沈黙(アルファポリス版)

玄道

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「じゃーねー、姫」
「明日ね」
守れる保証のない約束を交わす。
──せめて部活にでも入れたらと思った。寮にも入れるのだから。
無理なのは承知の上だ。
人生を諦めて奈落の底に帰る。


夕飯はペペロンチーノだった。どうしたのだろう、最後の晩餐だろうか?私は身構えた。
「ねえ未来、さっき学校から連絡来たわ」
──フォークを落としそうになる。
どうする?何かあったらこれを使う事になるのか?全身に力が入る。
「今からお見えになるそうだから」
「終わりね、あんたら」
初めて親に乱暴な口をきいた。
「未来?どうしたの?親に向かって」
テメエなんか餓鬼の頃薄汚い股ぐらから私をひねり出しただけじゃねえか屑が。
「──申し訳ありません、ご主人様。どうかお許しください」
席を立ち、土下座する。
「どうしたのよママでしょ?アニメの観すぎよ。顔を上げて」
──アニメ?生まれてこの方家でテレビなんか観せたかてめえ。金庫のレミントンで吹っ飛ばすぞ。
次々と粗野な言葉が浮かぶ。口には決して出せないが。
チャイムが鳴る。
「は~い」
仮面を被って鬼女が玄関へ向かった。
暫くすると佐藤先生を連れて戻ってきた。
「未来、お部屋で勉強でもしてなさい。ママはお話があるから」
鳥肌が立った。
「──────はい、ママ」
おぼつかない足取りで自室に向かった。
パスタに手を付けていないので空腹で眠れない。
無理矢理寝た。明日も逃げるために。
夢は見なかった。
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