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第3章 (元)魔王と勇者は宇宙樹の種子と
20話5Part 聖弓勇者と果実の2人旅
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「っねえねえ、千代!!これからどこに行くの?」
月夜に照らされた東方市街、金と翠で構成されたゴージャスなその街の中央部東寄りにそびえ立っているのは翠彗暁宮だ。天高くまで伸びた翠彗暁宮の摩天楼は、1500kmほど離れた皇都·ラグナロクからも夜でもよく見える。東方地方協会が街の中心であるならば、翠彗暁宮はいわばシンボル、ウィズオート皇国東方のアイコンのようなものだ。
煌びやかな黄金の時計塔を中心に広がった、幾何学アンティークの城。その袂の城下町のどこそこで市場が展開されていて活気と賑わいに満ちている、当然静けさや安寧といった物とは相反しているが、それでもその騒がしさに魅力を感じさせてしまう街だ。
硝子越しにどんどん流れていってしまうその景色を眺めながら、フレアリカは自身が今車に乗せられている理由を後ろで待機している聖火崎に訊ねた。
「あ......いや、私がフレアリカに会ってからずっと、行くべきだと思っていた所よ」
「......?」
しかし、聖火崎から返ってきたのは、フレアリカにとってはどうにも分からない答えだった。行くべきだと思っていた所......?と不思議そうに小首を傾げるフレアリカに、聖火崎はふっと息を吐いた後に声をかけた。
「うん。......フレアリカは、お父さんとお母さんに何年くらい会っていない?」
「ふぅがマモンから聞いた事が正しければ、8000年くらい」
「そう......そうよね、それぞれの五唯聖武器の1代目勇者が決まって2年後くらいの話だものね」
......8000年、それは地球ではありえない年齢だし、文明的なものもその頃には無い。人類の祖先が石器を持って闊歩している構図がそこらじゅうに広がっている頃の話だ。しかしここ下界は現在、西暦的にいえば19432年。まあ人間の年齢としてありえない数字なのはこちらも同じなのだが、文明的なものは既に栄えていた。
当時、大きな機械の獣に巨大なモニター、現在ウィズオート皇国版スマホの祖先になるもの等は既にあったのだそうだ。そしてその頃にフレアリカは1代目聖銃勇者·カレブとその妻·カフィの間に産まれていたようで。
約8000年もの間死体がよく腐らなかったなとか出会えたことに感謝だとか思う事は多々ある、聖火崎はそれら全部をひっくるめて、色々な事にまとめて"1つのケジメ"をつけようとしているのだ。
「......フレアリカ」
「なあに?」
「......お父さんとお母さんに、会いに行こうね」
「......っ......うんっ!!」
聖火崎から告げられた言葉に、窓の外を眺めて時折笑顔を見せていたフレアリカの顔の頬に、一筋の涙が流れた。......周りに聖火崎や瑠凪等を筆頭とした者達がいながらも、やはり心の中心にはぽっかり穴が空いたままだった。
周りの人達が決して苦手であったり嫌いであったり、そもそも関わる事がなかったりするわけでもないのだ。
ただ"家族"、"母親·父親"、それだけでしかその穴は埋める事ができず、死んでから生き返るまでの8000年、さらには聖火崎達に出会ってからの2ヶ月弱の間に数多くあった"楽しい"時間にも、フレアリカの心には常にその穴からすきま風が入ってきていたに違いない。そう思って聖火崎は夜分遅くながらフレアリカを連れ出したのだ。
それに、聖火崎自身も親や肉親の居ない寂しさをよく知っている。でも自分はもう独りに慣れてしまったらしく、今更再会したとしても喜ばないんじゃないかと聖火崎は思っている。
ただ、フレアリカに自分と同じ末路を辿らせたくない、そう思っての行動だ。それ以上でも、以下でもない。
「......あ、ヴェルオルガ城!千代見てみて!!こんなに大きかったんだね!!」
「ええ、大きいでしょ?望桜は第拾参弦聖邪戦争の時、あそこにベルフェゴールと立てこもったのよ」
「へええー!!」
「それで、望桜達を私と翠川の2人と騎士団で倒しに行って見事倒したわけなんだけど、」
......そして、2人を乗せた自動運転の車はいつしか皇都·ラグナロクへと入った。ぼーっと窓を見ていたり、先程のようにたまに雑談したりしていただけなのに、ヴルハラ独立国家を出発してからもう3時間弱ほど経ったようだ。
ラグナロクの中央に堂々と佇んでいるヴェルオルガ城は、全体が黒っぽくて東方の翠彗暁宮とは真反対に、夜になると完全に闇に溶け込んでしまう。そしておよそ75日程前の第拾参弦聖邪戦争の際に、13代目魔王こと緑丘望桜とその側近·西原的李ことベルフェゴールとその他魔王軍兵が立てこもった城だ。
代々魔王軍は魔界大陸から人間界大陸を奪いに色々な手段を使って攻めてくる。ラグナロクにゲートを開いて中心から各地に兵を広げていく魔王もいれば、東の方から兵を送り込んでくる魔王もいる。
その中でも望桜は、四方に兵を均等に分けて群島にまで幹部と側近を配置した。お陰で軍に3人しか居ない勇者が、各地に飛び回って元帥とコンタクトを取り合いながら戦わないといけなくなりかなりタイムロスした。
しかしその逆境すら乗り越えて、聖火崎達は北方を除く3方と群島、そしてラグナロクの魔王軍兵を倒して、望桜達2人をヴェルオルガ城内部まで追い詰めたのだった。
「戦闘能力のない望桜は置いといて、的李が意外に弱かったのよね、あの時は」
「え?的李が?」
ありえない、そう言いたげな視線を向けるフレアリカに、聖火崎は笑いながらこう返した。
「ええww下界中で知らない人はいないほどの近接戦闘のプロだって信じられないくらいにはねww」
「......でも、イヴと戦った時には確かに強かったのに......何があったんだろう?」
「知らないわ。魔王軍に参加した当時には既に"近接戦闘のプロ"って呼ばれてたっていうし、的李の事だから地位が幹部から側近に上がったからって調子に乗るタイプでもないものね。ほんとあの時何があったのかしら」
「分かんない!!あ、天空五稜郭!!」
そして談笑しつつ再び窓の外に視線を向けた。通路が高台の上を行く所に差し掛かり、ヴェルオルガ城の上に浮かぶ天空五稜郭が2人の視界に存在感抜群のまま入り込んできた。
......地上4000mに高度無重力化法術を使って浮かばせてあるそれは、たかが30mほど上がった坂上の通路からですらとてつもなく大きく見える。
そのくらい大きいために、もし高度無重力化法術が切れたら、ラグナロクの6割型の建物が押し潰されてしまう。しかしその天空五稜郭はここ8000年は墜ちた事がない。なのでそんな事を想像するラグナロク人は1人もいない。
蝋燭や光法術で綺麗にライトアップされている天空五稜郭を眺めているうちに、ふと気づいたらフレアリカがこくり、こくりと船を漕ぎ始めていた。......目的地まではもう3時間はかかるだろう、そう考えた聖火崎はフレアリカを奥にある簡易寝台に寝かせたあと、その横に自身も寝転がった。
「一眠りするとしますか......」
窓をほんの少し開けて換気した後、目を閉じて睡魔に身を委ねたのであった。
───────────────to be continued─────────────
月夜に照らされた東方市街、金と翠で構成されたゴージャスなその街の中央部東寄りにそびえ立っているのは翠彗暁宮だ。天高くまで伸びた翠彗暁宮の摩天楼は、1500kmほど離れた皇都·ラグナロクからも夜でもよく見える。東方地方協会が街の中心であるならば、翠彗暁宮はいわばシンボル、ウィズオート皇国東方のアイコンのようなものだ。
煌びやかな黄金の時計塔を中心に広がった、幾何学アンティークの城。その袂の城下町のどこそこで市場が展開されていて活気と賑わいに満ちている、当然静けさや安寧といった物とは相反しているが、それでもその騒がしさに魅力を感じさせてしまう街だ。
硝子越しにどんどん流れていってしまうその景色を眺めながら、フレアリカは自身が今車に乗せられている理由を後ろで待機している聖火崎に訊ねた。
「あ......いや、私がフレアリカに会ってからずっと、行くべきだと思っていた所よ」
「......?」
しかし、聖火崎から返ってきたのは、フレアリカにとってはどうにも分からない答えだった。行くべきだと思っていた所......?と不思議そうに小首を傾げるフレアリカに、聖火崎はふっと息を吐いた後に声をかけた。
「うん。......フレアリカは、お父さんとお母さんに何年くらい会っていない?」
「ふぅがマモンから聞いた事が正しければ、8000年くらい」
「そう......そうよね、それぞれの五唯聖武器の1代目勇者が決まって2年後くらいの話だものね」
......8000年、それは地球ではありえない年齢だし、文明的なものもその頃には無い。人類の祖先が石器を持って闊歩している構図がそこらじゅうに広がっている頃の話だ。しかしここ下界は現在、西暦的にいえば19432年。まあ人間の年齢としてありえない数字なのはこちらも同じなのだが、文明的なものは既に栄えていた。
当時、大きな機械の獣に巨大なモニター、現在ウィズオート皇国版スマホの祖先になるもの等は既にあったのだそうだ。そしてその頃にフレアリカは1代目聖銃勇者·カレブとその妻·カフィの間に産まれていたようで。
約8000年もの間死体がよく腐らなかったなとか出会えたことに感謝だとか思う事は多々ある、聖火崎はそれら全部をひっくるめて、色々な事にまとめて"1つのケジメ"をつけようとしているのだ。
「......フレアリカ」
「なあに?」
「......お父さんとお母さんに、会いに行こうね」
「......っ......うんっ!!」
聖火崎から告げられた言葉に、窓の外を眺めて時折笑顔を見せていたフレアリカの顔の頬に、一筋の涙が流れた。......周りに聖火崎や瑠凪等を筆頭とした者達がいながらも、やはり心の中心にはぽっかり穴が空いたままだった。
周りの人達が決して苦手であったり嫌いであったり、そもそも関わる事がなかったりするわけでもないのだ。
ただ"家族"、"母親·父親"、それだけでしかその穴は埋める事ができず、死んでから生き返るまでの8000年、さらには聖火崎達に出会ってからの2ヶ月弱の間に数多くあった"楽しい"時間にも、フレアリカの心には常にその穴からすきま風が入ってきていたに違いない。そう思って聖火崎は夜分遅くながらフレアリカを連れ出したのだ。
それに、聖火崎自身も親や肉親の居ない寂しさをよく知っている。でも自分はもう独りに慣れてしまったらしく、今更再会したとしても喜ばないんじゃないかと聖火崎は思っている。
ただ、フレアリカに自分と同じ末路を辿らせたくない、そう思っての行動だ。それ以上でも、以下でもない。
「......あ、ヴェルオルガ城!千代見てみて!!こんなに大きかったんだね!!」
「ええ、大きいでしょ?望桜は第拾参弦聖邪戦争の時、あそこにベルフェゴールと立てこもったのよ」
「へええー!!」
「それで、望桜達を私と翠川の2人と騎士団で倒しに行って見事倒したわけなんだけど、」
......そして、2人を乗せた自動運転の車はいつしか皇都·ラグナロクへと入った。ぼーっと窓を見ていたり、先程のようにたまに雑談したりしていただけなのに、ヴルハラ独立国家を出発してからもう3時間弱ほど経ったようだ。
ラグナロクの中央に堂々と佇んでいるヴェルオルガ城は、全体が黒っぽくて東方の翠彗暁宮とは真反対に、夜になると完全に闇に溶け込んでしまう。そしておよそ75日程前の第拾参弦聖邪戦争の際に、13代目魔王こと緑丘望桜とその側近·西原的李ことベルフェゴールとその他魔王軍兵が立てこもった城だ。
代々魔王軍は魔界大陸から人間界大陸を奪いに色々な手段を使って攻めてくる。ラグナロクにゲートを開いて中心から各地に兵を広げていく魔王もいれば、東の方から兵を送り込んでくる魔王もいる。
その中でも望桜は、四方に兵を均等に分けて群島にまで幹部と側近を配置した。お陰で軍に3人しか居ない勇者が、各地に飛び回って元帥とコンタクトを取り合いながら戦わないといけなくなりかなりタイムロスした。
しかしその逆境すら乗り越えて、聖火崎達は北方を除く3方と群島、そしてラグナロクの魔王軍兵を倒して、望桜達2人をヴェルオルガ城内部まで追い詰めたのだった。
「戦闘能力のない望桜は置いといて、的李が意外に弱かったのよね、あの時は」
「え?的李が?」
ありえない、そう言いたげな視線を向けるフレアリカに、聖火崎は笑いながらこう返した。
「ええww下界中で知らない人はいないほどの近接戦闘のプロだって信じられないくらいにはねww」
「......でも、イヴと戦った時には確かに強かったのに......何があったんだろう?」
「知らないわ。魔王軍に参加した当時には既に"近接戦闘のプロ"って呼ばれてたっていうし、的李の事だから地位が幹部から側近に上がったからって調子に乗るタイプでもないものね。ほんとあの時何があったのかしら」
「分かんない!!あ、天空五稜郭!!」
そして談笑しつつ再び窓の外に視線を向けた。通路が高台の上を行く所に差し掛かり、ヴェルオルガ城の上に浮かぶ天空五稜郭が2人の視界に存在感抜群のまま入り込んできた。
......地上4000mに高度無重力化法術を使って浮かばせてあるそれは、たかが30mほど上がった坂上の通路からですらとてつもなく大きく見える。
そのくらい大きいために、もし高度無重力化法術が切れたら、ラグナロクの6割型の建物が押し潰されてしまう。しかしその天空五稜郭はここ8000年は墜ちた事がない。なのでそんな事を想像するラグナロク人は1人もいない。
蝋燭や光法術で綺麗にライトアップされている天空五稜郭を眺めているうちに、ふと気づいたらフレアリカがこくり、こくりと船を漕ぎ始めていた。......目的地まではもう3時間はかかるだろう、そう考えた聖火崎はフレアリカを奥にある簡易寝台に寝かせたあと、その横に自身も寝転がった。
「一眠りするとしますか......」
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