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本編
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ブレスレットの魔道具を取り、オレンジ色の髪色をした猫獣人の方と紫の髪と瞳に紫色じみたメイド服を着たうさぎ獣人の方に向き直る。
「はじめまして。リフィルといいます。アレクシア様に勧誘されましてお二人の下につく事となると思います」
「もしかして、アレクシア様、また拾ったんスか? オレはセイルっス」
「まぁ、あたし達も拾われた訳だし、仲間になるのかな。あたしはフィールって言うの」
「セイル様に、フィール様ですね。私今までいた国の王子からこの森に捨てられてしまって…。本来の姿を隠したいのです。ですのでリルと呼んでください」
そう言うと、またブレスレットを再びつけ、赤髪の姿に戻る。
「勧誘した理由がこれだ」
そう言って、お二人に差し出されたリンゴ。
「初めて見たっス」
「なんか甘くていい匂い……」
お二人がそう言うと、「食べてみろ」アレクシア様が言った。
恐る恐る齧りつくお二人は、目を輝かせながら食べ尽くす。
トマトやきゅうりも不思議そうに食べている。やはり猫は肉食がメインなのか、食べるけど好きで仕方ないという感じでもない。
それに比べて、フィール様は幸せそうに、レタスやきゅうりといった野菜を、目を細めるみたいにして食べていた。
可愛い……、撫でたい…。
「これらを小屋のすぐそばで、ものの数分で作ってくれた。そういえば、あの野菜は一度きりなのか?」
「数回取れるものもありますし、一回限りのものもありますね。りんごの木はずっと取れるかと……」
「すごいな…」
少し考えるようにして口を開く。
「土質が野菜など我育つ、環境に適していなかったのでしょうね…。畑の部分だけは土質を変えたので問題なく育つかと…」
「は? こんなのが普通に育てて、食えるんスか?」
「そう思うよな……、俺も驚いた。とりあえず、ワープゲート使って城に帰るぞ。フィールリルの世話頼めるか? 命を狙われてたみたいだし、姿を変えたとは言っても一人にするのは危険だろう? 護衛も兼ねて頼む」
「リルはやじゃない? 獣人……」
「ううん! 大丈夫です。寧ろうさ耳可愛いと思いますわ!」
「ありがとうございます?」
「セイルさんもラフな感じで、素敵だと思います。アレクシア様は、変身後と本来の姿の印象がだいぶ違いますね。何というか本来のお姿の方が幼い様な?」
「これでも140歳だ! だが、なめられても困るので大人な印象に化けている…」
「そうなのですね。けれど、どちらの姿も素敵だと思いますわ」
ふいっと顔を背ける、アレクシア様から「とっとと。手紙を書け!」と急かされ、私は急いで、近況をしたためるのだ。
「はじめまして。リフィルといいます。アレクシア様に勧誘されましてお二人の下につく事となると思います」
「もしかして、アレクシア様、また拾ったんスか? オレはセイルっス」
「まぁ、あたし達も拾われた訳だし、仲間になるのかな。あたしはフィールって言うの」
「セイル様に、フィール様ですね。私今までいた国の王子からこの森に捨てられてしまって…。本来の姿を隠したいのです。ですのでリルと呼んでください」
そう言うと、またブレスレットを再びつけ、赤髪の姿に戻る。
「勧誘した理由がこれだ」
そう言って、お二人に差し出されたリンゴ。
「初めて見たっス」
「なんか甘くていい匂い……」
お二人がそう言うと、「食べてみろ」アレクシア様が言った。
恐る恐る齧りつくお二人は、目を輝かせながら食べ尽くす。
トマトやきゅうりも不思議そうに食べている。やはり猫は肉食がメインなのか、食べるけど好きで仕方ないという感じでもない。
それに比べて、フィール様は幸せそうに、レタスやきゅうりといった野菜を、目を細めるみたいにして食べていた。
可愛い……、撫でたい…。
「これらを小屋のすぐそばで、ものの数分で作ってくれた。そういえば、あの野菜は一度きりなのか?」
「数回取れるものもありますし、一回限りのものもありますね。りんごの木はずっと取れるかと……」
「すごいな…」
少し考えるようにして口を開く。
「土質が野菜など我育つ、環境に適していなかったのでしょうね…。畑の部分だけは土質を変えたので問題なく育つかと…」
「は? こんなのが普通に育てて、食えるんスか?」
「そう思うよな……、俺も驚いた。とりあえず、ワープゲート使って城に帰るぞ。フィールリルの世話頼めるか? 命を狙われてたみたいだし、姿を変えたとは言っても一人にするのは危険だろう? 護衛も兼ねて頼む」
「リルはやじゃない? 獣人……」
「ううん! 大丈夫です。寧ろうさ耳可愛いと思いますわ!」
「ありがとうございます?」
「セイルさんもラフな感じで、素敵だと思います。アレクシア様は、変身後と本来の姿の印象がだいぶ違いますね。何というか本来のお姿の方が幼い様な?」
「これでも140歳だ! だが、なめられても困るので大人な印象に化けている…」
「そうなのですね。けれど、どちらの姿も素敵だと思いますわ」
ふいっと顔を背ける、アレクシア様から「とっとと。手紙を書け!」と急かされ、私は急いで、近況をしたためるのだ。
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