狼少年の番犬さん

村井 彰

文字の大きさ
上 下
10 / 19
第二章 旅立ち

2話 自分の価値

しおりを挟む
  アリサに案内されるまま辿り着いた集落の奥には、小さな家がポツンと一軒だけで建っていた。その戸口の近くには、気怠けだるそうに手斧を振るって薪を割る女の姿がある。おそらく彼女がアリサの姉だろう。突然現れた旅人たちを意気揚々と紹介する妹を見ても、彼女は顔色ひとつ変えない。
「ふーん。勝手にすれば?」
「……俺たちが言うのもなんだが、あんたらもうちょっと他人を疑った方が良いんじゃないのか。女二人で暮らしている場所に知らない男が踏み込んできたら、普通は警戒するもんだろう」
「別に、どうでも良いわよ。盗られて困る物なんて何もないし、あんたらが何かする気なら、私らが抵抗したってどうせ無駄でしょ」
  年の頃は二十代半ばくらいだろうか。顔立ちは少し似ているが、生きることそのものに疲れきったようなその言動は、アリサのそれとは正反対である。自分たちの方を見もしない彼女の様子に、アルフレッドも困惑しているようだ。
「あの、僕たちは別に、あなたたちに何かしようなんてことは……」
「ね! お姉ちゃんもこう言ってるんだから、ゆっくりしていけばいいわ!」
  アリサの姉に対して釈明しようとするアルフレッドの言葉を遮り、アリサは嬉しそうに笑いながら彼の手を取った。
「そろそろご飯の支度しなきゃ。あなたたちの分も作るから手伝って」
「え、ちょっと」
  戸惑うアルフレッドの手を引いて、アリサは彼を半ば引きずるようにして家の中へと消えていった。硝子も何も嵌っていない窓からは、無邪気に笑う少女の声が聞こえてくる。そして残されたジュードの横にいるのは、怠そうに斧を振るい続ける女がひとり。さてどうしたものか。
「……あんた、名前は」
「モナ」
「そうか。なあモナ。なにか男手が必要なことは無いか。ここにいる間、手伝える限りのことはする」
「男手……?」
  ジュードの方に初めて視線を向けて、モナは思いの外長いまつ毛を瞬いた。
「そうね。やって欲しいことなんか、いくらでもあるよ。私と妹だけじゃ屋根の修理もろくに出来ないし、水汲みも薪割りもあの子には難しいからって私が引き受けてたら、どんどん腕が太くなっちゃってさ。やってらんないわ」
  モナは口の端だけで笑うと、着古した服の袖を大きくまくって見せた。たしかに、力仕事とは無縁のご令嬢たちに比べれば、ずいぶんと逞しい体つきをしている。
「男でも女でも、力があるのは悪いことじゃないだろ。……で、薪割りだったか? それなら後は俺がやる」
「ん、これはもう終わるからいいわ。それより水汲んできてよ。杖ついてる人に頼むのもなんだけど」
「……いや、別にこれが無いと歩けない訳じゃないんだ。気にしないでくれ」
  こんな物を持ち歩いているのは、決して無闇に気遣われるためではない。理由のない気まずさを感じながら、ジュードは手にしていた杖をベルトの隙間に引っ掛けた。
「足が悪いの?」
「ああ……戦に出ていた頃に、ちょっとな」
「ふうん。まあ良かったんじゃない。そうやって生きて、自分の足で歩けてるんならさ」
  興味なさげに呟いて、モナは足元に散らばった薪を拾う。その言葉には何やら含みがあるように感じた。
「その辺のバケツ、勝手に使って」
「わかった」
  軽く頷いて、目についた大きめのバケツを拾い上げる。
  これ以上、彼女との会話を掘り下げる必要もないだろう。こんな山奥に、若い姉妹がたった二人きりで暮らしているのだ。なんらかの事情があることくらい、わざわざ聞かなくても察しがつく。それがどんなことでも、面倒事は御免だった。


  *


「おにーさん、どんな感じ? 直りそう?」
「とりあえず応急処置はした」
  うっかり屋根を踏み抜かないよう慎重に梯子を降りながら、ジュードは下で待つモナにそう答えた。
かやが腐っていた部分を抜いて、板で埋めておいた。本格的に修理するには、材料も俺の技術も足りないからな」
「そう。とりあえず雨漏りしなくなるなら十分よ。ありがとね」
  モナはジュードの肩を軽く叩いて、へらりと笑う。すでに日はずいぶん傾いて、家も、道も、目の前にいる人も、全てが燃えるような赤に染まっていた。
「夕飯、あんたの分もあるから来なよ。うちの妹とあんたの連れが頑張って作ってたよ」
  その言葉の通り、家の中からはよく煮込まれた豆や野菜の甘い香りが漂ってくる。ジュードが水汲みや屋根の修理に明け暮れている間、アルフレッドの方も仕事をこなしていたらしい。
「やっぱり人手があると楽だね。……あんたたちさ、しばらくここでゆっくりしていったら?」
「そうしたいのは山々だけどな、先を急ぐ旅なんだ。明日、陽が昇ったらすぐに出発する」
「……そっか」
  少し残念そうに呟いて、モナは家の扉に手をかけた。
「あ、おかえりなさい。お姉ちゃん、ジュードさん」
  家の中に充満する煙を窓からパタパタと追い出しながら、アリサはそう言って二人を出迎えた。そのすぐそばでは、アルフレッドが慣れない手つきでテーブルセッティングをしている……と言っても、使い込まれてガタガタのテーブルと椅子を引っ張り出して、部屋の中央に並べているだけなのだが。
「あんた、家の中でもそれ脱がないの?」
  灰色のローブについたフードを頭から被っているアルフレッドを見て、モナが怪訝な顔をする。
「……あまり、人に見せたい容姿じゃないので」
「アルってば、ずっとそればっかりなのよね。こんなにハンサムなのに」
  無邪気なアリサに顔を覗き込まれそうになり、アルフレッドは慌てた様子でフードを深く被り直した。これはさすがに止めてやるべきか。
「二人とも、その辺にしてやってくれ。あんたらだって、会ったばかりの人間に深くまで踏み込まれたら困るだろ?」
  そう言って何気ないふりでアルフレッドとアリサの間に割って入ったが、アリサは何やら不満そうだ。
「たしかに会ったばかりだけど、私はもっとアルと仲良くなりたいの。だってアルって、おとぎ話に出てくる王子様みたいなんだもん」
  会話に割り込んできたジュードと、その背中に半分隠れているアルフレッドをじっと見比べて、アリサはふと何かを思いついたように瞳を瞬いた。
「ねえ。もしかして、アルって本当に王子様なんじゃない? どこかのお城からお忍びで旅に出た王子様で、ジュードさんは王子様を守る騎士なんでしょ? 違う?」
「……悪いな、お嬢ちゃん。俺はそんな大層なモンじゃないよ」
  あまりにも純粋な少女の視線に、ジュードはただ苦笑することしか出来なかった。こんな小さな農村で暮らしている少女にとって、確かにアルフレッドは王子様のような存在だろう。だが、よりによって王子に仕える騎士とは。仕えるべき主を持たず、ただ日銭を稼ぐために剣を振るっていた自分とは、真逆のような存在だ。
「ほら、バカなこと言ってないで座りなよ」
  ジュードに詰め寄るアリサの頭を通りすがりに軽く小突いて、モナは自分の椅子に腰を下ろした。いつの間にか、それぞれの席には取り分けられたスープとパンが並んでいる。
「あんたらの食器、長いこと使ってなかったやつだからどっかから中身漏れてくるかも。さっさと食べちゃって」
「分かったよ」
  苦笑いしながら椅子を引いて、ジュードもモナの向かいに腰を下ろした。その左隣にアルフレッド、さらにその向かいにアリサが着席するのを待って、各々目の前に置かれた食事に手を伸ばした。焼かれてから時間が経って硬くなったパンを無理やり千切って、豆と野菜がドロドロに煮込まれたスープに浸す。お世辞にも美味いとは言えない代物だが、貧しい農家の食事など大体こんなものだ。隣のアルフレッドを横目に窺ってみたが、文句も言わずに硬いパンの欠片を口に運んでいるところだった。
「ねえ、二人はこれからどこへ行くの?」
  スプーンの先でスープを掻き回しながら、アリサはそう言った。
「僕の生まれ故郷にいる親族に呼ばれてるんだ。……訳あって長く会えてない母親の具合が、あんまり良くないみたいで」
「そうなの? ……じゃあ早く行かなきゃダメね」
「うん。そうなんだ」
  スープをひとさじ掬って、アルフレッドはこくりと頷いた。実際、あの書簡が届くまでにかかった日数を思えば、彼の母親が生きているうちに辿り着ける保証は何もない。もしかすると、もう手遅れになっている可能性もある。それでも、今はただ目的地へ向かう以外の術はないのだ。
「お母さんかあ……私、お母さんって会ったことないの。私が産まれた時に死んじゃったんだって。お父さんとお兄ちゃんも、だいぶ前に戦争に行って帰って来なかったから、あんまりよく覚えてないし。だからお母さんに会いに行けるの、羨ましいな」
  何気ない調子で話すアリサの隣で、モナは何も言わずに平然としている。明かりのない家の中は薄暗く、その表情はよく分からない。
  意図せずして、彼女らの“事情”の一端を知ることになってしまった。おそらく、ジュードたちが今使っている椅子や食器は、彼女らの父と兄の物だったのだろう。人間を遥かに越える力を持つワーウルフたちとの戦いは苛烈を極め、戦の末期にはこんな農村からも兵士を募るしかなかったのだ。
「ねえアル。お母さんが元気になったら、またここに来てね。今度はお母さんも一緒に。私、アルのお母さんに会ってみたいわ」
「……そう、だね。そう出来たら、良いんだけど」
  曖昧に答えて、アルフレッドは真っ直ぐなアリサの瞳から目を逸らした。終戦を迎えて以来、ワーウルフたちは与えられた僅かな居住地から外に出ることを禁じられている。彼の母親が回復したところで、里の外へ連れ出すことは出来ないだろう。彼女らが家族を亡くした経緯を思えば、なおのことだ。
  これからきっと、いくつも嘘を重ねていくことになる。それでも、アルフレッドの身の安全を思えば、彼の本当の姿を晒して歩く訳にもいかないのだ。
  やはり、アルフレッドの父が望んだような『人間とワーウルフが共に生きる未来』などというものは、そう簡単に訪れはしないのだろう。


  *


  その日の夜。ジュードとアルフレッドは、姉妹の家から少し離れた場所にある小さな家を選んで、二人で寝床を整えていた。
「……よし。これでなんとか寝られるでしょう」
  家の中に取り残されていたベッドを二つくっつけて、姉妹に分けてもらった藁の上から薄手の毛布を被せただけの寝床を見下ろして、ジュードは軽く頷いた。アルフレッドの屋敷のベッドとは比べるべくもないが、これでも野外で眠るよりは遥かにマシだろう。
「なんだかこういうの、ちょっとワクワクしますね」
  無邪気に笑って、アルフレッドは藁のベッドの上に寝転んだ。二人きりの今は姿を隠す必要もないので、尖った耳も、大きな尻尾も、窮屈なローブの下から解放されている。うつ伏せになった彼の尻尾は、ふわふわと楽しげに揺れていた。
「そう言ってくれて、少し安心しましたよ。庶民の暮らしはなにかと窮屈ですし、かえって疲れちまったんじゃないかと思ってました」
「確かに、僕が知らないこととか、見たことのない物ばかりで驚きましたけど、むしろそれが新鮮で楽しかったんです」
  そう言って、アルフレッドはジュードの顔を見上げて笑う。窓から差し込む月の光に照らされて、明かりは無くとも彼の表情は眩しく見えた。輝くような笑顔を浮かべたまま、アルフレッドはさらに言葉を紡ぐ。
「料理も、掃除も、僕にとっては初めてのことばかりで、全部アリサに教えてもらいました。アリサは僕より年下なのに、僕の知らないことをたくさん知っていて……そうやって、知らなかったことを知れるのが、今はとにかく嬉しいんです」
  アルフレッドの言葉に耳を傾けながら、ジュードはずっと履いたままだったブーツを脱いでベッドに上がり、彼の隣で横になった。アルフレッドの世界がこうして広がっていくのは喜ぶべきことのはずなのに、どこか寂しさを感じてしまう身勝手な自分もいる。
  年の近い少女と二人、楽しげに言葉を交わすアルフレッドの姿は、とても自然だった。彼と身分が違うのは、どのみちジュードも同じこと。それなら、血腥ちなまぐさい世界で生きてきた自分なんかより、アリサのような普通の娘の方が、よほど彼に健全な生き方を教えてやれるのではないか。ここに来てから、ついそんなことを考えてしまう。
  そんなジュードの気持ちが伝わった訳ではないだろうが、隣で横になっているアルフレッドの表情がふと陰った気がして、ジュードはその横顔に意識を向けた。
「どうかしましたか?」
「……いえ、今日は楽しかったんですけど、どうしても引っかかってることがあって」
  自分の腕の中に半分顔を埋めて、アルフレッドは横目にジュードの顔を窺う。
「……あの、アリサのお姉さんと二人でいた時、何の話をしてたんですか」
「何のって……別に大した話はしてませんよ。男手が無くて大変だとか、屋根のどこそこから雨漏りがするから直してくれだとか、そんな話です」
「そう、ですか……それなら、別に、良いんですけど……」
「アルフレッド様? 一体何が気がかりなんです?」
  歯切れの悪いアルフレッドの言葉がいまいち飲み込めず、ジュードは手を伸ばして彼の頬に触れた。しかし、アルフレッドは嫌々をするように首を振って逃れようとする。
「……ジュードさんに何か不満がある訳じゃないです。ただ、アリサのお姉さんと、あなたが二人で話しているのを見た時、『お似合いだな』って思ってしまった自分がすごく嫌で……あなたは、僕の恋人なのに」
  アルフレッドはそう言いながら、完全に顔を伏せてしまう。
「……あなたに比べたら、僕は何も出来ない世間知らずの子供でしかなくて……きっと、あなたの隣にいるのは、アリサのお姉さんみたいな、自立した大人の女性の方が似合うんだと思います。……それでも、僕はあなたを離したくない。だから、早くあなたに似合う大人の男になりたいのに、そのためにいろんなことを知りたいのに、何かをひとつ知る度に、自分が何も知らないんだってことを思い知らされるばっかりで……すごく楽しいのに、同じだけ苦しくなるんです」
「アルフレッド様……」
「ごめんなさい、こんな話……」
  詫びの言葉を口にしようとするアルフレッドの髪に触れ、ジュードはそのまま柔らかな髪をぐしゃぐしゃと掻き回した。
「ひゃ、な、なにするんですか」
「良いですか、アルフレッド様。俺は、貴方以外の誰かと恋仲になりたいなんて、これっぽっちも思っちゃいません。そもそも、特定の誰かと近しい関係になろうなんて、今まで考えたこともなかった。……それが変わったのは、貴方に出会ってからですよ」
  どうやら、自分たちはずっと同じことで悩んでいたらしい。釣り合いだとか、世間の目だとか、そんなものばかりを気にして、お互いの心が見えなくなっていた。
「貴方は今でも十分良い男なんですから、あまり急いで成長しないでください。貴方がこれ以上立派になったら、これから出会う女たちはみんな、貴方を放っておかないでしょう。そうなったら、貴方は俺のことなんかあっという間にどうでもよくなっちまうんじゃないかって、気が気じゃないんですよ」
「そんな……どこへ行ったって、あなた以上に素敵な人なんていません!」
  弾かれたように顔を上げたアルフレッドは、ジュードの肩に手を伸ばして、夢中で縋りついた。その細い手をそっと包み込んで、傷つけない程度にギュッと握る。
「俺にとっても、同じですよ。貴方以上に魅力のある相手なんていません。それに、こんな良い男に愛されているのに他へ目移りするほど、愚か者じゃないつもりですよ」
「……僕は、あなたにそんなふうに言ってもらえるほど、立派じゃありません……」
「おや、恋人の言葉が信じられませんか」
「そうじゃない、けど……」
  口ごもるアルフレッドを抱き寄せて、その体を腕の中に閉じ込める。微かに伝わってくる鼓動が、愛しい人が確かにそこに存在しているのだと教えてくれた。
「……俺だってね、自分が貴方に愛される価値のある人間だなんて、どうしても思えないままです。これまで、貴方には到底話せないような汚いことも、たくさんしてきた。そんな俺が貴方のそばにいて良いのかと、何度も自分に問いかけましたよ。……本当は、今だってそうです」
  腕の中のアルフレッドは身動ぎもせず、ジュードの言葉に耳を傾けている。けれど、彼の大きな尻尾がふわりと揺れて、ジュードの腰を優しく撫でた。
「…………僕は、あなたの声が好きです。お腹の奥に響くような穏やかでかっこいい声で、名前を呼ばれるとドキドキします。それに、僕がこうして迷っている時はいつだって、優しい言葉をかけて抱きしめてくれて……だけど、収穫祭の時みたいに、悪い人を一瞬で倒せるだけの強さも持ってる。優しくて、強くて、温かい人。昔のことは分からないけど、今のあなたの素敵なところ、僕はたくさん知ってます」
  ジュードの胸に頭を擦り寄せて、アルフレッドはひとつひとつ言葉を重ねていく。
「価値……なんて言葉であなたを測れるとは思わないけど、でも、あなたが自分に価値を見出せなくても、僕にとっては、世界でたったひとりの恋人です」
「……そうですね。きっと自分の価値なんて、案外自分自身が一番見えていないもんなんでしょう。俺も、貴方も」
  だからこそ、人も、人でない者も、自分以外の誰かと寄り添い合おうとするのだろう。
  腕の中で穏やかな呼吸を繰り返すアルフレッドの頬を、指の背でそっと撫でる。すると、胸に触れる吐息がくすぐったそうに震えた。その背中をぐっと抱き寄せて、体をぴったりと密着させると、薄手の寝巻き越しに少し速い鼓動が伝わってくる。
「んん……」
  アルフレッドの尻尾が、なにやら困った様子でぱふぱふと大きく揺れる。身動ぎしながら顔を上げた彼の頬は、ほんのりと赤く染まっていた。
「あ、あの、ジュードさん……あんまりくっつかれると、その……」
  もぞもぞと身動ぎして距離を取ろうとするアルフレッドの吐息が、ずいぶんと熱を帯びていることに気づく。彼が望むのなら、このまま全て受け入れてやりたいと思うのだが、生憎今夜は何の準備も出来ていない。
「……アルフレッド様。明日の朝ここを出れば、次はいつ屋根のある場所で眠れるか分かりません。こうして好きなだけ触れ合えるのも、今のうちです」
  アルフレッドの手を優しく取って、ベッドの上にそっと横たえる。そのまま華奢な体の上に覆い被さると、アルフレッドは少し驚いたようにジュードの顔を見上げ、満月に似た瞳を瞬いた。
「ジュードさん……?」
「こっちを使うのは久々なもんで、少々まずいかもしれませんが勘弁してくださいよ」
  ジュードはそう言って体の位置をややずらし、アルフレッドの衣服に手をかけた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

宝珠の少年は伯爵様に責められる

BL / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:9

風紀委員長は××が苦手

BL / 連載中 24h.ポイント:241pt お気に入り:213

死ぬまでにやりたいこと~浮気夫とすれ違う愛~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14,675pt お気に入り:7,007

モテたかったがこうじゃない

BL / 連載中 24h.ポイント:1,682pt お気に入り:3,847

おじさんの恋

BL / 完結 24h.ポイント:248pt お気に入り:766

獣の幸福

BL / 連載中 24h.ポイント:1,157pt お気に入り:668

魔法使いと兵士

BL / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:37

単話集

66
BL / 連載中 24h.ポイント:156pt お気に入り:56

処理中です...