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7章 中年は色々頑張ってみる

第69話 ゴミ問題からのゴム問題って話

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翌日の朝から、1泊2日の予定でダンジョンに潜ることになった。
メンバーはキジュ、リース、セシア、ニテ、私の5人。

キジュとリース、セシアは冒険者で言えばA級。
ニテは一応B級の扱いらしい。ちなみに私はF級。
多分魔法が使えた頃の私はほぼS級レベルだったのだろうと思う。
本当はそんなに簡単に100階層以下には行けないらしい。
ましてやダンジョン踏破などは一部の限られた冒険者しかできない。
以前?というか転送される直前の私は、ほぼ殲滅魔法だけで踏破していたので
まさにステータスの暴力である。

キジュ曰くこのメンバーなら60階層くらいなら楽勝という事で、
1日目は40階層まで休憩なしで行くと言われた。
キジュが斧で接近戦を行い、リースが槍で牽制し、この二人で致命傷を与える。
セシアが風魔法でバフをかけ、ニテが回復を務める。
私は後方からパチンコでラストアタックを決めて少しでも経験値を多くもらうという戦法だったが、
本当にうまくかみ合っていた。
1日目の夜に40階層で野営するまで本当に危なげなく進んだ。
私は荷物持ちをしながら5人分の食料や野営道具を運ぶ。
パチンコの射程距離は以外に長く15メートル以上離れたところからも、
小さな鉄球を打ち込むとかなりの殺傷力があった。

40階層に到着したころにはレベルが15になっていたのでやはりダンジョンは効率がいい。

2日目に入っても抜群の安定感。
ニテの回復魔法もさえわたり、深い傷すら負うことはない。
セシアのバフがかかったキジュとリースはまさに鬼人のような動き。
キジュなどは運動不足とは言うが、体格がさらに増して斧の威力が上がったらしい。
動きの遅さはリースがフォローするので、斧、槍、鉄球の三段攻撃でほとんどの魔物を撃退する。
複数の魔物に囲まれても、パチンコの速射性が非常に高いので、牽制や陽動も可能だった。
たまにセシアがストレス発散で風魔法で魔物を切り刻む。やはり魔法は強い。

2日目の昼過ぎには60階層から折り返し、地上を目指した。
ちなみに、リースの罠解除や罠探知の能力は非常に高く。
セシアの風魔法を駆使した気配探知はかなりの精度で敵の位置や数を特定できた。

キジュ曰く、『あと1日潜れたら、このダンジョンの最高到達である80階にも行けるんじゃないだろうか?』
という事だったが、一応、町長とギルド長などの役目を持ったメンバーなので、
無理せず帰還することとなった。最終的には私のレベルは22になっていた。

下層に行けば行くほど、経験値の入り方が半端じゃなかった。
特に30階層超えたあたりからは、魔法が使えない私でも、魔素の光が見えるほどの経験値が吸収できた。
確かにこのレベルの戦いをするリースからすれば、私に行ったパワーレベリングなど、遊びの範囲なのだろう。
ちなみに私も10階層くらいまでは『ソロOK』の許しをニテからもらうことができた。

ダンジョンから帰還してドロップ品の分配を行う時、5枚のスキルスクロールを私がもらうことができた。
本当は均等分配にする予定だったのだが、私が今後、安全に潜れるようにという事で、未鑑定ではあるが
スキルスクロールはすべて換金せずにシュウにあげるという事になった。

まぁそれでも一人金貨2枚程度になるほどの魔石と素材を持ち帰っていたので、
リース的には『楽しくて安全で美味しかった。』と喜ばれた。

冒険者ギルドで清算が終わった私たちの元に、ジンが駆け込んできた。
私たちが潜っていた間に、フェダとソシアがなぜだか麻痺毒に侵されたらしい。
二人とも商業ギルドで安静にしている状況という事もあり、
私とニテ、そしてセシアが急いで商業ギルドに戻ることになった。

たまたま、最近私が行っていた採取依頼のおかげで麻痺消しや毒消しの薬草があったので、
リースがそれを『少し持っていけ!』といって分けてくれた。

冒険者ギルドに到着すると、フェダとソシアにそれらの薬草を使い。
容体は安定した。

目覚めてから二人の話を聞くとそれぞれ別々の商品を開発して、
全く同じ原因で麻痺毒にかかったらしい。

フェダは私が『ゴム』と表現したシルクスパイダーの粘液とタールタートルの血液を混ぜた素材を使い、
伸縮性のある水筒を作ろうとしていたようだ。
これがあれば、水魔法を仕えない人たちでも水の持ち運びは便利になると考えたようだ。
ソシアは同じく『ゴム』を使い、伸縮性のあるスパッツのようなストレッチジーンズを作ったようだ。

そう、麻痺毒の原因はまさにこの『ゴム』だった。
タールタートルの血液は水に溶けないドロドロとした液体なので特に問題はないのだが、
一番使い慣れているはずのシルクスパイダーの粘液は水溶性で、汗や水に溶けだすと麻痺を起こすらしい。

今までも接着剤として多用されていた素材だったが、直接肌に触れたり、
水の入れ物に使ったりという事がたまたまなかったらしい。
2つの液体を混ぜ合わせ、型に入れ、火魔法などの熱を使って固める。
形作りは非常に楽で、型さえ作ってしまえば量産できる。

パンツのゴム紐くらいの少量であれば、麻痺を引き起こすほど滲み出すこともなかったのかもしれないが、
この素材は危険という事で、衣類や口に入る物には使わないように気を付けようという事になった。

現代でも新素材などは沢山開発されているが、やはり、人体への影響を確認する安全検査などは
こちらの世界では行われていなかったため、こうして被害者が出るまで分からないことが多い。

翌日、この『ゴム』問題をキジュにも報告し、フェダの鍛冶ギルドやソシアの生産ギルドでも
注意喚起を行ってもらうことになった。

私は、人体の影響が少なそうな、タイヤや靴底など、クッション性を生かせる案を出し。
ソシアやフェダもそれならと、色々な配合比率を考えてくれた、
シルクスパイダーの粘液をできる限り少なくする形で、製品開発を行ってくれた。

多分、今日か明日あたりにルマンで火魔法の暴発が起きるだろうが、私は助けることすらできない。
というか、私が引き起こす事件なのだから、私が止めるのもなんだか変な感じがするので、
私はそのままチェスターで一応使えるレベルまで邁進することにした。

家に戻る前にジンに頼み、スキルスクロールを鑑定してもらった。
商業ギルドには何人か『鑑定』のスキル持ちが居るのでこういう時に助かる。

5枚のうち3枚は武器強化のスクロールで買取値が金貨20枚だった。
残りの2枚は『隠密おんみつ』と『気配探知けはいたんち』だったので私はかなりびっくりした。
これで『剣術』とかだったらどうしようとも思ったがもしかしたら、『LC: 71』の効果かなと思った。

そう、実は私のステータスで知力以外にも引き継がれていた項目がもう一つあった。

それが『LC』。周りのみんな的には、運の要素という事しか分からないらしいが、
王立図書館の書物では50以上でドロップ率の増加、60以上でレアドロップ増加などの検証結果が報告されていた。
ちなみに最高値は120前後まで確認されているらしい。
『100超えるとどうなるのだろう。』と思ってしまったことを思い出した。

武器強化のスクロールは換金して、一緒に潜ってくれたメンバーに分配することにした。
とりあえず、ソシアもフェダも『大事には至らなくてよかった。』とほっとした。
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