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第1章 初めての町(タカギ)
第4話 朝起きる時にキスされた件
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食堂での夕食を終えて、1階の廊下に出ると、
ユリはこれからお風呂に入るらしいので、
自室でゆっくり休んでおいてという事であった。
俺は食堂を出た後いろいろな人から、
『これからよろしくね!』と挨拶をされたが、
皆、まだ俺がどんな人間か分からず当たり障りのない感じで
接してくれていた。
<新しい学校に行った転校生ってこんな感じなんだろうな。>
と少し、まだ抜けきれない学生気分の妄想をしてしまった。
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3階に上がって、仕切られた居住スペースに向かう。
居住スペースは足元をほのかな明かりが照らしているが、
暗すぎず、明るすぎずといった感じの落ち着いたスペースになっている。
俺はユリに言われていた328号室の引き戸をゆっくりと開けると
そこにはちょうど人が一人寝れるようなベッドが1つと
ベッドと一体になったようなクローゼットが一つ。
部屋の奥にはクローゼットとつながった机らしき棚。
があるだけだった。
天井までの高さは3メートルもない。
でもなんだか落ち着けるスペースな感じがした。
しばらくまったりとベッドに横になっていると
お風呂から上がったユリが訪ねてきた。
『大丈夫?』
「えっう、うん。大丈夫だよ。まだ何が何だかよく分かっていないけど。」
『まぁゆっくり寝たら、少し頭も整理されると思うし。
明日は私が起こしに来るから、それまでは部屋でゆっくりしててね。』
「ああ、ありがとう。」
風呂上がりのユリはほのかに紅くなっていて、
綺麗に洗われた髪は、またちゃんと乾いていないのだろうけど、
最初に出会った時よりも何となく色っぽい艶をしていた。
とりあえず明日の朝の伝言を残して、ユリも自分の部屋へと戻っていった。
俺はしばらくベッドに横になり天井を見ていたが、
一度寝て、『起きたら学校』的な感じもあるだろうと想像していると
知らないうちに眠ってしまっていた。
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<コンコン!ヤスト!朝ご飯の時間だよ~>
扉をゆっくりと開けてユリが声をかけてきた。
俺はまだ眠っている。
というか何となく音と感覚で、ユリが入ってきたのは分かるが、
まだもう少し寝ていた気分というか、
あまり起こされ慣れてないというか、
そんな感じでベッドに横になったままだった。
『あらら、ヤストって朝は弱いのかな?、
ふふっ、まぁなんだかそんなところもかわいいけど。』
ユリは寝ている俺の傍で独り言をつぶやいたように感じた。
俺が寝ているベッドにユリが座ったかと思うと、
次の瞬間。唇に暖かくて柔らかな何かが押し当てられる感覚がした。
俺は何事かと目を開ける。目の前にはユリの顔。
うん。キスしている。
柔らかくてあったかいユリの唇。
凄くやさしい感触と、ユリから漂う石鹸のようなにおい。
それだけでもう一度眠れそうな感じ。
一瞬とろけかけたが、俺が目を開けたことに気づいたユリが
唇を離した。
『こうやって起こされる方が男の人ってうれしいのよね。』
少しはにかんだ感じで、ユリがニコッっと笑顔を向けてくれる。
はい。最高の目覚めです。惚れてまうやろ~ってやつです。
学生の時でもキスしたことはある。
当時付き合ってた彼女の家の前で、別れ際にファーストキスをした。
ファーストキスはレモンの味という感じでもなく、
一緒に食べたカラフル綿菓子の甘い味がしたのを覚えている。
なんとも甘酸っぱい記憶である。
セカンドキスがユリとは全く想像もしていなかったが、
こんな起こされ方なら、これからもずっとこっちに居たいと思う。
「おっおはよう。起こしてくれたんだ、ありがとう。」
平静を装い、何故だかまずお礼を述べてしまった。
まぁ着替える洋服もないので、昨日の衣装のまま1階の洗面所へと案内される。
顔を洗って、口をゆすぐけど、何となくさっきのキスの感触がもったいなくて
軽くゆすぐだけにした。
歯ブラシのようなものはないらしく、皆うがいだけのようだ。
1階ですれ違う人々が、『おはよ~』と挨拶してくれる。
横を歩くユリもみんなに挨拶しながら食堂へと向かう。
朝食はみんなバラバラのようだ。
夕食のようにみんなで集まって一堂にというわけでなく、
夜勤の人も、日勤の人もそれぞれバラバラに食事を取るみたいだ。
席に座ると、マリオネットが給仕をしてくれる。
朝食はスープとパンとベーコンエッグのような感じの軽い食事。
一応お好みでミルクがつけれるとのことで頼むと
ホットミルクが出ていたので、目覚めたばかりの体が
ほのかに暖かくなるのを感じた。
朝食を食べ終わると、ユリは斥候部隊の朝のミーティングがあるらしく、
俺は先生の部屋に向かってくれとの伝言を受けた。
食堂の前でユリと分かれ、俺は3階の執務室とやらに向かった。
<コンコン!おはようございますヤストです。>
<あいてるよ~>
ノックして朝の挨拶をすると、シズネ先生の声が聞こえたので
ゆっくりと引き戸を開けて部屋に入った。
『おはようさん。』
「おはようございます。」
『うんうん。昨日の挨拶といい、なかなかしっかりしているね。
それじゃあ今日はいまの現実世界についての話を色々知ってもらうんだけど、
まぁ何を聞いたらいいかすら分からないだろうから、
まずはこれから見てもらおうかね~』
先生はゆっくりと席を立つと、近くにあった書棚のようなところから
木箱を取り出し、俺の元にやってきた。
ゆっくりと案内され、執務室の片隅に座らされると、
木箱からは、なんだかアイマスクの付いたヘッドセットのような、
いかにもVR体験できそうな物が出てきた。
それを俺の頭に装着すると、先生は何やらつぶやき、
ヘッドセットをかけられた俺はフっと別の空間に入ったような感じで
歴史の回想のような物語が勝手にスタートした。
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