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本編
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「お花綺麗……」
わたくしはしゃがみこんで、小さな花を愛でる。
『ドレスが汚れてしまうよ』
そう家族には怒られてしまうけれど、庭の花々をそうして見るのはとても好きだった。
金髪にアメジストの様な
、紫色の瞳を持つお父様。銀髪に碧の瞳を持つお母様、その間にわたくしは産まれた。
両親の間には、私だけではなく、銀髪にアメジストの瞳を持つ自慢のお兄様がいて、仲のいい家族だ。
「このお花をお兄様に差し上げたら喜んでくださるかしら?」
「どうでしょうか? けれど、レイシアお嬢様がお渡しになるのであれば、レイスお坊ちゃまは、なんでも喜んでしまいそうですが…」
「………。確かにそうかもしれないですわね…。うちの家族は、わたくしへの溺愛が過ぎますもの…」
美しい父、母、そして兄…。彼らに愛されて嬉しいけれど、わたくし自身返せるものがないのが、辛くもあり、恥ずかしくもある。
せめて気持ちだけでもと、庭の花々を家族のみんなにプレゼントするのが日課なのです。
お兄様は、なんでもわたくしが差し上げたものなら、「宝物にするよ!」とわたくしに笑顔を向け、ぎゅっと抱きしめてくれる。
兄妹でなければ、距離感が近かすぎて、違う意味だと勘違してしまいそうな程に……。
「お兄様! 兄妹でも近すぎませんこと?」
幻覚でしょうか…。シュンと垂れた耳と尻尾が、見えた気がしたのは…。
お父様もお母様もお兄様も、魔術も剣術もすごく強くて、まだ魔術の覚醒すら出来ていないわたくし自身は、コンプレックスでもあります。
本当は雰囲気が家族と似ている子を、拾ってきたと言われても納得をしてしまいそうですわ…。
でもそれですと、溺愛されている理由がわかりませんわね。
またある時、わたくしは雨上がりに庭へと、メイドのティーファを連れてでてきました。
普段ならあまり通らない道に、ふと呼ばれるようにして、庭にある階段の下に、物珍しい綺麗な花が咲いているのを見つけました。
「ティーファ! あのお花は珍しいですわ! きっとみんな喜んでくれますわ!」
階段の脇にひっそりと咲き誇る花は、光の加減で色合いが変わるみたいでとても美しいのです。
早く近くで見てみたいですわ! そんな欲求からか勢いよく階段を駆け下りてしまったのです。はしたなかったかもしれませんわねと、スピードを落とそうとするも階段にまだ残っていた水たまりに足が滑ってバランスを崩して階段から落ちてしまっうわたくし。
わたくしは強く頭を打ったみたいで、額に痛みを感じ、体温が少しずつ抜け落ちていくみたいに感じだけが感じられました。血を流しすぎているのかしら……。
「お嬢様! お嬢様! しっかりなさって下さい! 助けを呼んで参ります!」
遠くからそんな声が聞こてた気がした。『泣かなくていいのに……、ティーファったら、泣き虫ね……』
そんなことをぼんやりと思いながら、わたくしの意識は闇にのまれていったのです……。
わたくしはしゃがみこんで、小さな花を愛でる。
『ドレスが汚れてしまうよ』
そう家族には怒られてしまうけれど、庭の花々をそうして見るのはとても好きだった。
金髪にアメジストの様な
、紫色の瞳を持つお父様。銀髪に碧の瞳を持つお母様、その間にわたくしは産まれた。
両親の間には、私だけではなく、銀髪にアメジストの瞳を持つ自慢のお兄様がいて、仲のいい家族だ。
「このお花をお兄様に差し上げたら喜んでくださるかしら?」
「どうでしょうか? けれど、レイシアお嬢様がお渡しになるのであれば、レイスお坊ちゃまは、なんでも喜んでしまいそうですが…」
「………。確かにそうかもしれないですわね…。うちの家族は、わたくしへの溺愛が過ぎますもの…」
美しい父、母、そして兄…。彼らに愛されて嬉しいけれど、わたくし自身返せるものがないのが、辛くもあり、恥ずかしくもある。
せめて気持ちだけでもと、庭の花々を家族のみんなにプレゼントするのが日課なのです。
お兄様は、なんでもわたくしが差し上げたものなら、「宝物にするよ!」とわたくしに笑顔を向け、ぎゅっと抱きしめてくれる。
兄妹でなければ、距離感が近かすぎて、違う意味だと勘違してしまいそうな程に……。
「お兄様! 兄妹でも近すぎませんこと?」
幻覚でしょうか…。シュンと垂れた耳と尻尾が、見えた気がしたのは…。
お父様もお母様もお兄様も、魔術も剣術もすごく強くて、まだ魔術の覚醒すら出来ていないわたくし自身は、コンプレックスでもあります。
本当は雰囲気が家族と似ている子を、拾ってきたと言われても納得をしてしまいそうですわ…。
でもそれですと、溺愛されている理由がわかりませんわね。
またある時、わたくしは雨上がりに庭へと、メイドのティーファを連れてでてきました。
普段ならあまり通らない道に、ふと呼ばれるようにして、庭にある階段の下に、物珍しい綺麗な花が咲いているのを見つけました。
「ティーファ! あのお花は珍しいですわ! きっとみんな喜んでくれますわ!」
階段の脇にひっそりと咲き誇る花は、光の加減で色合いが変わるみたいでとても美しいのです。
早く近くで見てみたいですわ! そんな欲求からか勢いよく階段を駆け下りてしまったのです。はしたなかったかもしれませんわねと、スピードを落とそうとするも階段にまだ残っていた水たまりに足が滑ってバランスを崩して階段から落ちてしまっうわたくし。
わたくしは強く頭を打ったみたいで、額に痛みを感じ、体温が少しずつ抜け落ちていくみたいに感じだけが感じられました。血を流しすぎているのかしら……。
「お嬢様! お嬢様! しっかりなさって下さい! 助けを呼んで参ります!」
遠くからそんな声が聞こてた気がした。『泣かなくていいのに……、ティーファったら、泣き虫ね……』
そんなことをぼんやりと思いながら、わたくしの意識は闇にのまれていったのです……。
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