精霊宿る人々の有り様

ネミルラ

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③ 素っ気ない教授の有り様

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 国立霊能高等学校こくりつれいのうこうとうがっこの問題児とか、怠惰な女王なんて呼ばれている私は、今日も授業をサボって金田かねだ 敏行としゆき教授の研究室に来ている。

 金田教授は30年もの間、国立霊能高等学校このがっこうにある研究棟の一室を占拠し続けている霊具設計の権威だ。
 研究開発とは名ばかりの趣味に時間を費やしているっていう金田教授の噂は学校内で有名だ。
 金田教授は趣味で作った霊具に用いられている技術なんかが有用な場合があるって功績で活動資金を学校から援助されているらしい。
 肝心の霊具は、その殆どが実用性の低いモノって事らしいけど。

 サボり魔な私が金田教授の研究室に通っているのは、他人に関心が薄い教授の研究室に問題児が居ても邪魔さえしなければ文句を言われにくいって理由があるから。
 決して、金田教授に恋してるって訳じゃない。そんな噂はあるけど、違う。金田教授の男らしい髭面は好みだけど、恋はしていない、と思う。

 お偉いさんから『知識や技術をもっと有用に使うべきだ』って説教や忠告をされながらも、応える意志を持っていないのか、金田教授は協調性のない秀才って呼ばれているらしい。
 天才じゃなく秀才なのは、千王国このくにが霊力を先天性な才能と見なし、知識や技術を後天的な才能って見なしている。
 だから、千王国このくにでは、先天性の才能が高い人を天才、後天性の才能が高い人を秀才って呼ぶことが多い。

 金田教授は今を生きる他者ひとから理解を得たいっていう願望じゃなくて、何時か必ず認められる霊具を作っているって感じに見える。
 だから、今の社会で生きているのに今の時代で生きているって感じがしない。

 自己の中にある成功するって確信が自信を抱かせて、迷いなく探求する金田教授の有り様を私は羨ましく思う。
 理想を叶えられないって気持ちがある私には自信がないから、素直に生きられない。そんな私と違って素直に生きている金田教授に私が憧れを抱くのは当然の事だと思う。

 千王国せんおうこく、否、国立霊能高等学校こくりつれいのうこうとうがっこっていう社会の中で何処かズレているっていう僅かな共通点を持ちながら、金田教授と私の間には圧倒的な差がある

 問題児な私の有り様を私自身が問題視している。そんな私と違って、金田教授は自分の有り様に疑問を持っていない様子だ。だから私は、金田教授の側に居るのかもしれない。
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