【完結】闇堕ちメモリアル

月狂 紫乃/月狂 四郎

文字の大きさ
55 / 59

■謎解き×「闇堕ちメモリアル」 ◆とともに出てきた人々

しおりを挟む
 作中で浮いた章がいくつかあったと思います。

 登場人物の名前と◆が付いた章(例:金森研二◆)がありますが、この章ではインタビューらしき形式で話が進んでおり、各々が「あの男」とか「あの人」といった言い方である人物について語っています。

 種明かしをすると、現実世界で風俗嬢とその恋人を滅多刺しにして殺した凶悪犯罪者、織田童夢について実話系週刊誌のインタビュアーが話を聞いて回っている章になります。

 何も前置きがなくインタビューが始まっている上に、その前後の章と話が食い違うので多くの読者は◆の付いた章で「一体何の話をしているのだろう?」と思ったかと思います。

 このインタビューでは(一般人にとっての)現実世界で事件を起こした織田童夢の存在がどのようなものだったのかを少しずつ明らかにしていく事によって、最後の点と線が繋がる仕掛けにしてあります。別にこの章が理解出来なくても作品全体の理解においては大したことはありませんが。

 ただ、それに気付いた人は「ああ、これって本物の童夢がどんな奴だったかを話していたんだ」と腑に落ちたかと思います。まあ、私の筆力に不足がなければの話になりますが。

 そのため、たとえば「ゲーム」と現実の両方に出てくる「間宮梨乃◆」の章では、同じ人が描かれているはずなのにそれぞれが全くの別人に見えるため、鋭い人はこの仕掛けにうっすらとでも気が付でしょうが、多くの人はそれまでになかった風俗嬢という設定に混乱したものと思われます。これは意図的にそのように書きました。狂人の思考をそんなにすんなりと理解出来たら面白くないですからね。

 要はですね、童夢は現実世界で会った人を自分の妄想であり「ゲーム」に登場させている(というか全く別の世界を創り上げている)ため、◆の付いている世界(つまり現実)と妄想の中での人物が全然別の生き物になっているわけです。

 恐らく誰もが程度はあれ、妄想癖の強い人を見たことがあるかと思います。

 そういう人達を思い浮かべてもらうと分かりやすいかとは思いますが、彼らは悪い意味で「見えている世界が違う人」になります。

 人は害を及ぼした他者を貶める傾向があるので、ただの善人でも狂人の妄想では極悪人にされているというのはよくある話です。だから彼ら善人は理解不能な理由で刺されてしまうことだってあるのです。

 ちなみに自己評価が「見た目だけはイケメン」であった織田童夢は物語が進むとチビデブハゲの三冠を持っていることが判明します。ここからも「自己の評価と他者の評価は全く違う」ということが暗に示されているわけです。そういったことは良くも悪くもありますよね。自戒も込めてですが。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

黒に染まった華を摘む

馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。 高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。 「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」 そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。 彼女の名は、立石麻美。 昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。 この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。 その日の放課後。 明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。 塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。 そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。 すべてに触れたとき、 明希は何を守り、何を選ぶのか。 光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

処理中です...