【完結】夜の校舎で君を待ってる

月狂 紫乃/月狂 四郎

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深夜の逢引き Kenshin

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「なんか、思ったよりも早く来てくれたね」
「もちろん。美織さんに会いたかったからな」

 深夜の女子トイレで、俺はまた美織さんと会っていた。別に女子トイレでなくても彼女に会うことは出来るはずなんだけど、万が一警備員に見つかると厄介だ。だから「上手くいった方法でもう一回やる」の法則で、俺たちは女子トイレで再会した。

 俺の体からオーラか何かが出ているのか、「美織さん、今来たよ」って囁くだけで彼女は出て来てくれる。

 青白い顔に宙に浮いた女子中学生。だけど、見た目であれば花音よりもかわいい。というか大抵のアイドルよりはかわいい。

 なんでそこまで彼女に惹かれるのか分からないけど、美織さんのことをもっと知りたかった。

 美織さんとは、学校でどんなことがあったのかを話した。ずっと幽霊をやっていただけあって、現役中学生の話を聞けるのは美織さんでも楽しいらしい。そんなことで力になれるなら、俺はいくらでも協力してやる。

 いくらか話し込むと、俺は気になっていたことを訊いてみた。

「それで、美織さんはなんでここに居ついているの?」
「居ついてっていうか、なんかここから出られないんだよね。学校内とかは移動出来るんだけどさ、なんか、君以外の生徒にはあたしの姿は見えないらしいの」
「え? そうなの?」

 信じられなかった。だって、俺にとって美織さんはこうやって普通に見えている。眼福にも等しいこの美貌が見えないなんて、他の奴らはかなり損してるな、なんて思う。

 美織さんはそのまま会話を続ける。

「そう、だからあたしも動くに動けないっていうか、困ってるんだよね。別にトイレの花子さんになりたかったわけじゃないんだけど、みんなに存在を気付いてもらえないし。気付いてもらおうとして物を動かしたり壁を叩いたりしたんだけどさ、なんか怪奇現象で済まされちゃうんだよね」
「そうなのか。そりゃあ、大変だったね」

 それ以上にかける言葉が思いつかなかった。自分の存在を知らせたくても誰にも気付かれないって、きっとつらいだろうな。そんな生活(?)を何年も続けているのか、この人は。

「美織さん、嫌なら答えなくていいんだけどさ」
「うん」
「美織さんは、何で死んじゃったの?」

 そう言うと、美織さんは一瞬黙り込んだ。ヤベえ。さすがにデリカシーが無さ過ぎたか。こういうところを花音に怒られるんだよな。

 そんなことを思っていると、美織さんが口を開く。

「あたしはね、猫を追いかけてトラックに轢かれたの」
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