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本編
プロローグ
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私は里を離れ、人の多い街で、仮初の仲間を見つけた。
私が入ることになったパーティは、少し前までアリシアという人間のファイター職の娘がいたらしい。ダンジョンで亡くなってしまい、神殿で生き返りの魔法をかけたらしい。
けれど皮肉な事に高確率と言っても、完全なる死を意味するまれな事態が存在する。
たった一握りだと言っても、その確率に選ばれた者の魂は呼び出せないし、完全にこの世界から喪われてしまう。ロストした者には二度目の生はないのだ。
アイリスという少女も、不運な事に…、その極稀な偶然に選ばれたらしい。
そこで人数は多めとはいえ、高位のダンジョンに潜る彼らには、人数がいた方が安全だということだろうか。
アリシアという少女の代わりに、私が選ばれた。ギルドに登録して間もない私には幸運だったのかもしれない。
酒場で顔合わせをしようとなり、酒場で自己紹介をすることになった。
リーダーらしい、紺色の髪とアメジストの様な紫の瞳を持つ、オイジュスと名乗った人が「ファイター職だ」と言い、ネーレウスと名乗る茶色の髪にサファイアの様な瞳を持つ人間が「クレリックです」と言った。
スペロスと名乗った深緑を写したような深い緑とペリドットの様な瞳をキラキラさせながら、明るいホビットは「僕はファイターなんだ。よろしくね~!」と言った。
ゴンと名乗った黒髪黒目のドワーフはジョッキを煽り一息つくと「ワシはファイターじゃ」と言った。
マジェスティと名乗る金髪碧眼の人間は、「わたくしはマジックキャスターですの。よろしくお願いしますわ」澄ました様子で言うと並べられた食事に夢中になっている。
ヘルメスと名乗ったエルフは、黒髪に金色の瞳で「俺はシーフとマジックキャスターのマルチだ…」それだけいうと、自身に配られた酒をチビリチビリと飲んでいる。
アテナと名乗った、赤い髪に意思の強そうなオレンジの瞳を持つ人間が「あたしはファイターよ」と言い自己紹介の後に口を開く。
「あんたさぁ何様なの? フード被ったまま挨拶とかないんじゃない? あたしあんたみたいなヤツ嫌いだわ」
「ミリアムと申します。ファイターとクレリックのマルチです。見た目にコンプレックスがあり、フードを取らずにいましたが、不快にさせたなら失礼しました」
確かに礼儀に反するなと思い、重い腰を上げてフードを外す。
赤くなった顔で、呼吸が止まったかのように私を見つめるオイジュスとネーレウス。私の魅了にかかってしまった人達と同じ目をしていた。
目を瞠る様な顔をしていたけど、ヘルメスというエルフは、以前と変わらず無愛想だ。
酒場の面々も私の魅了にかかってか、「酒代出してあげよう!」とか「欲しいものは買ってあげるよ」なんて言ってくる。
アテナさんはぷるぷると震えたまま何も言わないけど、こんな事ならフードを取らせたくなかったのだろうとなんとなく思った。
「うわぁ、おねえさんキレイだねぇ!」
スペロスもあまり変わらぬ様子で懐いてくる。
『可愛い……』そう思いながらフードを被り直した私だった。
私が入ることになったパーティは、少し前までアリシアという人間のファイター職の娘がいたらしい。ダンジョンで亡くなってしまい、神殿で生き返りの魔法をかけたらしい。
けれど皮肉な事に高確率と言っても、完全なる死を意味するまれな事態が存在する。
たった一握りだと言っても、その確率に選ばれた者の魂は呼び出せないし、完全にこの世界から喪われてしまう。ロストした者には二度目の生はないのだ。
アイリスという少女も、不運な事に…、その極稀な偶然に選ばれたらしい。
そこで人数は多めとはいえ、高位のダンジョンに潜る彼らには、人数がいた方が安全だということだろうか。
アリシアという少女の代わりに、私が選ばれた。ギルドに登録して間もない私には幸運だったのかもしれない。
酒場で顔合わせをしようとなり、酒場で自己紹介をすることになった。
リーダーらしい、紺色の髪とアメジストの様な紫の瞳を持つ、オイジュスと名乗った人が「ファイター職だ」と言い、ネーレウスと名乗る茶色の髪にサファイアの様な瞳を持つ人間が「クレリックです」と言った。
スペロスと名乗った深緑を写したような深い緑とペリドットの様な瞳をキラキラさせながら、明るいホビットは「僕はファイターなんだ。よろしくね~!」と言った。
ゴンと名乗った黒髪黒目のドワーフはジョッキを煽り一息つくと「ワシはファイターじゃ」と言った。
マジェスティと名乗る金髪碧眼の人間は、「わたくしはマジックキャスターですの。よろしくお願いしますわ」澄ました様子で言うと並べられた食事に夢中になっている。
ヘルメスと名乗ったエルフは、黒髪に金色の瞳で「俺はシーフとマジックキャスターのマルチだ…」それだけいうと、自身に配られた酒をチビリチビリと飲んでいる。
アテナと名乗った、赤い髪に意思の強そうなオレンジの瞳を持つ人間が「あたしはファイターよ」と言い自己紹介の後に口を開く。
「あんたさぁ何様なの? フード被ったまま挨拶とかないんじゃない? あたしあんたみたいなヤツ嫌いだわ」
「ミリアムと申します。ファイターとクレリックのマルチです。見た目にコンプレックスがあり、フードを取らずにいましたが、不快にさせたなら失礼しました」
確かに礼儀に反するなと思い、重い腰を上げてフードを外す。
赤くなった顔で、呼吸が止まったかのように私を見つめるオイジュスとネーレウス。私の魅了にかかってしまった人達と同じ目をしていた。
目を瞠る様な顔をしていたけど、ヘルメスというエルフは、以前と変わらず無愛想だ。
酒場の面々も私の魅了にかかってか、「酒代出してあげよう!」とか「欲しいものは買ってあげるよ」なんて言ってくる。
アテナさんはぷるぷると震えたまま何も言わないけど、こんな事ならフードを取らせたくなかったのだろうとなんとなく思った。
「うわぁ、おねえさんキレイだねぇ!」
スペロスもあまり変わらぬ様子で懐いてくる。
『可愛い……』そう思いながらフードを被り直した私だった。
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