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死の連鎖
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――遠藤羅魅乃が全身から血を流して死んだ事件は人々を恐怖のどん底へと突き落とした。
まるで異世界に閉じ込められたかのように閉ざされた空間も、羅魅乃の死にざまが一区切りすると元に戻っていた。いつのまにか空は青く、固く閉ざされていたはずの引き戸もたやすく開いた。
ただ、教室の中央には全身から血を流して死んでいる女子高生が立っている。その光景だけは変わらない。
我に返った生徒たちは半ば発狂して、吐いたりその場から逃亡したりと、「正常な」人間のリアクションでパニックへと変わった。
当然のこと学校は休みになり、生徒たちは問答無用で帰された。サイレンが鳴り、精神に異常をきたした者が叫び、教室には惨劇が起きた場所の現場保存と鑑識班たち。何もかもが最悪の光景だった。
惨劇の爪痕は想像を超えていた。
白昼に女子高生が謎の病気を発症。エボラ出血熱を思わせ、かつそれよりもずっと凶悪な症状で人を死へと至らしめる。恐怖以外の何物でもない。
感染症の疑いも見られ、生徒全員が傷心する間もなく細菌研究所での検査を受けた。だが、それで何らかの感染の兆候が見られた者は一人としていなかった。
――クソリプさんが、彼女を殺した。
誰がそれを呟いたのかも分からない。だが、箝口令を敷かれた甲斐もなく人々を恐怖と混沌へと陥れる噂はネットの大海へと広がっていった。
誰もが恐怖する。見えない死の恐怖に。
クソリプさんはブラウザを開いたらいるかもしれないし、振り返ったらいるかもしれない。噂には尾ひれがついて、一層ネット発の恐怖は日本国内へと広がっていった。
クソリプさんが全国レベルで猛威を振るう。
惨劇はこれで終わりではない。そう人間に告げるかのように。
三崎涼の通う学校で惨劇が起きてすぐ、各地で惨劇の連鎖が起きていく。
次に惨劇が起きたのはアイドルのコンサートだった。ライブそのものは無事に終演したものの、興奮状態のファンたちが次々と道路に飛び出して狙いすましたように大型車両に轢かれて死んだ。
それまでは普通にしていたのに、急に「推しのためなら死ねる」と叫び出してから自殺したそうだった。
十名を超える犠牲者――というより自殺者と呼ばれる人々は、同じアイドルのファンという以外に共通点が見つけられなかった。ネットで表面上には見えない繋がりがないか、今でも警察の捜査が続いている。
その次は地方の遊園地であった。
やはりハイテンションでジェットコースターに乗り込んだ団体が、一回転中に普通であれば外れるはずのないシートベルトを次々と外して地面に叩きつけられて死んだ。乗っていた者たちはそこに居合わせただけの他人同士だった。
毎日、死体がどこかで積み上がる。死ぬ人間が多過ぎて、事件を追う警察の方がノイローゼ気味になった。
やめておけばいいのに、惨劇の舞台に居合わせた人々は「いいね」ほしさか「悩みを聞いてもらいたい」とばかりに残酷な事件をせっせと拡散していく。そのお陰で、ネットの大海にはさらなる恐怖が増殖していく。まさに悪循環だった。
――今日もまた誰かが死ぬ。
耐えられなくなった人々が国外へと逃亡を図る。だが、そういった人々の乗った飛行機は墜落し、船は深い海へと沈んでいく。
――みんなで行こうよ。
クソリプさん唯一の呟きが響く。
――みんなで行こうよ。
そのフレーズは、日本全国を恐怖のどん底へと叩き落としていった。
まるで異世界に閉じ込められたかのように閉ざされた空間も、羅魅乃の死にざまが一区切りすると元に戻っていた。いつのまにか空は青く、固く閉ざされていたはずの引き戸もたやすく開いた。
ただ、教室の中央には全身から血を流して死んでいる女子高生が立っている。その光景だけは変わらない。
我に返った生徒たちは半ば発狂して、吐いたりその場から逃亡したりと、「正常な」人間のリアクションでパニックへと変わった。
当然のこと学校は休みになり、生徒たちは問答無用で帰された。サイレンが鳴り、精神に異常をきたした者が叫び、教室には惨劇が起きた場所の現場保存と鑑識班たち。何もかもが最悪の光景だった。
惨劇の爪痕は想像を超えていた。
白昼に女子高生が謎の病気を発症。エボラ出血熱を思わせ、かつそれよりもずっと凶悪な症状で人を死へと至らしめる。恐怖以外の何物でもない。
感染症の疑いも見られ、生徒全員が傷心する間もなく細菌研究所での検査を受けた。だが、それで何らかの感染の兆候が見られた者は一人としていなかった。
――クソリプさんが、彼女を殺した。
誰がそれを呟いたのかも分からない。だが、箝口令を敷かれた甲斐もなく人々を恐怖と混沌へと陥れる噂はネットの大海へと広がっていった。
誰もが恐怖する。見えない死の恐怖に。
クソリプさんはブラウザを開いたらいるかもしれないし、振り返ったらいるかもしれない。噂には尾ひれがついて、一層ネット発の恐怖は日本国内へと広がっていった。
クソリプさんが全国レベルで猛威を振るう。
惨劇はこれで終わりではない。そう人間に告げるかのように。
三崎涼の通う学校で惨劇が起きてすぐ、各地で惨劇の連鎖が起きていく。
次に惨劇が起きたのはアイドルのコンサートだった。ライブそのものは無事に終演したものの、興奮状態のファンたちが次々と道路に飛び出して狙いすましたように大型車両に轢かれて死んだ。
それまでは普通にしていたのに、急に「推しのためなら死ねる」と叫び出してから自殺したそうだった。
十名を超える犠牲者――というより自殺者と呼ばれる人々は、同じアイドルのファンという以外に共通点が見つけられなかった。ネットで表面上には見えない繋がりがないか、今でも警察の捜査が続いている。
その次は地方の遊園地であった。
やはりハイテンションでジェットコースターに乗り込んだ団体が、一回転中に普通であれば外れるはずのないシートベルトを次々と外して地面に叩きつけられて死んだ。乗っていた者たちはそこに居合わせただけの他人同士だった。
毎日、死体がどこかで積み上がる。死ぬ人間が多過ぎて、事件を追う警察の方がノイローゼ気味になった。
やめておけばいいのに、惨劇の舞台に居合わせた人々は「いいね」ほしさか「悩みを聞いてもらいたい」とばかりに残酷な事件をせっせと拡散していく。そのお陰で、ネットの大海にはさらなる恐怖が増殖していく。まさに悪循環だった。
――今日もまた誰かが死ぬ。
耐えられなくなった人々が国外へと逃亡を図る。だが、そういった人々の乗った飛行機は墜落し、船は深い海へと沈んでいく。
――みんなで行こうよ。
クソリプさん唯一の呟きが響く。
――みんなで行こうよ。
そのフレーズは、日本全国を恐怖のどん底へと叩き落としていった。
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