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決別
しおりを挟む〇月〇日
「ミサさん 賞をとったら伝えたい気持ちがありました」
話があるってわたしを呼び止めた彼がかしこまって話しだす
「ううん 賞が取れなかったとしてもどこかでケジメをつけて話すつもりでした」
「ぼくとちゃんと正式につきあってもらえませんか?」
「正式に、つきあう?」
唐突に繰り出された彼の言ってる言葉の意味がわからなかった
「今の状況はただの居候じゃないですか、そうじゃなくなりたいっていうか…」
「ぼくはミサさんがぼくを認めて応援してくれるためにいろいろしてくれるのが嬉しかった でもそれと同じくらい申し訳ない気持ちと情けない気持ちでいっぱいでした」
「それでもこんなぼくにここまで期待をかけてくれてるミサさんの想いに報いたい気持ちでいっぱいでした」
紅潮した表情からも
抑えきれない感情が溢れてるのが見て取れる
「わたしはただサイの作品が読みたかっただけだよ」
ほんとのこと わたしにはそれしかないんだよ
「そうだったとしても ぼくはミサさんとの生活の中でミサさんのこと、ミサさんに惹かれていってたんです」
まじか…
「なんで なんでなのサイ?」
「人を好きになるのに理由なんて必要ですか?
いくらでも理由ならありますけど」
「サイはさ、作品の中で絶望してたじゃん 世の中にたいして辟易としてたじゃん 人に失望してたじゃん
このクソみたいな世界を憂いてたじゃん」
「なに人のこと好きになってんだよ…」
すべてが理解できた これだったんだ わたしが彼にたいして興味がなくなってた正体
「そんなぼくを救ってくれたのはミサさんなんです!
だから賞だってとれた! ぼくに足りなかったものを与えて気づかせてくれたのがミサさんなんです!」
「ミサさんは暗闇にいたぼくに光を与えてくれた人なんです だからぼくは輝けたんです!」
「それは違うよサイ わたしは自分が満たされたいだけ サイがどう思ってようがどう感じてようがそんなことわたしは知らないし関係ない」
「わたしが惹かれてるのはサイの作品 言い換えれば『才能」 悪いけどサイ自身に興味はない』
「えっ…ミサさん…」
「これでハッキリした わたしがサイの作品に感じてた違和感」
「違和感…」
「そ 違和感 オブラートに包んだみたいな表現になってたけど 簡潔に言うと『つまんなくなった』ってことかな」
「ミサさん…」
そんな哀しい目するなって
「わたしがサイの作品に惹かれてた部分が最近の作品では薄くなってた 賞を取った作品なんてその部分すらなくなってた」
「サイは言ったよね? わたしが光をあてた、って」
「そうかもしんない わたしがサイの光になったことでサイの影を失くしちゃったんなら わたしは自分で自分が求めてたものをなくしちゃったってこと」
ほんとに本末転倒だ
「サイは勘違いしてる わたしはサイが想ってるような女じゃない それだってサイがかってに想ってるだけ わたしはわたしでなんにも変わってない」
「わたしは自分が満たされたいだけ
仕事だってそう 自分が満たされるためだけに働いてる サイの作品を読むことで満たされてた頃はどれだけやなことがあっても平気だった」
「そんなこと言わないでよ ミサさん…」
「ぼくを受け入れてくれたじゃん あれだって」
「サイの作品がよくなればいいんだよ わたしの身体なんて減るもんじゃないし 悪いことじゃないならなにしたっていいと思ってる 誰に迷惑かけるでもないんだし」
「……」
「だからさ、サイ…」
ー 出てって ー
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