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プロローグ
途中からのプロローグ
しおりを挟む二十メートルほど先に、男がふたり立っていた。
「どうだ? いたか」
「いや。そっちは?」
「いない」
深刻そうなこの会話を耳にしたのは、ついさっき。
で、曲がり角から顔だけ出して見たら、ふたりがいたわけ。
なんで曲がり角から顔だけ……なんて警戒してるかというと、彼らの態度が切迫した感じだったから。ふたりとも黒づくめの格好でいかにも怪しい雰囲気だ。鍔の大きい布製の帽子、コート、長めの裾から突き出たスラックス、革靴、すべて黒。サングラスまで黒。コートの合わせから覗くジャケットもネクタイもアンダーも黒のようだ。どこかのスパイみたいじゃない?
ふたりとも、服装は同じだけど明らかに体型が違う。身長は同じくらいで百センチちょっと(低い!?)、でも横幅が。右側は標準より細めかな、くらいで、左側がその三倍以上ある。並んでると小枝の隣に年輪何百年ていう丸太があるみたい。
ここまで対照的なコンビなんて、マンガじゃないの。
左側の丸太が見かけに似合う低く太い声で押し殺すように言った。
「なかなかヤツはすばしこいな。これほど探しているのに、影も見せん」
「急がないと時間がないぞ。人数を増やすよう、言ってみるか?」
あれ、小枝のほうも、似たような声音をしてる。辺りを憚る囁きに近い喋り方だからかな?
でも私の耳にはよく聞こえるんだけどね。
「人数は増やせないだろう。これ以上動員すれば感づかれる」
「そうか。秘密のうちにやっちまわないとまずいんだっけな。しかし、あと百六二時間しかないんだ。もし見つからなかったら……」
慌てて私、計算。このくらいの暗算はできる。百六ニ時間ていうと、六日と十八時間? 約一週間てことね。
「しかたない、三時間待って、見つからなければ会議だ。その時に考えればいい」
「わかった」
そして男達はいつの間にか姿を消していたけど、ひょっとして今の、何か重要な会話だったんだろうか。心当たりのない連中だったとはいえ、ひどく気になった。
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