【R18】会社の御曹司に捨てられて風俗堕ちしたはずが、推しに指名されました【完結保障】

月狂 紫乃/月狂 四郎

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 記憶は飛びまくっているけど、わたしは木村さんの運転するバンに戻って来た。

 もう何も考えられない。これ以上指名が入っても、多分わたしは送り先で廃人になっているだけだろう。それもあって今日は帰ることとなった。

 わたしは魂が抜けたみたいにボケーっとしていたけど、木村さんは特に何も訊いてこなかった。それが優しさなのか、関心が無いだけなのかは分からない。

 パインちゃんは別のところに行っているか、それとも今日はもうお仕事が終わったのかで帰りは別だった。色々訊かれても困るので、一緒にならなかったのは幸運だったと思う。

 ぼけーっとしながら、雪の止んだ夜空を見上げる。月が綺麗だな。空気が澄んでいるせいだろうか。疲労なのか逃避なのか、まるで関係のないことが浮かぶ。

 さっきまで起こっていたことが、いまだに信じられない。

 握手会とかもあるから、今どき推しと会うことはそう珍しくない時代になったけど、それでも推しがお忍びでデリを使って、それにわたしが呼ばれるなんてことってある? 少なくともわたしは聞いたことが無いんだけど。

 レイジ君は東京の人だって聞いているから、多分さっき行った家はセカンドハウスか何かなのかな。知らんけど。

 しかし、本当に人生っていうのはよく分からないものだよね。数ヶ月前には、もう人生が終わった気がしていたのに。

 あ、思い出したらちょっとつらくなってきた。でも、あれは地獄だったよね。一生レベルのトラウマになっていたっておかしくない。

 わたしを裏切ったあいつは、今でものうのうと……ああ、もう腹が立つなあ。

 夜空に輝く月を見上げる。

 あの月が、あいつらにおしおきをしてくれたらいいのに。
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