【本編完結】貴方のそばにずっと、いられたらのならばいいのに…。

皇ひびき

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本編

44(レイス視点)

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 レイが泣きつかれてまた眠ってしまった。可愛らしい寝顔に思わず癒やされる。視界に入ってくる。身動ぎを感じ、僕も眠っていたことに気がつく。手を握っていたせいか、すごく幸せな目覚めだ。

「起きたの?」

 僕が辛うじてそういうと、レイは口を開いた。

「はい…。私…、長い時間寝てましたか?」

 また眠り込んでしまったのか心配になったらしい。

「1時間くらいかな。可愛い寝顔を堪能させてもらったよ…」

「うぅ……」

 唸るしかできない様子のレイが愛おしい。

「あ…、そういえば…、父上と母上が頼みたい事があるって言ってたよ。その前に…。レイの為と料理長達が改良を重ねたパンで、腹拵えした方がいいよ」

僕は2種類のパンとパンチェッタを、アイテムバッグから取り出す。

「あ~ん」

 そう言って、口元へと差し出す。

「レイス様は、そんな事しない人では…?」

 苦し紛れといった様子で、僕に真っ赤な顔で言い放つ。

「そうかもしれないね。だけど、レイにはしたいんだよ。駄目?」

 そう言って、様子を伺うと真っ赤な顔で唸って反意を訴える様子も愛らしい。

「うぅぅ~…」

「それに、さっきはレイスと呼んでくれたのに……、戻ってる……!」

 呼び捨てがすぐに出来ないのは、なんだかわかった。

「うぅ…、呼び捨ては勇気がいるんです!」

「じゃあ、代わりに食べてくれるよね、はいあ~ん」

 観念したように、仕方なく口を開けて咀嚼するレイ。

「あ…、クルミ入り……。柔らかくて美味しい…」

「レイのレシピから、アレンジしたんだって。試行錯誤しながら作ったみたいだから、褒めてあげたら喜ぶと思うよ。ハイあ~ん」

「話の切れ間にあたり前のように、食べさせるのはどうなんでしょう、レ…イス…」

 僕は頬を膨らまさせ、自分で食べれるとアピールするレイを、華麗にスルーして食べさせ続ける。

「膨れてても可愛いよ」

「もう…、意地悪です…」  

 僕はもう気がつかない振りはやめたんだ…。失ってからでは遅すぎることも、後手に回って誰かに奪われるのも嫌だから。

「なんかそんなキャラじゃなかったですよね……?」

「うーん。そうだな…、誰かに奪われたりしない内に、こっち見て貰わないとなって思って…」

「そうですか……」

 いままでと態度が違うと言われても、レイが大切だと気がついた。

「まずは、ウシやニワトリの召喚かな。数匹召喚して繁殖させる案が濃厚かな。じゃあ裏庭に行こう!」

 そういった僕は、レイの手を恋人繋ぎにして、案内するように部屋から連れ出すのだった。
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