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誓いのキス
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レイ君と会ったのは地元で有名なレストランだった。正装が義務とは書いていないけど、この店にTシャツとジーパンで来る人はまずいない。
カフェでの出来事が脳裏をよぎる。
うう、ここでまた騒動を起こしたら最悪だ。前の店は出禁こそされていないけど、しばらくは行く勇気が無い。このお店でそんなことがあれば、わたしは地元で有名人になるだろう。ヤバい女として。
騒ぎを起こさないという決意もあり、わたしは場に相応しく正装で来た。上下をシックな黒系ジャケットとスカートで揃える。見ようによっては入学式や卒園式に来た母親に見えなくもない。アラサーだし、そこは気にしても仕方ないか。
レイ君は入り口付近で待っていた。
わたしは挨拶もそこそこに、昨日の振る舞いやその後の態度について謝罪した。レイ君は「まあ、気持ちは分かるから」とそこまで問題にしなかった。「なんて器の大きい人なんだろう」と感銘を受けると同時に、自分の小ささが嫌になった。
レストラン内部は地元では有名店ということもあり、装飾やら調度品やらがいちいち高そうだった。天井からは高級ホテルで見るようなシャンデリアがぶら下がっている。
――結婚式をやるなら、こういうところがいいな。
わたしは昨日の痴態をすっかり忘れて、のんきな空想に耽る。まあ、これからはレイ君とは離れて暮らすことになるわけだし、それぐらいの妄想をしたってバチは当たらないだろう。
予約した席は個室だった。とは言っても、パーテーションで区切られているだけだから、前みたいに騒いだら間違いなく周囲へ聞こえる。
席に着く。当たり前だけど、目を合わせづらい。レイ君はそれを察したのか、「すでにコースは頼んであるから」と気まずい空気をまぎらわせてくれる。
「あの、昨日は本当にごめんなさい。わたし……」
「その話はもういいよ。さっき謝ってくれたしね。それよりもっと楽しい話をしよう」
レイ君はわたしの謝罪を遮断すると、それとは全く関係ない話をしだした。彼の意図は分からないけど、どちらにせよレイ君といられる時間は限られている。そう思うと、たしかに楽しいことを話した方がいいのかもしれない。
食事の内容はフランス料理の系統らしく、明らかに高いですよって感じのハムが入ったサラダを皮切りにパンプキンのスープ、サーモンの切り身に白身魚のソテー、そして和牛のホホ肉を赤ワインで煮込んだものに、デザートにはラ・フランスのシャーベットが出た。
これって絶対高いよね……。
そう思いながら、高級品たちの味を噛みしめ堪能する。ワインも高級品らしく、わたしでも知っているブランドのやつが出てきた。
うん、きっとレイ君は本気でわたしをもてなそうとしてくれたんだろうな。それなのにわたしは、羅魅亜ちゃんへ涙ながらに自分の不幸っぷりを訴えて、悲劇のヒロインみたいに振舞っていた。
考えたら考えるほど恥ずかしくなるばかりだけど、まだレイ君にはバレていないから黙っておこう。羅魅亜ちゃんには後でご飯でも奢って口を封じておかないと。
食後のコーヒーが運ばれてきた。レイ君がカップに口をつけてから、おもむろに口を開きはじめる。
「昨日はごめんね。急にあんなことを言われて、きっと驚いたよね」
「そんなことないよ。わたしこそごめんなさい。レイ君がどんな気持ちかも知らないで、自分だけで勝手に傷付いて、一人で殻にこもっていた。それに、わざと注目を集めるようなことまでして……」
「いいんだ」
レイ君が優しくわたしの謝罪を止める。
「たしかにあの話には続きもあったんだけど、考えてみたら、あんな風に話をされたら誰だって動揺するよなって後で反省した。僕の方こそ悪かった。本当に、申し訳ない」
レイ君がその場で軽く頭を下げる。わたしはそれを遠くから止める仕草をする。幸い、静かな会話のお陰で注目は集まっていない……はず。一応、パーテーションで区切られているし。
「これからあの話の続きをしてもいいかな」
「……うん」
ふいに全身の筋肉が緊張してくる。昨日その話を聞いた時には、あまりの唐突さにメンタルが付いていかなかった。でも、今は覚悟が出来ている。どんな言葉が続いても、驚かないようにしないと。
「昨日言った通り、僕は海外へと派遣されることになる。これは間違いないし、防ぎようもない」
ああ、と溜め息をつきそうになるのを堪える。レイ君だって好きでチェコへ行くんじゃないし、だからって会社を辞めますというわけにもいかない。
「そうなれば君とは物理的にも離れた状態になる。海外への転勤は短くて数年。長ければ、それこそ何十年もいることになると思う」
「……」
「そんな状態で、君と付き合っていていいんだろうか? まあ、誰でも似たような状況になったらそう考えるだろう」
「うん」
なんだか涙が出そうになったけど、目元にググって力を入れて耐える。
「その一方で、これは僕にとってもキャリアを拡張するためのチャンスだと思っている。でも、僕だって君を諦めたくはない」
「うん」
「だから、僕は一つの結論を出した」
そう言って、レイ君はジャケットのポケットから、小さい立方体のケースを取り出した。
どこか見覚えのある、小奇麗な立方体。
これは――
立方体のフタが開く。
そこには、宝石の付いた指輪が光っていた。
それを見た途端に、涙がこぼれ落ちてくる。ロキ君事件を含めた今までの人生もそうだし、昨日のことだってそう。わたしの人生には悲しい出来事ばかりが起きてきた。
だけど、それら全てが報われた気がした。
「七海さん、僕とともに、この先もずっと隣を歩いてくれないか?」
それは、まぎれもないプロポーズの言葉だった。どうしよう。きっとありきたりなプロポーズなのに、涙しか出てこない。
すぐにでも「はい」って言いたいのに、爆発しそうな感情を必死で抑えている。
「こんなの、ずるいよ……」
苦しまぎれに出た言葉。本当は嬉しくて仕方がないのに、つい逆の言葉が出てしまう。
レイ君は苦笑いして、「返事を聞いてもいいかな」と言った。
「……はい、はい。あなたと一緒なら、きっとわたしは大丈夫……」
そう言うと、涙が大量に溢れてきた。
どうしよう。なんか叫び出したい。でも、このお店まで出禁になったらマズいよね……。
感情が爆発しているわたしと冷静なわたし。脳内でまた人格が分裂している。
レイ君が指輪を嵌めてくれる。サイズはぴったりだった。
そういえばこれとは別の指輪を買ってくれたことがあったから、それでサイズは知っていたんだろう。なんていうか、色々憶えていてくれていたんだな。
「こんなわたしでもいいの?」
ついついそんな言葉が出てきてしまう。今までの人生は、とにかく「持っていない」女そのものだった。そんな幸の薄い女と一緒にいたら、レイ君の運気も下がって快進撃も止まってしまうのではないかと思う。
「君だからさ。君じゃなきゃだめなんだ」
レイ君がV系バンドの歌詞みたいなセリフをサラっと言う。でも、彼が言うと少しも不自然さやキザったらしさがなかった。
――わたしも、幸せになっていいんだろうか。
変な疑問が自問自答のように湧いてくる。
わたしはこれまでの人生で勝負どころという勝負どころで負け続け、周囲に期待された割には輝けなかった。きっと、たくさんの人をガッカリさせてきたと思うし、時々自分ですら「生きていてすいません」と思う瞬間がある。
だけど、レイ君と一緒にいるうちに、そのような考えは抱かなくなっていった。
わたしはレイ君が好きだ。好きで好きでしょうがなくて、どうしようもないくらいに愛している。それだけは間違いない。
今、彼がわたしを人生の伴侶に選ぼうとしている。不遇続きの人生でいきなりの幸運が舞い込んだせいで、その身にそぐわない幸せを手に入れていいのか、二の足を踏んでいる。
いいんだろうか、わたしなんかが本当に幸せになっても。
レイ君を見やると、これまでにないくらい真剣な眼差しでわたしを見ていた。
――ごめんね。少しでも疑ったわたしが悪かった。
「レイ君」
知らぬ間にわたしの口が動いていた。
「これまでわたしは幸せを手に入れても、『こんなの長続きするはずがない』って放り出しては不幸ばかりを追い求めていました。それが、わたしがずっと不幸であり続けた理由なんだと思います」
「うん」
「レイ君のことが、本当に好きです。心から。これからもわたしはメンタルが不安定になったり、昨日みたいにひどいことを言ってしまうかもしれないし、やってしまうかもしれない」
「うん」
「でも、あなたとなら乗り越えていける気がします。こんなわたしでいいのなら、ともに未来を歩いていきましょう。死ぬまでお互いのことが大好きで、見ている方が恥ずかしいぐらい仲のいい夫婦のまま」
レイ君が無言でわたしを抱きしめてくる。それを皮切りに、わたしの涙腺が決壊した。
――言えた。やっと言えた。
わたしはこれまで、ここぞという時に本音を言えなかった。だけど、今回ばかりは心から思っていることを言えた。
死ぬほどクサくて恥ずかしいセリフだったけど、それでもわたしの本心だ。三十路の中二病と言われようが、あれに勝るまたしの本心は無い。
「レイ君」
その先の言葉が続かなかった。言おうとしても涙が出てしまうので、代わりにぎゅっと抱きしめた。
なんだろう。不思議な気持ちだ。嬉しいのに悲しいみたいな、報われているんだけど何かが終わってしまったような、名前を付けるのが難しい感情がわたしの中で大爆発している。
レイ君も泣いていた。理由は分かるんだけど分からない。きっとわたしと同じ。 だから、きっと似た者同士が惹き合っただけなんだろうな。
「これからも、よろしくお願いします」
レイ君の言葉に、わたしは口づけで答える。
二人の唇が重なる。
もう、あなたを離さない。
誓いのキスは、披露宴の何日も前にひっそりと交わされた。
【了】
カフェでの出来事が脳裏をよぎる。
うう、ここでまた騒動を起こしたら最悪だ。前の店は出禁こそされていないけど、しばらくは行く勇気が無い。このお店でそんなことがあれば、わたしは地元で有名人になるだろう。ヤバい女として。
騒ぎを起こさないという決意もあり、わたしは場に相応しく正装で来た。上下をシックな黒系ジャケットとスカートで揃える。見ようによっては入学式や卒園式に来た母親に見えなくもない。アラサーだし、そこは気にしても仕方ないか。
レイ君は入り口付近で待っていた。
わたしは挨拶もそこそこに、昨日の振る舞いやその後の態度について謝罪した。レイ君は「まあ、気持ちは分かるから」とそこまで問題にしなかった。「なんて器の大きい人なんだろう」と感銘を受けると同時に、自分の小ささが嫌になった。
レストラン内部は地元では有名店ということもあり、装飾やら調度品やらがいちいち高そうだった。天井からは高級ホテルで見るようなシャンデリアがぶら下がっている。
――結婚式をやるなら、こういうところがいいな。
わたしは昨日の痴態をすっかり忘れて、のんきな空想に耽る。まあ、これからはレイ君とは離れて暮らすことになるわけだし、それぐらいの妄想をしたってバチは当たらないだろう。
予約した席は個室だった。とは言っても、パーテーションで区切られているだけだから、前みたいに騒いだら間違いなく周囲へ聞こえる。
席に着く。当たり前だけど、目を合わせづらい。レイ君はそれを察したのか、「すでにコースは頼んであるから」と気まずい空気をまぎらわせてくれる。
「あの、昨日は本当にごめんなさい。わたし……」
「その話はもういいよ。さっき謝ってくれたしね。それよりもっと楽しい話をしよう」
レイ君はわたしの謝罪を遮断すると、それとは全く関係ない話をしだした。彼の意図は分からないけど、どちらにせよレイ君といられる時間は限られている。そう思うと、たしかに楽しいことを話した方がいいのかもしれない。
食事の内容はフランス料理の系統らしく、明らかに高いですよって感じのハムが入ったサラダを皮切りにパンプキンのスープ、サーモンの切り身に白身魚のソテー、そして和牛のホホ肉を赤ワインで煮込んだものに、デザートにはラ・フランスのシャーベットが出た。
これって絶対高いよね……。
そう思いながら、高級品たちの味を噛みしめ堪能する。ワインも高級品らしく、わたしでも知っているブランドのやつが出てきた。
うん、きっとレイ君は本気でわたしをもてなそうとしてくれたんだろうな。それなのにわたしは、羅魅亜ちゃんへ涙ながらに自分の不幸っぷりを訴えて、悲劇のヒロインみたいに振舞っていた。
考えたら考えるほど恥ずかしくなるばかりだけど、まだレイ君にはバレていないから黙っておこう。羅魅亜ちゃんには後でご飯でも奢って口を封じておかないと。
食後のコーヒーが運ばれてきた。レイ君がカップに口をつけてから、おもむろに口を開きはじめる。
「昨日はごめんね。急にあんなことを言われて、きっと驚いたよね」
「そんなことないよ。わたしこそごめんなさい。レイ君がどんな気持ちかも知らないで、自分だけで勝手に傷付いて、一人で殻にこもっていた。それに、わざと注目を集めるようなことまでして……」
「いいんだ」
レイ君が優しくわたしの謝罪を止める。
「たしかにあの話には続きもあったんだけど、考えてみたら、あんな風に話をされたら誰だって動揺するよなって後で反省した。僕の方こそ悪かった。本当に、申し訳ない」
レイ君がその場で軽く頭を下げる。わたしはそれを遠くから止める仕草をする。幸い、静かな会話のお陰で注目は集まっていない……はず。一応、パーテーションで区切られているし。
「これからあの話の続きをしてもいいかな」
「……うん」
ふいに全身の筋肉が緊張してくる。昨日その話を聞いた時には、あまりの唐突さにメンタルが付いていかなかった。でも、今は覚悟が出来ている。どんな言葉が続いても、驚かないようにしないと。
「昨日言った通り、僕は海外へと派遣されることになる。これは間違いないし、防ぎようもない」
ああ、と溜め息をつきそうになるのを堪える。レイ君だって好きでチェコへ行くんじゃないし、だからって会社を辞めますというわけにもいかない。
「そうなれば君とは物理的にも離れた状態になる。海外への転勤は短くて数年。長ければ、それこそ何十年もいることになると思う」
「……」
「そんな状態で、君と付き合っていていいんだろうか? まあ、誰でも似たような状況になったらそう考えるだろう」
「うん」
なんだか涙が出そうになったけど、目元にググって力を入れて耐える。
「その一方で、これは僕にとってもキャリアを拡張するためのチャンスだと思っている。でも、僕だって君を諦めたくはない」
「うん」
「だから、僕は一つの結論を出した」
そう言って、レイ君はジャケットのポケットから、小さい立方体のケースを取り出した。
どこか見覚えのある、小奇麗な立方体。
これは――
立方体のフタが開く。
そこには、宝石の付いた指輪が光っていた。
それを見た途端に、涙がこぼれ落ちてくる。ロキ君事件を含めた今までの人生もそうだし、昨日のことだってそう。わたしの人生には悲しい出来事ばかりが起きてきた。
だけど、それら全てが報われた気がした。
「七海さん、僕とともに、この先もずっと隣を歩いてくれないか?」
それは、まぎれもないプロポーズの言葉だった。どうしよう。きっとありきたりなプロポーズなのに、涙しか出てこない。
すぐにでも「はい」って言いたいのに、爆発しそうな感情を必死で抑えている。
「こんなの、ずるいよ……」
苦しまぎれに出た言葉。本当は嬉しくて仕方がないのに、つい逆の言葉が出てしまう。
レイ君は苦笑いして、「返事を聞いてもいいかな」と言った。
「……はい、はい。あなたと一緒なら、きっとわたしは大丈夫……」
そう言うと、涙が大量に溢れてきた。
どうしよう。なんか叫び出したい。でも、このお店まで出禁になったらマズいよね……。
感情が爆発しているわたしと冷静なわたし。脳内でまた人格が分裂している。
レイ君が指輪を嵌めてくれる。サイズはぴったりだった。
そういえばこれとは別の指輪を買ってくれたことがあったから、それでサイズは知っていたんだろう。なんていうか、色々憶えていてくれていたんだな。
「こんなわたしでもいいの?」
ついついそんな言葉が出てきてしまう。今までの人生は、とにかく「持っていない」女そのものだった。そんな幸の薄い女と一緒にいたら、レイ君の運気も下がって快進撃も止まってしまうのではないかと思う。
「君だからさ。君じゃなきゃだめなんだ」
レイ君がV系バンドの歌詞みたいなセリフをサラっと言う。でも、彼が言うと少しも不自然さやキザったらしさがなかった。
――わたしも、幸せになっていいんだろうか。
変な疑問が自問自答のように湧いてくる。
わたしはこれまでの人生で勝負どころという勝負どころで負け続け、周囲に期待された割には輝けなかった。きっと、たくさんの人をガッカリさせてきたと思うし、時々自分ですら「生きていてすいません」と思う瞬間がある。
だけど、レイ君と一緒にいるうちに、そのような考えは抱かなくなっていった。
わたしはレイ君が好きだ。好きで好きでしょうがなくて、どうしようもないくらいに愛している。それだけは間違いない。
今、彼がわたしを人生の伴侶に選ぼうとしている。不遇続きの人生でいきなりの幸運が舞い込んだせいで、その身にそぐわない幸せを手に入れていいのか、二の足を踏んでいる。
いいんだろうか、わたしなんかが本当に幸せになっても。
レイ君を見やると、これまでにないくらい真剣な眼差しでわたしを見ていた。
――ごめんね。少しでも疑ったわたしが悪かった。
「レイ君」
知らぬ間にわたしの口が動いていた。
「これまでわたしは幸せを手に入れても、『こんなの長続きするはずがない』って放り出しては不幸ばかりを追い求めていました。それが、わたしがずっと不幸であり続けた理由なんだと思います」
「うん」
「レイ君のことが、本当に好きです。心から。これからもわたしはメンタルが不安定になったり、昨日みたいにひどいことを言ってしまうかもしれないし、やってしまうかもしれない」
「うん」
「でも、あなたとなら乗り越えていける気がします。こんなわたしでいいのなら、ともに未来を歩いていきましょう。死ぬまでお互いのことが大好きで、見ている方が恥ずかしいぐらい仲のいい夫婦のまま」
レイ君が無言でわたしを抱きしめてくる。それを皮切りに、わたしの涙腺が決壊した。
――言えた。やっと言えた。
わたしはこれまで、ここぞという時に本音を言えなかった。だけど、今回ばかりは心から思っていることを言えた。
死ぬほどクサくて恥ずかしいセリフだったけど、それでもわたしの本心だ。三十路の中二病と言われようが、あれに勝るまたしの本心は無い。
「レイ君」
その先の言葉が続かなかった。言おうとしても涙が出てしまうので、代わりにぎゅっと抱きしめた。
なんだろう。不思議な気持ちだ。嬉しいのに悲しいみたいな、報われているんだけど何かが終わってしまったような、名前を付けるのが難しい感情がわたしの中で大爆発している。
レイ君も泣いていた。理由は分かるんだけど分からない。きっとわたしと同じ。 だから、きっと似た者同士が惹き合っただけなんだろうな。
「これからも、よろしくお願いします」
レイ君の言葉に、わたしは口づけで答える。
二人の唇が重なる。
もう、あなたを離さない。
誓いのキスは、披露宴の何日も前にひっそりと交わされた。
【了】
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