新たな世界へ導かれた俺と、迎え入れてくれたきみ。

皇ひびき

文字の大きさ
7 / 38
仲良くなれるのか?

4★

しおりを挟む
 なんだかよくわからないうちに、あおという名前のせいもあり、帰国子女の…ホームステイという、設定が決まったようだった。

「オバサンとか、呼ばれるのはまだヤだし、千聖ちさとさんとでも呼んでね。ちょっと忘れ物したから出てくるわ。めいちゃんとの、お留守番よろしくね~」

 そう言うと、帰ってきてあまり時間も経たないのに、めいの母親改め、千聖ちさとさんが慌ただしく、出かけていった。

 仕方なくあおは、めいの眠る部屋へと向かうと、ベッドの脇へと座り込んだ。

「マジか……」

 千聖ちさとの対応が、信じられなかったせいで、思わずといったように口から漏れた言葉。

 出ていく覚悟はしてたけれど、その後どう生きて行くかはわからない…。

 それでも、出ていくつもりでいたのだ。拍子抜けした様な、複雑な気分を味わうあお

 けれど、泣きつかれて眠るめいを見ると、不思議ではあるけれど、もう少しそばにいて、励ましてやりたい。力になってやりたい様にも感じられる。

「俺もお人好しが過ぎるだろ…。この家の奴らもだが…」


 相変わらず、めいは眠りについたままだ。

 しばらくして、千聖ちさとさんが帰って来た。やる事もないし、なんか手伝える事はあるかと聞く。

 すると、まるで関係ないことを千聖ちさとさんに聞かれた。

「服装は着替えられるのか」と。

「まぁ……、着替えられるけど…」

 そう答えると、喜々として服を大量に渡された。


 手渡された服は、アロハシャツ……。黄色い生地にハイビスカスの花をあしらったものや、白地に派手なピンクで花がプリントされたもの。
 ヤシの木の柄やフラミンゴの柄まである。
 比較的地味なデザインにみえた、薄いデニム生地に、白い糸で花をかたどった刺繍のされているシャツを着てみる。

 用意されていた姿見を見てみるも、まぁ悪くはないかもしれない。

 元々身につけていた、黒みがかったウォッシュデニムとも、褐色の肌にも思いの外合っている気がする。

「はい、これも!」

 そう言うと千聖ちさとさんが、深い色合いのウクレレを手渡してくる。

「……まさかと思いますけど、このためだけに出かけてたなんて事は……」

 ないですよね? あおが言いかけたその時に、言葉を遮られた。

「合わせる為に決まってるじゃない!」

 呆れた様にウクレレを見つつ、あおは言った。

「俺、文鳥なんでこんなの渡されても、弾けませんよ……」

「ポーズでも、イケメンが楽器持ってたら様にならない?」

「……」

 あおは、千聖ちさとさんはこんな人か……。とことんマイペースだな……。そんな事を、遠い目をしつつ思った。

 めいが気になるとはいえ、小鳥遊たかなし家にお世話になるのは早まっただろうか…。

 そんな事を、つい考えてしまうあおだった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています

猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。 しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。 本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。 盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。

処理中です...