黒蜜先生のヤバい秘密

月狂 紫乃/月狂 四郎

文字の大きさ
11 / 17

闇に葬られた過去

しおりを挟む
 ネットで月海つきみカリンを検索してみた。

 月海カリンは中学1年生でアイドルとしてデビューして、関係者の間ではかなりの注目を浴びていた。それこそ、数年後のアイドル界隈の中核には月海カリンがいる可能性が高いと言われるほど。

 だけど、彼女はスキャンダルを起こした。恋愛スキャンダルぐらいならまだ良かったが、より一層ファンを地獄に突き落とすものだった。

 実話系週刊誌の過去記事を見ると、その詳細が書かれていた。

 写真に写っているのは月海カリン――若かりし頃の黒蜜先生だった。それを突き止めるのにさして時間はかからなかった。

 検索で「月海カリン」のキーワードとともに「不祥事」や「本名」と検索すると、あっさりと月海カリンの本名晒しをされている書き込みを見つけた。日本で一番有名な掲示板だった。表記こそ誤字で黒光凛になっていたが、これは俺たちの担任である黒蜜凛先生に違いないだろう。

 記事を読んでいくと、おおよそ黒蜜先生の起こした事件とは思えないようなことが書いてあった。

 記事の書かれたネタ元の動画で、月海カリンは暴露を行った。現在この動画は削除されているが、探せば誰かの保存したデータが見つかるはず。

 月海カリンの暴露はかなり衝撃的だった。

 曰く、彼女の事務所は大手プロダクションのような力を持っていないため、仕事を得るためにアイドルたちに枕営業をさせていたということだった。

 月海カリンはテレビ関係者への枕営業を命じられて、ホテルにまでは行ったものの逃げて来たということだった。このままでは自分の身が危ないと感じた彼女は、暴露動画にてことの顛末を世界中へと発信した。そういった流れのようだ。

 どこまでが本当かは分からない。週刊誌は記事の9割が嘘であっても珍しくない。だけど、時としてとんでもない真実をえぐり出す。だからこそ、そのわずかな可能性にどうしても目を向けてしまう自分がいる。

 ――結局、月海カリンは芸能界の有力者と寝たのだろうか。

 ベッドで潤んだ目を見せる黒蜜先生――白いブラウスのボタンを一つ一つ外していく映像が流れて、下半身がわずかに反応しかける。こんな時でもそんな妄想をしてしまう自分が嫌になった。

 月海カリンはホテルから逃げて来たと自分では言っているようだが、本当にことに及んでいないかどうかはかなり怪しい。それは彼女に対して贔屓目に見ている俺ですらそう感じる。

 オヤジがなぜ彼女について話したがらないかがよく分かった。

 松本や森内はこのことを知っているのだろうか。

 いや、知っていればもっと徹底的にこのネタをバラ撒くはず。そうなると、でっち上げに近い形で黒蜜先生を誹謗しているうちに、部分的な真実が彼女に流れ弾で当たっていた可能性が高い。

 昔に枕営業をやったアイドルだったとしたら、たしかに黒蜜先生はヤバい教師で間違いないだろう。

 だけど――

 それでも俺は黒蜜先生を信じたい。

 私情が入っているのは間違いない。だけど、短い期間でも彼女と過ごして、そんなことをやる女性ではないと確信している。

 彼女は良くも悪くも純粋無垢で嘘がつけない。そんな彼女が、関係者に言われたからといって枕営業に走るはずがない……と、思いたい。分かっている。所詮は願望だ。でも、それでもいいじゃないか。

 見たくないものを見つけてしまった感はあるけど、これで先生が何に苦しんでいるのかが分かった気がした。きっと彼女はこの事件で負った心の傷を癒し切れていないのだ。

 いや、こんな傷、きっといつま経ったって消えやしない。

 だからこそ、余計に俺が守ってあげないといけない。

 黒蜜先生はヤバい教師なんかじゃない。俺がそう証明してやる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...