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8章 中年は平和を望んでみる
第96話 最後になるかもしれない日って話
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私は結局リーデンスの最後の問いには答えることができなかった。
私は作った時間が早く進む空間を出て、そろそろリリスとの決着をつけてくることを決意する。
外に出る時にエリスにも話したが、
『そういう事なら私はもう少しここでお父さんと2人で研究しているわ。』
といってそこに残った。
私が作った空間は時間が早く経過するので、一応、外の世界のリーデンスの家に
『色々終わったら迎えに来ますね。』とだけ書いた置手紙を置いてきた。
外にでてチェスターを目指す。
距離がありすぎるので1度の転移では届かないだろうと判断し、少し早めに出た。
もう一人の私が強制送還される2日前である。
もう一人の私はフランシスにいるはずだ。
正直、もう一人の私がチェスターに行ったのは『ちょっとした様子見』というレベルなので、
ずっと私がチェスターを離れている必要はなかったのだが、
『もしも』を想定し、色々と片付けておきたかったというのが正直な気持ちだった。
チェスターとの中間地点には特に行ったことがないので飛行魔法で飛んでいく。
帰りは野営なしでひたすら飛び続け、休憩は異空間の中で行った。
その日の夜、チェスターに到着した。
-----ギィィ-----
「あっおかえりなさい。」
「ただいま。変わったことはなかった?」
「うん。大丈夫。もう一人のあなたは直ぐに自分の領地に戻ったからそれほど変な騒ぎはなかったわよ。」
「そうか。それはよかった。気を使わせちゃってごめんね。ありがとう。」
「ううん。それよりも桜花のランバダさんが、『戻ってきて、時間があったらダンジョンに一緒に行こう!』って言ってたわよ。」
「えっ?桜花はまだ出発していないの?」
「昨日出発したはずよ。昨日までバスさんが『まだシュウさん戻ってない?』って何回も確認に来てたけど。」
「そっか~なんか悪いことしちゃったかな。とりあえず王都の件が片付いたら後を追うよ。」
「そうね。その方がいいかも。でもあんまり無理はしないでね。この子の為にも。」
ニテはまだそれほど目立たないお腹をさすりながら、慈愛に満ちた表情でくつろいでいた。
それから、サーシャの事、リーデンスさんの事、エリスさんの事などをニテに話した。
「そのエリスさんっていう人は本当にエリス神さまなの?」
「ああ、リーデンスというお爺ちゃんがいうにはそうだな。まぁ普通の女性だから神ではないけど。」
「へ~。私ちょっとお会いしてみたいわ。どんな方なのか凄く気になる。」
ニテは教会の教義などに心酔しているわけではないが、回復依頼や教会の役割の重要性はよくわかっている。
だからこそ、『エリスさまに会いたい。』という純粋な好奇心があるようだ。
「まぁ普通の女性といっても魔力量は私と変わらないくらい大いし、年齢的には1000歳を超えているはずだよ。」
「それって十分神様じゃない!」
「そっそうかな?いずれ一緒に住むかもしれないよ。」
ニテがあきれた感じで私の顔を見上げている。
私は『自分ができること』を『神の御業』とは思わない。
だからこそ、このニテの反応にはいささか戸惑う。
その日もニテを抱きしめて眠った。
-------------------------------------------------------------
翌日。もう一人の私が強制送還されるのは明日の夜。
私は明日の日の出頃にリリスの元に向かう。
取り合えず、いつも通りニテを教会まで見送りして、
カリテの元を訪ねる。
今は、道の舗装工事と並行してダンジョン側への拡張工事なども行っているそうだ。
建築ギルドは特に差し迫った問題もないようなので、次は商業ギルドを目指す。
ソシアはセシアの看病疲れもあるのかぐったりしていたので、
一応回復魔法と、気休めの精神魔法をかけておいた。
もともとソシアはポジティブな方であるので、少し補助してあげれば十分だろう。
今は、新しく開発された商品の検査やその効能評価法などの案を練っているそうだ。
セシアと同じような人を増やさないためだそうだ。
私はエリスさんに書いてもらった精神安定の魔法陣をソシアに渡した。
エリスさんはその長い研究による知識と経験でかなりの高度な魔法陣でも書けてしまう。
そのエリスさんの自信作なので、効果は十分だろう。
他にも出かける際にエリスさんからは、生活用としてベッドの下に仕込む安眠の魔法陣や安産の魔法陣なども貰った。
『安産の魔法陣って何?』って質問したら、苦痛耐性とエネルギー自然回復、精神安定などを組み合わせた魔法陣らしい、
ちなみに、エリスさんは王女時代に3人のお子さんを生んでいるとのこと。出産に関してもの大先輩である。
ソシアは早速今夜からセシアと共に魔法陣を試してみて、効果が確認出来たら、
商業ギルドで商品として取り扱うらしい。今後も阿片中毒患者の治療は必ず必要になってくるからだそうだ。
一応、催眠術にも似た私の精神魔法で、ある程度の渇きや飢えといった感情は抑制できるのだがあえてしていない。
この方法をあえてしないのは、精神魔法自体が珍しいので私以外に使っている人をあまり見かけないことと、
今後、セシア以外にも治療が必要な人はたくさん出るだろうと思ったからあえて使わなかった。
エリスさんの魔法陣がいい効果を発揮してくれることを願うばかりだ。
多少魔法が使える人なら、自分で魔力を通せるので、魔法陣の形さえ伝えておけば有効に使ってくれるだろう。
一応、私が『若返りの魔法陣』用に作った魔石を使った『魔力供給機関』を使えば、魔力のない人にも使用可能である。
教会に向かうと、教会の前には沢山の冒険者と阿片中毒者があふれていた。
冒険者は、桜花メンバーが再度攻略に行ったことで、おこぼれにあずかろうと奮起したメンバー。
阿片中毒患者はセシア同様に『教会に居たほうが落ち着くから』という理由らしい。
それから夕方まではニテを手伝って教会のお仕事をした。
今日の夕食はカリテとウリテも呼んで、家族で豪華な外食をする予定だ。
明日に朝にはいよいよリリスに再会する。
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