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本編

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 両親にアレク様、セイルにフィール、それに私6人分持ってきたハンバーガーとフライドポテト、それに先日植えて収穫し、じっくりと炒ったコーヒー豆を、風の魔法で小さく砕いてもらい、布で漉してコーヒーを淹れてきた。

「砂糖と乳はお好みで入れてくださいね。温かいうちにどうぞ…」

「この黒い飲み物……。すごく香ばしくて、いい香りがするな」

 アレク様が、コーヒーの薫りを楽しみながら言った。

「そのままでは、とても苦いらしいですよ? 乳と砂糖を入れた方が宜しいと思いますよ」

「これらをリフィが作ったのか…。娘の手料理を食べられるとは……。感無量だよ」

「わたくしはリフィの言う通りにしてみようかしら…」

 そう言うと、乳白色の液体と砂糖を2杯入れる。

「リル……。これはカトラリーがついてないけど…」

「手に持って、いただくみたいです。夢だと、フライドポテトと一緒に楽しんでいたみたいです……」

「それじゃあ、頂こう」

 皆思い思いに食べコーヒーも気に入ったみたい。アレクシア様とお父様がストレート。セイルが乳だけ入れて、お母様とフィールと私が、乳と砂糖を入れるとやっと美味しく飲めるとわかった。

 ハンバーガーの中のお肉が評判で、おかずとして単品で食べれると話したら、今晩また食べたいと言われた。料理人の方にお願いしなきゃ…。

 サラダとスープにハンバーグで、良いのだろうか……。彼らに作り方を教えてお願いしよう…。

 食事の際にパンとライスどちらも選べるようになった。マクレーン領地にいた者がパン作りを一部の人が担当してくれている。

 魔族領の物が、食料になる魔獣狩り、魔法を使って精米したりを、担当してくれているらしい。

 共同では畑の作物の管理、そして布作りや服作り、防具作り等、今までの生活で培った方法を魔族の方に、少しずつ教えて共存に向けての一歩を踏み出しているらしい。

 そんな事を考えていると、母の楽しげな声が聞こえた。

「お肉が柔らかくて美味しいわね。リフィちゃんがこれを作ってくれたなんて……」

「喜んでもらえて何よりです」

 私は照れながら微笑む。ふと視線を感じて、顔を向けると、アレク様がこちらを見ている? しばらく様子を伺っていると、パチリと視線があい、アレク様が赤い顔をして、フイっと目を逸らした。

『どうしたのかしら…。熱でもあるのでしょうか……。あとで、冷やしたモモでも持って来て、食べて頂きましょう……』

 熱があるのを、みんなに隠したいのかしら……。そんな見当違いな事を、うつうつと考えながら、食事を進めた。
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