12 / 101
3章 中年は街を手伝わない
第12話 外見ばかりで中身がまだまだって話
しおりを挟む
お気に入り設定ありがとうございます。
誤字訂正、ご意見ご感想などもお待ちしております。
作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
-------------------------------------------------------------
外壁が完成したころ、月に1度訪れる商人が変わりゆく村の様子に驚嘆していた。
東西南北に門となるような開口部が作られ、高さ5メートルに及ぶ白い壁、
周りから見ただけなら十分立派な街としての防衛機能を持っていることが分かる。
まだ門扉などがあるわけではないので、
魔物の大群に襲われたときに門を閉めることはできないが、
これだけ丈夫な壁があれば、一応門以外の場所はしばらく守り切れるだろう。
門をくぐるとそこには、こじんまりとした土壁の村。
私が商人であっても同じように『おぉぉぉっぉい!』と
ツッコミを入れたくなるような張りボテ感。
街づくりの最初なんてどこもこの程度かもしれない。
「いや~すごく立派な外壁になりましたね~」
「まだまだこれからさ、村のみんなの家ももっといいものになる予定だ。」
真っ白な外壁をほめられたキジュが商人のトルネに自慢げに話している。
「いやいやあれほど立派な外壁は王都でもありません。素晴らしいです。」
トルネはまんざらでもない表情でキジュのそれに笑顔で答えていた。
いつも通り近くの街から持ってきた商品を並べながら話している。
30歩ほど先では子供たちが泥遊びよろしく四角い石を作っている。
それは外壁工事の合間に私が教えた『レンガ』だ。
以前の改築工事ラッシュのあと、時間を持て余していた子供たちを
『何とかならないものか?』とみていたステインに私が『こんなものがある。』と
教えたのがきっかけだった。
今では日に1000個ほどの日干し煉瓦を子供たちがせっせと作り出していた。
「それでちょっとお願いがあるのだが。」
キジュは何やらトルネに話し込んでいた。
トルネも『ほうほう』といった感じでそれを聞いていた。
ちょうど窯の工事をひと段落させてきたカリテがやってきた。
「シュウさん、とりあえず形にはなったらから、
少し出来上がりを見てくれないかな?」
「分かったフェダさんのところだね。」
私はカリテとともに新しいチェスターの北西側に位置する
フェダの工房予定地へと向かった。
そこには大人が3人は入れる窯が2つと金属を精錬する大きな窯が並んでいた。
1つは陶器窯もう1つはレンガ用の窯、あとはフェダ本職の精錬窯である。
「おぉシュウ。またいいもん作ってくれたな~」
フェダは今の窯よりも倍ほどはある精錬窯を『ペチペチ』たたきながら
いつにもましてうれしそうだ。
数か月前に改築したフェダの精錬窯での反省点や改良点を加えた最新の窯。
というより、私は別の本職ではないので、
前回はとりあえず高温に耐えられるようにくらいで作ったものだったが、
今回はフェダの意見を詰め込みまくってなんだかすごく立派な窯になっている。
「いやいや、私は作り方を教えただけで実際に作ったのはカリテ達です。」
「まぁそうかもしれんが。カリテありがとうな。」
「いえいえシュウさんが教えてくれらモノですから。」
3人でひとしきり窯を見てから、
『とりあえず使ってみてまた何かあれば改良しよう』ということになった。
少しづつではあるが間違いなくこの村には「産業革命」が起きようとしていた。
これからさらに忙しくなりようなチェスターの雰囲気を感じ取りながら
私はとにかく自分の家をどんな感じにしようかと思案していた。
◆
外壁完成から2か月後。
私はチェスターの中心街となるところでせっせとレンガを積んでいた。
レンガづくりの4階建て、高さにして15メートルほどのところで、
せっせと自分の部屋を作っていた。
1階はトルネさん所の商店が開かれる。2階はその商店で務める人用の居住スペース。
3階と4階は私のスペースとしてもらった。
1辺が15メートルほどの四角いアパートづくり。
台所には火を保存しておく用の火鉢と鉄製のコンロと鍋が3つ。
革のジャケットの下にはシルクスパイダーの布で作ったTシャツを着ていて
1年前とは本当に暮らしぶりが変わったことを感じる。
ちなみにTシャツはソシア・セシアが作ったもの。
レンガやモルタルが普及し始めて木の需要が極端に減りだした。
もともと風魔法は小さなものを浮かせたり糸を編んだりするのに重宝するため、
洋服づくりをお願いした。
二人ともさすがは女性というかすごく喜んで周りの女性たちと一緒に
布地を作り、洋服を新しくデザインしたりしているようだ。
たまに新しくできたTシャツやパンツを私にくれたりする。
レースも狩りのついでにシルクスパイダーの糸の採取なども行ってくれているようだ。
村のみんなも徐々に獣の皮の服装から布の服へと移行しつつある。
そんな折、チェスターにトルネさんと20名ほどの方々が訪れていた。
誤字訂正、ご意見ご感想などもお待ちしております。
作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
-------------------------------------------------------------
外壁が完成したころ、月に1度訪れる商人が変わりゆく村の様子に驚嘆していた。
東西南北に門となるような開口部が作られ、高さ5メートルに及ぶ白い壁、
周りから見ただけなら十分立派な街としての防衛機能を持っていることが分かる。
まだ門扉などがあるわけではないので、
魔物の大群に襲われたときに門を閉めることはできないが、
これだけ丈夫な壁があれば、一応門以外の場所はしばらく守り切れるだろう。
門をくぐるとそこには、こじんまりとした土壁の村。
私が商人であっても同じように『おぉぉぉっぉい!』と
ツッコミを入れたくなるような張りボテ感。
街づくりの最初なんてどこもこの程度かもしれない。
「いや~すごく立派な外壁になりましたね~」
「まだまだこれからさ、村のみんなの家ももっといいものになる予定だ。」
真っ白な外壁をほめられたキジュが商人のトルネに自慢げに話している。
「いやいやあれほど立派な外壁は王都でもありません。素晴らしいです。」
トルネはまんざらでもない表情でキジュのそれに笑顔で答えていた。
いつも通り近くの街から持ってきた商品を並べながら話している。
30歩ほど先では子供たちが泥遊びよろしく四角い石を作っている。
それは外壁工事の合間に私が教えた『レンガ』だ。
以前の改築工事ラッシュのあと、時間を持て余していた子供たちを
『何とかならないものか?』とみていたステインに私が『こんなものがある。』と
教えたのがきっかけだった。
今では日に1000個ほどの日干し煉瓦を子供たちがせっせと作り出していた。
「それでちょっとお願いがあるのだが。」
キジュは何やらトルネに話し込んでいた。
トルネも『ほうほう』といった感じでそれを聞いていた。
ちょうど窯の工事をひと段落させてきたカリテがやってきた。
「シュウさん、とりあえず形にはなったらから、
少し出来上がりを見てくれないかな?」
「分かったフェダさんのところだね。」
私はカリテとともに新しいチェスターの北西側に位置する
フェダの工房予定地へと向かった。
そこには大人が3人は入れる窯が2つと金属を精錬する大きな窯が並んでいた。
1つは陶器窯もう1つはレンガ用の窯、あとはフェダ本職の精錬窯である。
「おぉシュウ。またいいもん作ってくれたな~」
フェダは今の窯よりも倍ほどはある精錬窯を『ペチペチ』たたきながら
いつにもましてうれしそうだ。
数か月前に改築したフェダの精錬窯での反省点や改良点を加えた最新の窯。
というより、私は別の本職ではないので、
前回はとりあえず高温に耐えられるようにくらいで作ったものだったが、
今回はフェダの意見を詰め込みまくってなんだかすごく立派な窯になっている。
「いやいや、私は作り方を教えただけで実際に作ったのはカリテ達です。」
「まぁそうかもしれんが。カリテありがとうな。」
「いえいえシュウさんが教えてくれらモノですから。」
3人でひとしきり窯を見てから、
『とりあえず使ってみてまた何かあれば改良しよう』ということになった。
少しづつではあるが間違いなくこの村には「産業革命」が起きようとしていた。
これからさらに忙しくなりようなチェスターの雰囲気を感じ取りながら
私はとにかく自分の家をどんな感じにしようかと思案していた。
◆
外壁完成から2か月後。
私はチェスターの中心街となるところでせっせとレンガを積んでいた。
レンガづくりの4階建て、高さにして15メートルほどのところで、
せっせと自分の部屋を作っていた。
1階はトルネさん所の商店が開かれる。2階はその商店で務める人用の居住スペース。
3階と4階は私のスペースとしてもらった。
1辺が15メートルほどの四角いアパートづくり。
台所には火を保存しておく用の火鉢と鉄製のコンロと鍋が3つ。
革のジャケットの下にはシルクスパイダーの布で作ったTシャツを着ていて
1年前とは本当に暮らしぶりが変わったことを感じる。
ちなみにTシャツはソシア・セシアが作ったもの。
レンガやモルタルが普及し始めて木の需要が極端に減りだした。
もともと風魔法は小さなものを浮かせたり糸を編んだりするのに重宝するため、
洋服づくりをお願いした。
二人ともさすがは女性というかすごく喜んで周りの女性たちと一緒に
布地を作り、洋服を新しくデザインしたりしているようだ。
たまに新しくできたTシャツやパンツを私にくれたりする。
レースも狩りのついでにシルクスパイダーの糸の採取なども行ってくれているようだ。
村のみんなも徐々に獣の皮の服装から布の服へと移行しつつある。
そんな折、チェスターにトルネさんと20名ほどの方々が訪れていた。
10
あなたにおすすめの小説
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる