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帝都中央大通り――御影石の舗道は一夜のうちに瓦礫へ変わり、魂色検査所の残骸から昇る黒煙が月を覆っていた。暴徒と化した市民は恐怖で灰色に濁った魂鎖を引きずり、略奪というより狂乱の嵐を走らせている。その狂乱を止めるため、第三皇子ルキウス=アスベルは光刃を抜いた。蒼白の刃身が夜気を真直ぐに裂き、斬撃が地面を撥ねるたび、黒煙が竜巻のように舞い上がる。鎮圧部隊の騎士たちは光刃の後ろへ縦陣を組み、冥界鎖弾を撃ち込む暴徒を盾と棍で分断。だが恐怖の色は刃で裂けず、鎖弾の爆ぜる赤光が街の闇を深めるだけだった。
その同じ時間、枢密院議事堂では第一皇子クラウス=フェルディナントが非常会議を掌握していた。側近が持ち込んだ速報──検査所同時爆破、冥界兵器庫外壁の破損──を読んだクラウスは、枢密院の古い議事符を叩く。「戒厳令は暴徒を増やす。誓約崩壊は民衆の恐怖ではなく、体制が招いた責任だ」と声明を起草し、その場で議決を強行。薄青の印璽が押された文面は魔導放送塔を通じて帝都全域に流れ、鎮圧を叫ぶ声と改革を叫ぶ声が同時に街へ降った。
兄弟の衝突は火と風となってぶつかり合う。大通りの暴徒は「皇子の内戦だ!」と嘲り、鎮圧部隊の隊列が瓦礫で塞がれる横で、市民義勇の旗がクラウス声明の写文を掲げる。砕けた舗石の上で剣は光を撒き、ビラは黒煙に燃え、帝都は二つの旋風に真っ二つへ裂けた。混乱は恐怖から政治闘争へ転調し、誰が敵で誰が盾か分からない夜になる。
瓦礫裏の影に身を潜めるカミラは、血色螺旋を閉じ込めた写本と契約原本を抱え、赤鎖の仲間へ囁いた。「二人とも操られている。黒幕は両皇子を利用し、冥界兵器の解禁を狙っている」 写本の皇帝枢密印──原本から剥がした印影──は枢密院の金箔扉に反応する鍵符だと彼女は悟っていた。ノクスが灰羽札の残弾を確認し、バルドーは短剣を舌で弄びながら不敵に笑う。
「突入は夜明け前。枢密院地下の印章庫へ潜り込み、黒幕の署名を炙り出す。証拠さえ開示できれば、兄弟は自ずと矛を納めるはず」
遠く王宮区の塔に炎が走り、光刃の蒼白が夜空へ裂け目を描く。緊張は分断を生み、分断は混乱を呼び起こしたが、混乱の煙を抜いた先には分析が残る。カミラは冥示の瞳を細め、黒い夜の向こうに焼ける都を見据えた。その瞳には恐怖ではなく、犯人の手綱を掴みに行く狩人の光が宿っていた。
その同じ時間、枢密院議事堂では第一皇子クラウス=フェルディナントが非常会議を掌握していた。側近が持ち込んだ速報──検査所同時爆破、冥界兵器庫外壁の破損──を読んだクラウスは、枢密院の古い議事符を叩く。「戒厳令は暴徒を増やす。誓約崩壊は民衆の恐怖ではなく、体制が招いた責任だ」と声明を起草し、その場で議決を強行。薄青の印璽が押された文面は魔導放送塔を通じて帝都全域に流れ、鎮圧を叫ぶ声と改革を叫ぶ声が同時に街へ降った。
兄弟の衝突は火と風となってぶつかり合う。大通りの暴徒は「皇子の内戦だ!」と嘲り、鎮圧部隊の隊列が瓦礫で塞がれる横で、市民義勇の旗がクラウス声明の写文を掲げる。砕けた舗石の上で剣は光を撒き、ビラは黒煙に燃え、帝都は二つの旋風に真っ二つへ裂けた。混乱は恐怖から政治闘争へ転調し、誰が敵で誰が盾か分からない夜になる。
瓦礫裏の影に身を潜めるカミラは、血色螺旋を閉じ込めた写本と契約原本を抱え、赤鎖の仲間へ囁いた。「二人とも操られている。黒幕は両皇子を利用し、冥界兵器の解禁を狙っている」 写本の皇帝枢密印──原本から剥がした印影──は枢密院の金箔扉に反応する鍵符だと彼女は悟っていた。ノクスが灰羽札の残弾を確認し、バルドーは短剣を舌で弄びながら不敵に笑う。
「突入は夜明け前。枢密院地下の印章庫へ潜り込み、黒幕の署名を炙り出す。証拠さえ開示できれば、兄弟は自ずと矛を納めるはず」
遠く王宮区の塔に炎が走り、光刃の蒼白が夜空へ裂け目を描く。緊張は分断を生み、分断は混乱を呼び起こしたが、混乱の煙を抜いた先には分析が残る。カミラは冥示の瞳を細め、黒い夜の向こうに焼ける都を見据えた。その瞳には恐怖ではなく、犯人の手綱を掴みに行く狩人の光が宿っていた。
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