現実だと思っていたら、異世界だった件

ながれ

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第1章 初めての町(タカギ)

第3話 町に転校してきた子みたいになった件

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これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

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俺とユリは『執務室』とやらの部屋を出て、
とりあえず3階の廊下を階段の方向へ戻っていた。

『ヤスト君っていうんだ。。同じ年だったのはちょっとびっくりしたよ~』

ユリはなんだか一仕事終えた感じで伸びをしていた。

3階の窓から見える景色はゆっくりと、それこそ歩くくらいのスピードで動いていた。

「あっ動いてる。」

『そうそう、ここはね基本的にはヤックルが引いて動いてるの。』

「ヤックル?」

『そうそう、ニホンドラゴンの兄弟で、キドラとゴメラ。
 ほとんど知能はないし、空気中の魔素を栄養源にしてるから
 動物も襲わないし、すごく優しいトカゲさん達なの。』

ユリはウンウンとしきりに頷きながら、多分、
外で見たあの大きなコモドオオトカゲ的な奴のことを説明
してくれているのであろう。

「ユリも17歳?」

『そうよ、私も同じ17歳。
 でも私は元リカントじゃないから生まれも育ちも
 このタカギよ。』

まぁ綺麗っていうかよく引き締まってるっていうか、
何となく同い年と言われても少し年上に見てちゃう感じで、
見るからに『学生』ではない雰囲気が漂っている。

それからユリはテキパキとこの移動都市『タカギ』を紹介してくれた。

3階は基本的に居住スペース。
この町?っていうか学校には俺を含めて87人の人が暮らしているそうだ。
つくりは、天井まで壁があるネットカフェ的な感じだ。
一人2畳ほど、まぁ個室なだけよかった。
俺には328号室が割り当てられるらしい。

洗濯物などは屋上で干せるらしい。ちなみに洗濯場や浴場などの水回りは1階。
1階は主に食堂や研究室、物資保管庫などが並んでいるそうだ。
一応、各部隊の寄り合い所や売店などもあるそうで、いずれ俺も部隊が決まれば
どこかに行くだろうとユリが教えてくれた。

一番驚いたのが人口比率。
87人中、俺を含めて男性が10人しかいない。
そのうち4人は10歳以下。そのほかの5人は40歳以上で、10代は俺だけらしい。
一応、1月に1回は城塞都市タドコロに行くそうで、そこは男性が沢山いるらしい。
『女ヶ島かよ!』とひそかにツッコミをいれながら、
心の片隅に『ハーレムになるのかな?』的な思春期らしい想像もしてみた。

2階は農場と牧場。基本的ににここで作物を育てて食料を自給しているようだ。
『この広さだけで100人近い人々が食べれるのか?』とも思ったが、
実は作物がかなり品種改良されているらしく、発芽から刈り入れまでが大体1週間くらいらしい。
『早っ!』って言ったら、『大体そんなもんよ?』的な感じでユリにたしなめられた。
酪農も行われており、ミルクや牛豚鳥といった肉食も普通にあるようだ。

1階まで降りると浴場の使い方とかお金や売店についてなども教えてもらえた。
基本的には俺が暮らしていた感じと違いはないが、
紙幣が無くなって全て硬貨だけになっていたのには驚いた。
お金は斥候部隊や狩猟部隊に入ると手に入るらしく、
外に出て素材や食料を調達すればそれを売ってお金にする感じになるらしい。

ちなみに農業や酪農、調理といった作業は全て『マリオネット』と呼ばれる
人造人形が行ってくれており、一応食べることと寝ることには不自由しない感じだった。

「へ~~じゃあ普段はみんな何してるの?」

『まぁそうね~先生の授業受けたり、魔獣を少し狩ったり、リカント探したり、
まぁ基本的にまったりしてるかな。そこらへんも詳しく、明日先生に聞いたらいいよ。』

「そっか、分かった。」

それから、浴場に行ってとりあえず体や髪をあらっておいでってことで、
タオルやTシャツ風の布きれと綿パン、トランクス風の布を売店でもらった。
今日、この町に来たばかりという事もあり、最初は無料で支給してくれた。

トランクス風の布をもらった時に、『あっ下着もあるんだ。』とちょっと納得した。

浴場は基本的に混浴。というか男女別々にするとよりリソースがかかるらしく、
単純に好きな時に入って、好きな時に体を洗ってくれって感じだった。

遠慮なく浴場を使わせてもらった。
といっても簡単に体や髪を洗って、少しだけ湯船に浸からせてもらった。
俺が湯船でくつろいでいると、ユリが入ってきて、
『夕食の時間だよ~』と知らせてくれた。

洞窟の時もそうだったが、ユリにはもう俺の全裸を何度も見られている気がする。

お風呂から上がり支給された衣装に着替えて食堂へと向かう。
食堂に行くと大人から子供まで、このタカギにいる人たちが一堂に会して
食事をしているようだった。

俺は何となくユリに先導されてユリの横に座る。

綺麗な女性が俺の目の前に食事を運んできてくれた。

『あれがマリオネットよ。』
ユリは早速ご飯をパクつきながら教えてくれた。

っていうかほぼ人間と見分けがつかない。
ただ少し無表情というか、サパサパしているというか、
せっせと給仕をしてくれている。

<パン!パン!『はいちゅうも~く!』>

食堂の奥の方で手拍子と少し大人の男性の声が響き渡った。

『えーっと斥候部隊のユリが今日、リカントを1名救出してきてくれました。』

男性の声で、俺の横に座っていたユリがゆっくりと立ち上がると
みんなに向かって一礼していた。なんだか嬉しそうで笑顔だ。

<おぉおぉぉぉ!>

食堂に一瞬どよめきが起きる。
みんなからはよくやった!といった称賛のまなざしを向けられている。

『で!えーっとヤスト君だったかな?いるかい?』

前方の男性の声が聞こえた後、ユリに少し袖をつつかれる。
まぁ『立て』って合図なんだろうと思い、
その場で椅子から立って、みんなの方へ一礼した。
その様子を見たみんなからは。

<おぉ若いじゃん!男じゃん!ちゃんとしてるね~>
など俺に関する評価が漏れ聞こえてくる。

『おぉ君がヤスト君かな。ちょっと待ってね。』

見た目ちょっとがっしりしたオジサン風の男性が
俺たちの元にやってくる。
ゆっくりと俺を品定めしたかと思うと、ゆっくりと肩に手を置いた。

『初めまして、俺はカザン!斥候部隊の隊長をやっている。
 これからこのタカギの一員になるんだし、
 もしよければみんなに自己紹介してくれるかな?』

「あっはっはい。えーっと、スメラギヤスト。17歳です。」

<おぉ若いじゃん!何かひ弱そう。顔はまぁまぁかな>

挨拶するとまた俺の評価が漏れ聞こえてくる。
っていうか駄々洩れである。

『ははは、まぁ今日来たばかりという事もあり、
 まだ何かと分からないことばかりだろうけど、
 これから徐々に理解していけばいい。
 これからもよろしくね。』

カザンさんは少し大きな手を差し出してきたので、
俺はとりあえず握手しておいた。

我ながら場の雰囲気に流されやすい。

『それじゃあ、食事を続けようか!』

カザンさんの言葉で、周りはまた和やかな夕食風景に戻る。
とりあえず転校生の挨拶的な感じだったのだろう。

出された夕食は、野菜がたっぷり入ったスープとパン
あとはローストビーフ的な焼いた肉の薄切りが少々だった。
味としては悪くない。というか学食よりは少し豪華な気がした。
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