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出逢い 雪視点
雪視点3★
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彼女が僕のそばに戻ってきた。
「もうすぐお別れなのかな」って言葉が聞こえてきた。僕はすごく心が痛くて思わず気持ちを伝えそうになった。なぜだろう僕もここにいたい…。
『僕そばにいちゃ迷惑??』
貴女さえ望んでくれるのなら、僕はずっとそばにいたい。思わず漏れた思い。不意に彼女は周りを見回すとその後、大きな瞳をこちらに向けている。
「君のはずはないよね??」
え?僕の思いが伝わったの?
そんな事、余程の思いや絆がなければ、ありえないはずなのに。いつも貴女は僕の予想を裏切って、僕の心を引き込んでいく。
ドキドキしてる僕を余所に、「心配だから君もねー」と、軽く声かけられて、寝室に僕も運ばれていく。
★★★
出会ったばかりなのに、今はただの鳥でしかないのに…。こんなにこの人は心配してくれるんだ。温かい気持ちをくれるんだ…。なにやら笑いたい様な泣きたい様な、もどかしい思いに襲われる。
寝室で寝る事を決めたのか、時計をいじって彼女は布団に入っていく気配がする。
「おやすみなさい…」
★★★
僕は箱から出て、助けてくれた彼女のそばに歩み寄ろうとした。妖力が回復してた為に人形に戻れそうだから、彼女が起きたら話してみよう。怖がられ嫌われたら悲しいけど、そばにいたいなら踏み出すこと。それしかない気がする。
彼女の寝顔をみていたら、なんだか僕まで眠くなってきた。僕はしらずしらずの間に意識を手放してしまった。
★★★
ピピピピ…と時間の訪れを知らせる電子音のアラームが鳴り出す。まだ体調が完全でなくて、安心の為か意識がふわふわして、うまく覚醒できない。
「へ?誰?迷子!?」
そんな声に、僕も段々と意識が覚醒してくる。
「んん……」
僕はゆっくりした動きで、ムクリと起き上がり両目を擦る。
この状況を夢だとでも思ったのかな。僕は彼女を見て思わず抱きついていた……。
「助けてくれてありがとうございます!!貴女が、龍脈に木を植えてくれたおかげで、早く回復できました!!」
彼女はぽかんとした顔で僕を見てる。
「は?君は誰なの??なんでここにいるのかな?」
思いの外突き放した返答に、涙目になる僕。寝起きで今の姿についての説明をしてないことなんて、すっかり頭から吹っ飛んでいたんだ。
やっと話せてお礼を言える!!
もし良ければ、僕をそばに置かせて欲しい。そんな話も気持ちも、今すぐに伝えたかったから、気持ちばかりが焦っていたのかもしれない。
「僕を助けてくれた恩人なのに……!わかって貰えないなんてっ!」
優しさが嬉しかった分、悲しくて気持ちを抑えられなくて、ギャン泣きした。僕はもう40年は生きてるあやかしなのに子供みたいだ。
「泣き止んで?」
彼女は困ったような顔をして、宥める様に僕の背中を撫でる。
「いつっ……」
まだ残ってる傷が引きつる様に疼いて、少し呻く様に声を上げる。僕は思わず身動ぎしてしまった。
「泣かせてごめんね……。お願いだから泣き止んで??」
「昨日は助けてくれたのに……、もう僕の事忘れてるなんてショックです……。朝もご飯くれたのに…。僕のお顔って…、そんなにインパクトが無いのかな……」
彼女は困惑したように、小鳥さんと呼んでいた僕の寝床と僕を見比べる。
「もしかして、わかってくれたんですか!?」
気がついてくれたのかも!と、思わずにじり寄ってしまった。
「僕です!貴女が小鳥さんと呼んでくれていた!」
「小鳥さんにした事を、私が君にしたと言いたいのかな?うーん。意味がわからないな……。小鳥さんは文鳥さんで、君は人だよね??」
「あっ!」
そこまで言われて僕は気がつく。彼女はこの姿を見ていないのだ。起きたら話したい……そう思ってたのに。
「そうか!人間は変化しないんでしたね……!」とか「見ててくださいね……」焦り気味に伝えると、僕は拾われた時の姿になる。
ちょっと背中は痛むけど、彼女の肩まで飛んでいって首に顔をすりつける。
「雪って呼ばれてます!」
「私は 樹里よ」
★★★
樹里さん……、怖がってない?嫌がってない?そんなことに喜びを感じていると、何やらあやかしの木の妖力が膨れ上がった。
「あ…、あやかしの木に何かなったみたいです。樹里さん行ってみましょう!」
樹里さんの肩から飛び降り、人の形に変化すると、僕は彼女の手を取り、裏庭へ向かおうとする。
「裏庭で何が実ってるのか楽しみですね!」
僕の恩人であり、種を芽吹かせてくれた。貴女は紛れもなく、僕の主だよ。
「もうすぐお別れなのかな」って言葉が聞こえてきた。僕はすごく心が痛くて思わず気持ちを伝えそうになった。なぜだろう僕もここにいたい…。
『僕そばにいちゃ迷惑??』
貴女さえ望んでくれるのなら、僕はずっとそばにいたい。思わず漏れた思い。不意に彼女は周りを見回すとその後、大きな瞳をこちらに向けている。
「君のはずはないよね??」
え?僕の思いが伝わったの?
そんな事、余程の思いや絆がなければ、ありえないはずなのに。いつも貴女は僕の予想を裏切って、僕の心を引き込んでいく。
ドキドキしてる僕を余所に、「心配だから君もねー」と、軽く声かけられて、寝室に僕も運ばれていく。
★★★
出会ったばかりなのに、今はただの鳥でしかないのに…。こんなにこの人は心配してくれるんだ。温かい気持ちをくれるんだ…。なにやら笑いたい様な泣きたい様な、もどかしい思いに襲われる。
寝室で寝る事を決めたのか、時計をいじって彼女は布団に入っていく気配がする。
「おやすみなさい…」
★★★
僕は箱から出て、助けてくれた彼女のそばに歩み寄ろうとした。妖力が回復してた為に人形に戻れそうだから、彼女が起きたら話してみよう。怖がられ嫌われたら悲しいけど、そばにいたいなら踏み出すこと。それしかない気がする。
彼女の寝顔をみていたら、なんだか僕まで眠くなってきた。僕はしらずしらずの間に意識を手放してしまった。
★★★
ピピピピ…と時間の訪れを知らせる電子音のアラームが鳴り出す。まだ体調が完全でなくて、安心の為か意識がふわふわして、うまく覚醒できない。
「へ?誰?迷子!?」
そんな声に、僕も段々と意識が覚醒してくる。
「んん……」
僕はゆっくりした動きで、ムクリと起き上がり両目を擦る。
この状況を夢だとでも思ったのかな。僕は彼女を見て思わず抱きついていた……。
「助けてくれてありがとうございます!!貴女が、龍脈に木を植えてくれたおかげで、早く回復できました!!」
彼女はぽかんとした顔で僕を見てる。
「は?君は誰なの??なんでここにいるのかな?」
思いの外突き放した返答に、涙目になる僕。寝起きで今の姿についての説明をしてないことなんて、すっかり頭から吹っ飛んでいたんだ。
やっと話せてお礼を言える!!
もし良ければ、僕をそばに置かせて欲しい。そんな話も気持ちも、今すぐに伝えたかったから、気持ちばかりが焦っていたのかもしれない。
「僕を助けてくれた恩人なのに……!わかって貰えないなんてっ!」
優しさが嬉しかった分、悲しくて気持ちを抑えられなくて、ギャン泣きした。僕はもう40年は生きてるあやかしなのに子供みたいだ。
「泣き止んで?」
彼女は困ったような顔をして、宥める様に僕の背中を撫でる。
「いつっ……」
まだ残ってる傷が引きつる様に疼いて、少し呻く様に声を上げる。僕は思わず身動ぎしてしまった。
「泣かせてごめんね……。お願いだから泣き止んで??」
「昨日は助けてくれたのに……、もう僕の事忘れてるなんてショックです……。朝もご飯くれたのに…。僕のお顔って…、そんなにインパクトが無いのかな……」
彼女は困惑したように、小鳥さんと呼んでいた僕の寝床と僕を見比べる。
「もしかして、わかってくれたんですか!?」
気がついてくれたのかも!と、思わずにじり寄ってしまった。
「僕です!貴女が小鳥さんと呼んでくれていた!」
「小鳥さんにした事を、私が君にしたと言いたいのかな?うーん。意味がわからないな……。小鳥さんは文鳥さんで、君は人だよね??」
「あっ!」
そこまで言われて僕は気がつく。彼女はこの姿を見ていないのだ。起きたら話したい……そう思ってたのに。
「そうか!人間は変化しないんでしたね……!」とか「見ててくださいね……」焦り気味に伝えると、僕は拾われた時の姿になる。
ちょっと背中は痛むけど、彼女の肩まで飛んでいって首に顔をすりつける。
「雪って呼ばれてます!」
「私は 樹里よ」
★★★
樹里さん……、怖がってない?嫌がってない?そんなことに喜びを感じていると、何やらあやかしの木の妖力が膨れ上がった。
「あ…、あやかしの木に何かなったみたいです。樹里さん行ってみましょう!」
樹里さんの肩から飛び降り、人の形に変化すると、僕は彼女の手を取り、裏庭へ向かおうとする。
「裏庭で何が実ってるのか楽しみですね!」
僕の恩人であり、種を芽吹かせてくれた。貴女は紛れもなく、僕の主だよ。
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