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夢見の信仰者
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☆黒猫
とある街中で、人々から「その黒猫を見た者に不幸が起こる」と噂される猫がいる。
黒猫の呪い。それは証拠なき悪評だが、それを信じる人々が多いのは、原因不明の災いに理由を求めるから、なのかもしれない。
悪評と共に広まった黒猫の異名は「不吉な悪魔」とか「悪魔の使い魔」らしいが、悪魔と呼ばれる存在であろうとも、理由なく人々を害する事など、あるのだろうか? と考えずにはいられない。
黒猫を悪と見なす人々に、その根拠を聞きこんでも、その情報は一貫性が無い。
あやふやな根拠を元に生じた噂など、信憑性は無いと思うが、自覚のない人々に発端を告白させるなど、困難だ。
それの解明は噂の実態を掴むためには必要だが、俺の領分は神の研究なんだから、噂の解明など優先すべき事柄ではない。
黒猫の生態を観察してから、分かった事がいくつかある。それは人を嫌っている様子が見られない、という事だった。
街中を徘徊する黒猫。それに猫じゃらしを用いて遊ぶ俺の様子は不気味に見られたかも知れないが、その行動で、黒猫から懐かれた俺は黒猫に近くで調査を行えるようになった。
黒猫を追いかける日々は一か月以上も続いている。
なぜ、黒猫に固執するのか。それは神の実態。それを暴きたいからだ。
神を暴く。その手段を黒猫に見出した。
黒猫を観察して分かった事。それは時折、神の様な不可思議な力を使うって事だ。多くの人々は黒猫を不吉な存在と思い込み遠ざけているから気が付いていないんだろうが、それには植物を育む力がある様に思える。
その根拠は、黒猫の行動範囲に生える雑草がそれ以外の場所に比べて育っているからなんだが。黒猫を悪と決めつける人々に、その事を説いても、眉唾だと言われてしまう。
しかも、それだけに止まらず、黒猫に熱心な俺を「悪魔の信者か?」なんて馬鹿にする。
黒猫に祈りを捧げていない俺は、黒猫の信者ではないが、熱心って事は間違いない。
疑いの眼差し。それを向ける人々の先入観が覆るほど大それた何かを持っていない俺に、黒猫は悪魔じゃなくて神だって事を証明するのは困難だ。
まあ、俺の目的は、人々に黒猫を崇めさせるって事じゃないんだから、そんな人達は無視すれば良いんだが。それでも、無視し難いのは、俺が黒猫を好いているから、なのかもしれない。
黒猫に神を見出した俺の根拠。それは、黒猫の不可思議な力だけじゃない。
子供とも大人とも言い難い年頃の少女。彼女の深く長い睡眠はその両親を悩ませているそうだ。と言っても、爆睡する本人はその事を悩んでいないらしいが。
彼女は、常人より眠る時間が長く、食事や運動する時間が満足に得られない影響で身体は弱々しく痩せこけている。
そんな彼女が眠る時。決まって現れる存在がある。それは黒い猫だ。
黒猫の現しと彼女の眠り。そこに同期性を見出したが、その事を誰にも話してはいない。
もし、彼女が黒猫を現わしていると噂されたら「悪魔を現わす魔女」という悪評が広まり、彼女は迫害されるかも知れないから。
まあ、彼女と黒猫に関連性がある、なんて噂が流れても、多くの人はその噂を信じないって可能性がある。
それは、一人の祈りで神が姿を現す。なんて事は不可能だって考える人が多いからだ。出来ても事象を起こす程度だ、と認識している人が殆どだ。
祈り神を現す聖職者でさえ、それを不可能だと考えているのかもしれない。
そうでなければ、黒猫の噂を耳にしている聖職者たちが、彼女の事を調べない理由がないんだから。
☆神と悪魔の違い
神と悪魔の本質。俺はそれが同じだって捉えているが、人によって、それらの捉え方は異なる。
俺は、神と悪魔は発酵と腐敗の違いに等しいと考えている。
黒猫が人々に益をもたらすなら、それは神と呼ばれ、黒猫が人々を害するなら、それは悪魔と呼ばれる。
現状、黒猫は神に分類できると俺は思っているが、悪魔だと思っている人々を説得できる証拠を持っていない。
その為には黒猫が植物の生育を促す証明を人々に対して行う必要がある。それには黒猫の協力が必要だろう。
その為には黒猫との仲をより深める必要がある。
☆祈り
人は起きている間、様々な事に思考を用いている。祈る事だけを行い生きている訳では無い。
祈る事が仕事の聖職者。彼ら彼女らも思考の全てを祈りに用いる事は出来ないと語り、未熟さを自覚する彼ら彼女らは雑念を捨てようと修行している程だ。
もし、彼女が、眠る間、思考の全てを祈りに捧げていたなら、神の姿を現す事が出来ても、不思議ではないのかもしれない。
俺はそう考えた。
彼女は黒猫の姿をした神を現す為、全ての思考を捧げ、祈っている、と。
とある街中で、人々から「その黒猫を見た者に不幸が起こる」と噂される猫がいる。
黒猫の呪い。それは証拠なき悪評だが、それを信じる人々が多いのは、原因不明の災いに理由を求めるから、なのかもしれない。
悪評と共に広まった黒猫の異名は「不吉な悪魔」とか「悪魔の使い魔」らしいが、悪魔と呼ばれる存在であろうとも、理由なく人々を害する事など、あるのだろうか? と考えずにはいられない。
黒猫を悪と見なす人々に、その根拠を聞きこんでも、その情報は一貫性が無い。
あやふやな根拠を元に生じた噂など、信憑性は無いと思うが、自覚のない人々に発端を告白させるなど、困難だ。
それの解明は噂の実態を掴むためには必要だが、俺の領分は神の研究なんだから、噂の解明など優先すべき事柄ではない。
黒猫の生態を観察してから、分かった事がいくつかある。それは人を嫌っている様子が見られない、という事だった。
街中を徘徊する黒猫。それに猫じゃらしを用いて遊ぶ俺の様子は不気味に見られたかも知れないが、その行動で、黒猫から懐かれた俺は黒猫に近くで調査を行えるようになった。
黒猫を追いかける日々は一か月以上も続いている。
なぜ、黒猫に固執するのか。それは神の実態。それを暴きたいからだ。
神を暴く。その手段を黒猫に見出した。
黒猫を観察して分かった事。それは時折、神の様な不可思議な力を使うって事だ。多くの人々は黒猫を不吉な存在と思い込み遠ざけているから気が付いていないんだろうが、それには植物を育む力がある様に思える。
その根拠は、黒猫の行動範囲に生える雑草がそれ以外の場所に比べて育っているからなんだが。黒猫を悪と決めつける人々に、その事を説いても、眉唾だと言われてしまう。
しかも、それだけに止まらず、黒猫に熱心な俺を「悪魔の信者か?」なんて馬鹿にする。
黒猫に祈りを捧げていない俺は、黒猫の信者ではないが、熱心って事は間違いない。
疑いの眼差し。それを向ける人々の先入観が覆るほど大それた何かを持っていない俺に、黒猫は悪魔じゃなくて神だって事を証明するのは困難だ。
まあ、俺の目的は、人々に黒猫を崇めさせるって事じゃないんだから、そんな人達は無視すれば良いんだが。それでも、無視し難いのは、俺が黒猫を好いているから、なのかもしれない。
黒猫に神を見出した俺の根拠。それは、黒猫の不可思議な力だけじゃない。
子供とも大人とも言い難い年頃の少女。彼女の深く長い睡眠はその両親を悩ませているそうだ。と言っても、爆睡する本人はその事を悩んでいないらしいが。
彼女は、常人より眠る時間が長く、食事や運動する時間が満足に得られない影響で身体は弱々しく痩せこけている。
そんな彼女が眠る時。決まって現れる存在がある。それは黒い猫だ。
黒猫の現しと彼女の眠り。そこに同期性を見出したが、その事を誰にも話してはいない。
もし、彼女が黒猫を現わしていると噂されたら「悪魔を現わす魔女」という悪評が広まり、彼女は迫害されるかも知れないから。
まあ、彼女と黒猫に関連性がある、なんて噂が流れても、多くの人はその噂を信じないって可能性がある。
それは、一人の祈りで神が姿を現す。なんて事は不可能だって考える人が多いからだ。出来ても事象を起こす程度だ、と認識している人が殆どだ。
祈り神を現す聖職者でさえ、それを不可能だと考えているのかもしれない。
そうでなければ、黒猫の噂を耳にしている聖職者たちが、彼女の事を調べない理由がないんだから。
☆神と悪魔の違い
神と悪魔の本質。俺はそれが同じだって捉えているが、人によって、それらの捉え方は異なる。
俺は、神と悪魔は発酵と腐敗の違いに等しいと考えている。
黒猫が人々に益をもたらすなら、それは神と呼ばれ、黒猫が人々を害するなら、それは悪魔と呼ばれる。
現状、黒猫は神に分類できると俺は思っているが、悪魔だと思っている人々を説得できる証拠を持っていない。
その為には黒猫が植物の生育を促す証明を人々に対して行う必要がある。それには黒猫の協力が必要だろう。
その為には黒猫との仲をより深める必要がある。
☆祈り
人は起きている間、様々な事に思考を用いている。祈る事だけを行い生きている訳では無い。
祈る事が仕事の聖職者。彼ら彼女らも思考の全てを祈りに用いる事は出来ないと語り、未熟さを自覚する彼ら彼女らは雑念を捨てようと修行している程だ。
もし、彼女が、眠る間、思考の全てを祈りに捧げていたなら、神の姿を現す事が出来ても、不思議ではないのかもしれない。
俺はそう考えた。
彼女は黒猫の姿をした神を現す為、全ての思考を捧げ、祈っている、と。
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