沈黙(アルファポリス版)

玄道

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翌日も、また翌日も家庭訪問は続いた。
こんなことは今までに無かった。何かあったのだろうか。
家中の部屋は厳重に防音されているので何を話しているのかは見当もつかない。


眞衣が家庭訪問をするようになって四日経った。
何故かシャワーを許可された。初めて浴室に入った。意外と綺麗な事に感心する。ベスがいなくても身の回りの事はできているのか。それとも知らぬ間に別のお手伝いさんを買ったのか。
適温のシャワーが傷にぴりぴりと染みる。初めてのシャワーは針の雨だった。
涙は出なかった。ちゃんとケアはしている筈なのに何故か血が滲んだ。
シャワーを止める。
ジ──────────。
機械音がする。
浴室の中を見渡す。
──人形?少なくとも雌鬼の趣味ではない。
振る。
カチャカチャと音がする。
カメラか。
ついにそこまでするようになったのか。
──生かさず殺さず。
『子供は親を選んで産まれてきた』なんて腐りきった妄言を吐く連中を残らず串刺しにしてやりたくなった。ルーマニアの伯爵のように。
その光景を想像する。


広場一面に並ぶ杭。
連行されていく良識の奴隷達。
その表情には(何故私達が)と書かれている。
下準備として浴びせられるガソリンの匂い。
幾多の被虐待児から放たれる罵声。
善人達が杭に刺し貫かれ、絶叫が木霊する。
放り投げられる松明。
燃え盛る焔。
折り重なる断末魔リゲティ
肉と服の焦げる臭い。
立ち上る煙が空を闇に染める。
私達虐げられた子供の魂の如く。
さようなら、き人達。
地獄でまた会いましょう。
私達はもう少しこの煉獄で痛みに泣きながら過ごさなければならないから。
早くそちらに逝きたいのですけれど。
──お互い、何の罪を犯したのでしょうね?それとも人類は皆咎人とがびとなのでしょうか?


たっぷりと嗜虐しぎゃく的な妄想に浸った後、酷い自己嫌悪に苛まれて涙を流しながら浴室を出た。
いつかこの映像を観る者には恥辱の涙に映るのだろうか。
──目に見えたものが真実とは限らないのだと思った。
廊下に飾られた肖像画を一瞥する。
お祖父様鬼の総大将
孫がこんな目に遭ってるのに、今夜も献金パーティー?お祖父様?
無言でそう問いかけた。
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