推しの在る生活

あたまんなか

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一日

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 〇月〇日



「おかえりー」

わたしがただいまを言うより先に彼がおかえりをいう

「ただいま」

疲れた身体を引きずるように部屋に入る
ほんとはからだより疲れてるのは神経だった

「冷蔵庫に入ってたもんでなんかつくってみた」

どうやら彼が夕飯の支度をしていたみたいだ

「なにか匂うなって思ってたらこれだったんだ」

わたしは彼が用意してくれてた夕飯を見ながら少し感心していた

「一応冷蔵庫の中のものなに使ったかは紙に書いてるから」

机の隅に置かれたメモが目に入る

「ありがと 助かる 先にお風呂すませてきちゃうね」
そう言うとわたしはお風呂場へ向かう
「じゃあ お風呂終わる頃に食べれるようにしとくね」
彼がかけてくる言葉に軽く返事をしながらドアを閉めた

ーそんな気をつかわなくてもいいのにー

頭を洗いながらそんなことを考える
一人暮らしも長かっただろうし一通りはできるよね
作品以外にとくに興味もなかった彼のことを少し想像してみたりした

お風呂から上がるとすっかり夕飯の準備ができてた

「へぇ~ これ全部サイがつくったの?」

さっきとは違ってキレイに盛り付けられた料理は食欲をそそる

「少しでもお礼の気持ちを表せたらなってがんばってみた」

「冷蔵庫の中のもんでこんなにできるんだ」

彼の繊細さは料理にまで表現されているんだと感心した

「いただきます」

二人で食卓を囲む わたしはお昼休みに送られてきた彼の作品についての感想を話す
彼もそれを待ってたかのように頷きながら聞いてる
話しながらの夕食は時間がかかる
それでも二人には大切な時間の共有だった

「あれ? ごめん 話しに夢中になって料理の感想言ってなかった」

わたしは食べながらずっと感じてた大事なことを思い出した

「おいしい わたしがつくるよりおいしい」

ホントにおいしいと思いながら食べていた

「よかった 一人暮らしの時も料理で気分転換してた時もあったから 誰かに食べてもらうの初めてだったんで不安だったよ」

彼は安堵の表情をみせる きっと作品の内容だけでなく料理の感想も聞きたかったんだろうなとその表情を見て思った

「後片付けはわたしがやるからサイは執筆してていいよ お茶入ったら声かけるから」

わたしは食べ終わった食器をさげながら彼に執筆を促す 調理器具はほとんど綺麗に洗われてるので食器だけの後片付けなんてすぐに終わる

ー結構マメな性格なんだ もっと自堕落な生活してんのかと思ってたー

お皿を洗いながら自分の勝手なイメージとのギャップを考えてた
「お茶飲む?」机に向かってる彼に声をかける
「ありがとうございます、いただきます」
そう言って彼はリビングに出てくる
向かいあってお茶を飲む これも最近の日課になってる
「今の作品もそろそろ終わり近いよね?」
「そうですね でもここからが難しいって思ってる」
彼はうっすら眉間にシワをよせる
作品についての話しはいくらでもできた
お茶を飲み終えると彼は机へと戻ってく
わたしもソファで横になる
こうしてなにもかわりなくいつものわたしと彼の1日は終わる


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