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崖の先 AI
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「あいたたた……」
崖から転がり落ちたわたしは、全身に走る痛みに呻き声を漏らした。
不幸中の幸いというか、崖はやわらかい土と草で覆われていた。お陰でゴツゴツした岩の上を転がり落ちるよりは遥かにマシな結果となった。
加えて落ちた先に運よく木があったのもあり、わたしは木の葉にバウンドしてから草木の上に落ちたので、神がかり的な幸運で最小限のダメージだけで済んでいた。あっちこっちに擦り傷は作ったけど。
「上城、大丈夫か!」
慌てた夜見川君が大声を上げながら下りて来る。冷静な夜見川君しか知らなかったので、かなりレアな瞬間に出会ったなと思う。
「大丈夫、あっちこっち擦りむいたけど。いたた」
「いや、大丈夫じゃないだろ。見せてみろ」
そう言って夜見川君がわたしの骨がどこか折れていないか見はじめた。腕を動かしたり、膝を曲げたり伸ばしたりしてみたけど、擦り傷以外の痛みは無かった。
「どうやら本当に大ケガはしていないようだな」
「そうだね。運がいいんだか悪いんだか分からないけど」
自分で言っていて思ったけど、不注意で崖から落ちて擦り傷だけで済んでいるんだから、わたしが大ケガを負っていないのは幸運以外の何物でもないだろう。
「ところで、夜見川君って応急処置とか診断も出来るの?」
読書家の夜見川君ならそういうこともあるのかもと思って訊いてみる。
「いや、まったく知らん」
「知らないのかよ」
ツッコんでから、思わず笑ってしまう。知らないのに見せてみろとか言ってたの?
まあ、一生懸命助けようとしてくれたんだろうな。夜見川君なりに。
「良かったよ。大きなケガを負っていなくて」
「ごめんね。はしゃいでいたら、すぐそこに崖があるのに気付かなかった」
自分で言ってから、「だからこの崖は夜に立ち入るなって言われているんだろうな」と思った。気付くのが遅すぎたけど。
「そろそろ戻ろうか。あんまり待たせると岳たちにも心配される」
夜見川君が手を差し出す。わたしはその姿に一瞬だけドキッとしてから、夜見川君の手を強く握り返した。
わたしの体はすごい力で引っ張り上げられて、そのまま苦労もせずに立ち上がる。手足の表面がジンジンする以外は何も無かったので、良かったと思った。
「ごめんね。心配させちゃって」
「いいんだ。上城が危ない場所に立っていたのに気付かない俺がバカだったんだ」
まるでイケメンみたいなセリフを言うなあ。そう思っていたわたしは、視界の端にありえないものが映っているのに気付いた。
「え?」
「どうした?」
そう言って振り返った夜見川君も「は?」と言ったまま言葉を失う。っていうことは、わたしの見間違いではない。
わたし達の立っている崖の突起の先に、白い人影があった。それが服なのか、肉体なのかも分からない。
だけど、それが本来わたし達に見えてはいけない存在であることぐらいは理解が出来た。
「あれって……」
長い黒髪に、表情の読み取れない顔つき。
――そこに浮いているのは、明らかに幽霊だった。
崖から転がり落ちたわたしは、全身に走る痛みに呻き声を漏らした。
不幸中の幸いというか、崖はやわらかい土と草で覆われていた。お陰でゴツゴツした岩の上を転がり落ちるよりは遥かにマシな結果となった。
加えて落ちた先に運よく木があったのもあり、わたしは木の葉にバウンドしてから草木の上に落ちたので、神がかり的な幸運で最小限のダメージだけで済んでいた。あっちこっちに擦り傷は作ったけど。
「上城、大丈夫か!」
慌てた夜見川君が大声を上げながら下りて来る。冷静な夜見川君しか知らなかったので、かなりレアな瞬間に出会ったなと思う。
「大丈夫、あっちこっち擦りむいたけど。いたた」
「いや、大丈夫じゃないだろ。見せてみろ」
そう言って夜見川君がわたしの骨がどこか折れていないか見はじめた。腕を動かしたり、膝を曲げたり伸ばしたりしてみたけど、擦り傷以外の痛みは無かった。
「どうやら本当に大ケガはしていないようだな」
「そうだね。運がいいんだか悪いんだか分からないけど」
自分で言っていて思ったけど、不注意で崖から落ちて擦り傷だけで済んでいるんだから、わたしが大ケガを負っていないのは幸運以外の何物でもないだろう。
「ところで、夜見川君って応急処置とか診断も出来るの?」
読書家の夜見川君ならそういうこともあるのかもと思って訊いてみる。
「いや、まったく知らん」
「知らないのかよ」
ツッコんでから、思わず笑ってしまう。知らないのに見せてみろとか言ってたの?
まあ、一生懸命助けようとしてくれたんだろうな。夜見川君なりに。
「良かったよ。大きなケガを負っていなくて」
「ごめんね。はしゃいでいたら、すぐそこに崖があるのに気付かなかった」
自分で言ってから、「だからこの崖は夜に立ち入るなって言われているんだろうな」と思った。気付くのが遅すぎたけど。
「そろそろ戻ろうか。あんまり待たせると岳たちにも心配される」
夜見川君が手を差し出す。わたしはその姿に一瞬だけドキッとしてから、夜見川君の手を強く握り返した。
わたしの体はすごい力で引っ張り上げられて、そのまま苦労もせずに立ち上がる。手足の表面がジンジンする以外は何も無かったので、良かったと思った。
「ごめんね。心配させちゃって」
「いいんだ。上城が危ない場所に立っていたのに気付かない俺がバカだったんだ」
まるでイケメンみたいなセリフを言うなあ。そう思っていたわたしは、視界の端にありえないものが映っているのに気付いた。
「え?」
「どうした?」
そう言って振り返った夜見川君も「は?」と言ったまま言葉を失う。っていうことは、わたしの見間違いではない。
わたし達の立っている崖の突起の先に、白い人影があった。それが服なのか、肉体なのかも分からない。
だけど、それが本来わたし達に見えてはいけない存在であることぐらいは理解が出来た。
「あれって……」
長い黒髪に、表情の読み取れない顔つき。
――そこに浮いているのは、明らかに幽霊だった。
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