り、部屋で泣き明かす……。

 その後、彼は心配して来てくれたらしいけれど、お父さまにお願いして、二度と会う事はなかった。


 誰かに自分の生きる理由を求めては駄目だと初めて知った。その支えを失ったとき新たな支えがないと立ち上がれないから。

 今だけはたくさん泣いて、涙が枯れたら私の為に立ち上がろう。私自身のために。

 歩ける様になれただけ、私の為になったのだといつか笑える日のために。
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