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第44話
永久固定という選択
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呼び出しは、王命だった。
「魔術院第一研究官より、緊急提案あり。」
北境の微細な乱れが、想定より速く進行しているという。
王城の会議室。
アルヴェインは、静かに一礼した。
「単刀直入に申し上げます。」
机上に、巨大な術式図が広げられる。
「境界は、今後も変動します。」
「固定化された誓約は、追従できない。」
レオは、無言で聞いていた。
「ですが…」
アルヴェインの指が、中央を指す。
「永久固定を行えば、境界そのものを“固定値”へ書き換えられる。」
空気が、凍る。
「……どういう意味だ?」
カイルの声は低い。
「誓約を、世界構造の基準点にする。揺らぎを消す。完全安定。」
レオの刻印が、わずかに反応する。
冷たい光。
「代償は?」
カイルが問う。
アルヴェインは、淡々と答えた。
「誓約は、2度と変動しない。感情による増減も、進化もない。完全な循環式。」
沈黙。
それは。
「……永遠に、このまま。」
レオが、静かに言う。
「はい。」
アルヴェインは頷く。
「境界は救われる。国家は安定する。あなた方も、失う恐怖から解放される。」
甘い言葉。
だが。
カイルが、机を叩いた。
「ふざけるな!」
怒りが、はっきりと滲む。
「誓約は、石像ではない。生きている。」
アルヴェインは、冷静だ。
「生きているからこそ、脆い。脆いからこそ、悲劇が起きる。」
レオは、胸を押さえた。
固定化の静けさ。
あの夜の違和感。
「……永久固定すれば…」
レオが問う。
「俺たちは、2度と揺れない?」
「はい。不安も、恐怖も、喪失も…極小化されます。」
それは。
楽だ。
もう、失う恐怖に怯えなくていい。
「……レオ…」
カイルが、低く呼ぶ。
蒼い瞳が、真っ直ぐに向けられる。
「俺は、拒否する。」
即答だった。
「誓約が揺れるなら、揺れればいい。怖いなら、怖いままでいい。選び続ける。」
その言葉に。
刻印が、ほんの僅かに温かくなった。
固定ではない、自然な共鳴。
アルヴェインは、レオを見る。
「あなたは?」
沈黙。
レオは、目を閉じた。
永久固定。
世界は救われる。
だが。
揺らぎは、消える。
選び直す余地も、消える。
「……俺は…」
ゆっくり、目を開く。
「怖いです。」
正直に言う。
「でも…」
カイルの手を握る。
「怖いから、選ぶんです。」
刻印が、微かに波打つ。
久しぶりの、揺らぎ。
アルヴェインは、静かに息を吐いた。
「……理解しました。」
だが、その目は冷えている。
「では、崩壊は受け入れると?」
カイルが、はっきりと言う。
「崩壊はさせない。だが、固定もしない。方法は、別にある。」
アルヴェインは、薄く笑った。
「ならば…その方法を、見せてください。」
境界の揺らぎは、加速している。
選択の猶予は、ない。
誓約は。
固定か。
崩壊か。
それとも――
第3の道か。
ついに、決断の段階へ入った。
「魔術院第一研究官より、緊急提案あり。」
北境の微細な乱れが、想定より速く進行しているという。
王城の会議室。
アルヴェインは、静かに一礼した。
「単刀直入に申し上げます。」
机上に、巨大な術式図が広げられる。
「境界は、今後も変動します。」
「固定化された誓約は、追従できない。」
レオは、無言で聞いていた。
「ですが…」
アルヴェインの指が、中央を指す。
「永久固定を行えば、境界そのものを“固定値”へ書き換えられる。」
空気が、凍る。
「……どういう意味だ?」
カイルの声は低い。
「誓約を、世界構造の基準点にする。揺らぎを消す。完全安定。」
レオの刻印が、わずかに反応する。
冷たい光。
「代償は?」
カイルが問う。
アルヴェインは、淡々と答えた。
「誓約は、2度と変動しない。感情による増減も、進化もない。完全な循環式。」
沈黙。
それは。
「……永遠に、このまま。」
レオが、静かに言う。
「はい。」
アルヴェインは頷く。
「境界は救われる。国家は安定する。あなた方も、失う恐怖から解放される。」
甘い言葉。
だが。
カイルが、机を叩いた。
「ふざけるな!」
怒りが、はっきりと滲む。
「誓約は、石像ではない。生きている。」
アルヴェインは、冷静だ。
「生きているからこそ、脆い。脆いからこそ、悲劇が起きる。」
レオは、胸を押さえた。
固定化の静けさ。
あの夜の違和感。
「……永久固定すれば…」
レオが問う。
「俺たちは、2度と揺れない?」
「はい。不安も、恐怖も、喪失も…極小化されます。」
それは。
楽だ。
もう、失う恐怖に怯えなくていい。
「……レオ…」
カイルが、低く呼ぶ。
蒼い瞳が、真っ直ぐに向けられる。
「俺は、拒否する。」
即答だった。
「誓約が揺れるなら、揺れればいい。怖いなら、怖いままでいい。選び続ける。」
その言葉に。
刻印が、ほんの僅かに温かくなった。
固定ではない、自然な共鳴。
アルヴェインは、レオを見る。
「あなたは?」
沈黙。
レオは、目を閉じた。
永久固定。
世界は救われる。
だが。
揺らぎは、消える。
選び直す余地も、消える。
「……俺は…」
ゆっくり、目を開く。
「怖いです。」
正直に言う。
「でも…」
カイルの手を握る。
「怖いから、選ぶんです。」
刻印が、微かに波打つ。
久しぶりの、揺らぎ。
アルヴェインは、静かに息を吐いた。
「……理解しました。」
だが、その目は冷えている。
「では、崩壊は受け入れると?」
カイルが、はっきりと言う。
「崩壊はさせない。だが、固定もしない。方法は、別にある。」
アルヴェインは、薄く笑った。
「ならば…その方法を、見せてください。」
境界の揺らぎは、加速している。
選択の猶予は、ない。
誓約は。
固定か。
崩壊か。
それとも――
第3の道か。
ついに、決断の段階へ入った。
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