7 / 71
友だち
しおりを挟むしばらく歩くと下り坂に出た
学校までの道程には小さな谷がある
うちからだと下って上《のぼ》るとわたしが通う中学がある
3年間この谷とつき合ったなぁ
暑い夏には汗掻きながら登ったっけ…
この坂を降りてくには坂道と階段があった
わたしは階段派だったのを思い出し階段を降りてく
階段の横には自転車とか押してけるようなスロープもあって、この辺りが坂と共生してる町だなといつもわたしは考えてた
「いち、に、さん、し⋯⋯⋯」
当時も階段を数えながら降りてたもんだ
これだけ長く続く階段だと数えたくなるよね!
上りで数えるのはなんだか疲れる感じでやなんだけどね
だけど不思議と数え終わった記憶はない
だいたい途中で飽きるか、話しかけられることが多かったような気がする
「おっはよー! ミサ!!」
ごじゅういち…って、ほらやっぱり数えてるタイミングで後ろから声をかけられた
「お、おはよーーーっ!!」
足を止め後ろを振り返る⋯⋯⋯、そこには手を振りながら階段を駆け降りてくるポニーテールの制服姿の女の子!
や、やばい!? なんとなく顔も覚えてはいるんだけど名前が思い出せないっ!! 友達失格の烙印を押される!!
懐かしさもあるけど 焦りが先に出ちゃう
ハッ!と視線を胸元にやる、そこには『生田』と書かれた名札が見えた!!
この頃はまだみんな名札をつけてたんだっけ⋯わたしは⋯ つけ忘れてきてるわ…
わたしに追いついたその子は ポン、とわたしの肩を叩いて笑顔を見せる
「い、生田! おはよ!」
わたしはひきつった笑顔でさっきみた名札の名前を呼んだ
「⋯⋯? なにかのジョーク? いつもみたいに『サッチ』でいいよ!」
ケラケラ笑いながらわたしを追い越してく⋯サッチ…
そうだ!『生田《いくた》幸恵《さちえ》』
サッチだ!! 懐かしー!!!
ピンチを乗り越えた後は強烈な懐かしさが込み上げてくる サッチは確か高校違うとこに進学して中学卒業した後は会う機会もなくなっちゃったんだよね…
「待ってよ!サッチ!!」
わたしはサッチを追いかけて並んで階段を降りてく
少し情報収集もしたかったしね
「ミサ また階段数えてたんでしょ?」
笑顔を見せながらからかい気味にわたしを見るサッチ
「わ、悪い? だってまだ途中だったもん⋯」
そのサッチのおどけた表情に頬を膨らませて抗議する
わたしの態度が可笑しさに拍車をかけるのか サッチは満足そうに笑ってる
「あのさ、時間割忘れたんよね… 今日って一時間目なんだっけ?」
とりあえず探りを入れる、なんとか今日一日無事に過ごせれば明日からはなんとかなるはずだ
「えー?そうなの? 一時間目は体育だよ~」
見なくても頭に入ってると言わんがばかりに即答してくるサッチ
その返答に頭からサッと血の気が引く⋯
(しまった!! 全部教科書は入れてきたけど体操服までは頭になかった!!)
「ん?どしたの?ミサ?あんたまさか…?」
わたしは無言で頷いた… 体育での忘れ物…そのヤバさをわたしは思い出していた
「井上うるさいからなぁ… 忘れたなんて言わずに誰かに体操服借りたほうがいいよー」
体育教師の『井上《いのうえ》先生』通称『いのせん』 彼女は忘れ物にはめっぽううるさかった
『体操服を忘れるなんて体育の授業を舐めてる!』って毎回忘れて来た子にみんなの前で反省の言葉を大声で言わせていた
思い出した内容で気の滅入ったのはこれが初めてだったかも知れない… もう取りに戻ってる時間もないしな… まさかこっち来てそうそうみんなの前で反省の言葉を言うはめになるとは⋯
ん?待てよ?確か保健室には『なにか』あったときのために予備の体操服やら下着があったはず…
当時は使うことなんてなかったからその存在すら知らなかったけど、我が子を育ててる時に学校で聞いたことがあったのを思い出した! 時代が違えどもしかしたら…? 一縷の望みが出たことでわたしの気持ちはほんの少し軽くなった
「まー、いざとなったら妹に借りてあげるよ! とりあえず他のクラスの知り合いに聞いてみなよ?」
わたしの表情を見て心配そうにサッチが提案してくれる なんかこんな優しい言葉をサラッと言えるんだ、なんて思って嬉しくなった
「うん、ありがと やさしいねサッチは」
「え?そう?そうなんだ?わたしやさしいんだ?」
わたしの言葉になぜだか満足そうなサッチ
照れた笑顔がかわいく、反応が素直で、やっぱり中学生だなぁ…なんて思って見てた
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる