君との時間 The Time Between Us

afterquiet

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第3章 14歳の夏 Part10

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 母はきっと、今日さえ乗り切れば明日には彼の父が帰る。
 そう思っていただろう。
 そんな母の思惑など、彼の父に叶うはずがないとは知らずに。

 お昼ご飯の後だったか……。
 少しだけ、家の空気がピリッとした。
 母がせわしなく家の中を動き回るので、彼の父が母を呼び止める。
(ついに……来たか!)

 母の動きが止まったのが分かる。
 重いため息が出る時は、馬鹿正直に顔に出る。
 彼の父とチラッとアイコンタクトしたら、リビングからニヤッと笑った。
 もうそれだけで、私の心は踊る。

「なぁ、美央、どうした?」

 不意打ちの彼の父の一投に、母の体が飛び上がりそうだった。

「え?」

 母の声が震えていた。
 私まで思わず震えてしまいそうなほど、母の動揺が床から伝わってきそうだった。

「お前、母親だろ? なんで守らねぇんだよ」

 少し低い彼の父の声が、突き刺さる音を立てた気がした。
 その一言で、家の空気が一段深く沈んだように感じた。
 母の肩がわずかに揺れ、視線が泳ぐ。
 逃げ場のない場所に追い詰められた人間の影が、その背中にくっきりと浮かんでいた。
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