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出逢い 樹里視点
2★
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★★★
小鳥さんのために、卵とお粥それに缶詰のコーンを擦り潰したものを、冷ましてから食べさせようと作ってみた。食べてくれるかしら…。
…なんて心配しながら、小鳥さんが起きるまで待とうとしていると、元気のなかった顔を上げて、小鳥さんは弱々しくお礼の様にピィョ…と鳴いてくれた。
少しは元気になったのかな?
★★★
「ご飯食べれるかな?」
そう声をかけると、嬉しそうに顔を上げてくれた気がしたのは気のせいかな…。
「私達は君たちの言葉がわからないから、都合よく解釈しちゃうんだよ?ご飯食べれるだけ食べてね。今持ってくるから、ちょっとまってね……」
コーヒー用だけど、大きめのマドラースプーンに、小鳥さんのために作っておいた、重湯のお皿をそっと手に取る。
熱くはないかな?そう思いながらも、フゥーと息を何度か吹きかけ、冷ましてから口元に運ぶ。
少しでも食べてくれるのかしら……、ドキドキしながら小さな命の選択を待つ。
はくりと大きな口を開けて、重湯を食べてくれる小鳥さん。雛ちゃんみたいでめっちゃ可愛い!
「ピィー……」
少し力を取り戻したようなお声で、口を開けて、おねだりする小鳥さん。私の心はもう、小鳥さんに持っていかれている気がしますよ。君、咬みついても仕方ないのに耐えてくれるし、我慢強くてその上に可愛すぎるとか!
おねだりがなくなるまで、口元にスプーンを持っていって、その愛らしさに悶絶する私。
★★★
食べ終わったのを見届けると、ティッシュで口元を優しく拭ってあげる。しっかり睡眠させないと。あとはこの子の生命力が、まだあるかの問題なのかもしれない。
だけど希望は捨てたくないよね、そう思う。
「また明日もう少し元気なお顔を見せてね」
そう声をかけて言霊に頼るのみだ。
そばで見ていてあげたい。万が一の時に看取ってあげたいのは本当。でも小鳥さんは安心して眠れないだろうから…。箱の上にタオルを乗せて、少しでも寝やすい空間を作ってあげる。
★★★
「よし。私は仕事でもしますか!」
そう言ってそばに置いていた、ペンタブに手を伸ばす。たまにカサリと箱の方から、物音がするのを確認しつつ作業を進めた。
★★★
でもここ何日かの引っ越し作業での疲れが、尾を引いていたのか私は明け方に寝落ちたみたい。
「あの子は!?」と箱の中を見に行くと、眠そうな表情でこちらを見上げていた。
「昨日と同じで良ければ、ご飯食べる?」
そう声をかけると、「ピヨピヨ」と嬉しそうに囀る小鳥さん。マジで可愛いなこの子。飼って育ててみたくなっちゃう。多分…、人馴れしてるから、飼われてた子だろうか。
ずっと一緒にいられるなんて、思っちゃ駄目なのに……。期待してしまいそう。
「準備してくるから待ってて?」
つるりとした頭を、傷に触れないように一撫ですると、嬉しそうに目を閉じてくれる小鳥さん。
元気になったらきっとすぐに、お別れなんだろうな。こんなに馴れてるんだから、飼われてた子なら飼い主さん、すごく心配してるよね。少し淋しさを覚えつつ、またマドラーでご飯を与える。
★★★
嘴を拭いていると、見慣れないものが小鳥さんの体のそばに落ちていた。レモンの種のようなサイズのもの。
何かの種?なんでこんなものがここに?
恩返しに小鳥さんがくれた、そんな気持ちになり、大切に育てるね。そういって裏庭に埋めてお水をあげてみた。
あれ?なんだかこの種おかしくない!?
なんという事か、お水をかけてあげた直後から、にょきにょきとあっという間に木になったのだ。
なんだろう、疲れてて白昼夢でも見てるのかな~。夢オチだよね……?そんなことを考えながら、現実逃避する私だった。
小鳥さんのために、卵とお粥それに缶詰のコーンを擦り潰したものを、冷ましてから食べさせようと作ってみた。食べてくれるかしら…。
…なんて心配しながら、小鳥さんが起きるまで待とうとしていると、元気のなかった顔を上げて、小鳥さんは弱々しくお礼の様にピィョ…と鳴いてくれた。
少しは元気になったのかな?
★★★
「ご飯食べれるかな?」
そう声をかけると、嬉しそうに顔を上げてくれた気がしたのは気のせいかな…。
「私達は君たちの言葉がわからないから、都合よく解釈しちゃうんだよ?ご飯食べれるだけ食べてね。今持ってくるから、ちょっとまってね……」
コーヒー用だけど、大きめのマドラースプーンに、小鳥さんのために作っておいた、重湯のお皿をそっと手に取る。
熱くはないかな?そう思いながらも、フゥーと息を何度か吹きかけ、冷ましてから口元に運ぶ。
少しでも食べてくれるのかしら……、ドキドキしながら小さな命の選択を待つ。
はくりと大きな口を開けて、重湯を食べてくれる小鳥さん。雛ちゃんみたいでめっちゃ可愛い!
「ピィー……」
少し力を取り戻したようなお声で、口を開けて、おねだりする小鳥さん。私の心はもう、小鳥さんに持っていかれている気がしますよ。君、咬みついても仕方ないのに耐えてくれるし、我慢強くてその上に可愛すぎるとか!
おねだりがなくなるまで、口元にスプーンを持っていって、その愛らしさに悶絶する私。
★★★
食べ終わったのを見届けると、ティッシュで口元を優しく拭ってあげる。しっかり睡眠させないと。あとはこの子の生命力が、まだあるかの問題なのかもしれない。
だけど希望は捨てたくないよね、そう思う。
「また明日もう少し元気なお顔を見せてね」
そう声をかけて言霊に頼るのみだ。
そばで見ていてあげたい。万が一の時に看取ってあげたいのは本当。でも小鳥さんは安心して眠れないだろうから…。箱の上にタオルを乗せて、少しでも寝やすい空間を作ってあげる。
★★★
「よし。私は仕事でもしますか!」
そう言ってそばに置いていた、ペンタブに手を伸ばす。たまにカサリと箱の方から、物音がするのを確認しつつ作業を進めた。
★★★
でもここ何日かの引っ越し作業での疲れが、尾を引いていたのか私は明け方に寝落ちたみたい。
「あの子は!?」と箱の中を見に行くと、眠そうな表情でこちらを見上げていた。
「昨日と同じで良ければ、ご飯食べる?」
そう声をかけると、「ピヨピヨ」と嬉しそうに囀る小鳥さん。マジで可愛いなこの子。飼って育ててみたくなっちゃう。多分…、人馴れしてるから、飼われてた子だろうか。
ずっと一緒にいられるなんて、思っちゃ駄目なのに……。期待してしまいそう。
「準備してくるから待ってて?」
つるりとした頭を、傷に触れないように一撫ですると、嬉しそうに目を閉じてくれる小鳥さん。
元気になったらきっとすぐに、お別れなんだろうな。こんなに馴れてるんだから、飼われてた子なら飼い主さん、すごく心配してるよね。少し淋しさを覚えつつ、またマドラーでご飯を与える。
★★★
嘴を拭いていると、見慣れないものが小鳥さんの体のそばに落ちていた。レモンの種のようなサイズのもの。
何かの種?なんでこんなものがここに?
恩返しに小鳥さんがくれた、そんな気持ちになり、大切に育てるね。そういって裏庭に埋めてお水をあげてみた。
あれ?なんだかこの種おかしくない!?
なんという事か、お水をかけてあげた直後から、にょきにょきとあっという間に木になったのだ。
なんだろう、疲れてて白昼夢でも見てるのかな~。夢オチだよね……?そんなことを考えながら、現実逃避する私だった。
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