現実だと思っていたら、異世界だった件

ながれ

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第3章 世界巡り

第59話 テシマで街ブラした件

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これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

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結局昨日は1日中ハウスの中で過ごした。

元々は特に引きこもりだとは自分では思っていなかったのだけど、
正直外に出たいとは思わなかったし、まぁそれなりにやりたいこともあったので、
結果的にほとんどハウスから出なかった。

そんな半引きこもりに俺が今テシマの街を歩いている。

パートナーのアキコさんとミハルさんが、
「ヤスト君~明日は一緒に洋服でも買いに行こう!」
と昨夜約束させられたからだ。

ヨシノと同じようにしっかりと区画整理されているのだろうが、ここの道幅はさらに広い。

建物も2階建てや3階建ての建物も多く、見るからに教会風の建物や、
"冒険者ギルド"と書かれた如何にもファンタージ―風の建物があったりする。

ここでも普通にガラスがあるようで、洋服屋さんなどにはしっかりとしたショウウィンドウが設置されている。
今はちょうど秋口らしく、これから少しづつ寒くなるようで、木組みの人形にはハーフコートのようなものがかけられている。

『コシノ!ニューモデル!』とかかれた札の横には、普段使いが難しそうな服がかけれれている。

ここに書いてある"コシノ"とは移動都市コシノの事らしく、そこでの縫製品は品質がよく、色々なデザインの洋服を作成しているらしい。

「いくら素材があったとしてもこういったデザインは感覚の問題だね。」
横ではミハルさんがニューブランドの服を色々と見て回っているようだ。

タカギのメンバーは基本的に1年に1度、このテシマに訪れるらしく、その工程が大体秋ごろ、
だから去年と今年の違いが分かるらしい。

「折角お金もあることだし、明日まではいるんだから、服を作っちゃおうよ!」
アキコさんはオーダーメイドの服がお好みらしい。
俺たちのような移動都市のメンバーは滞在期間はそれほど長くないので、
基本的には採寸した翌日までにお急ぎで仕上げてもらうものらしい。

1件の洋服店に入る。
『ディノール』と書かれた看板にはいかにもブランド品っぽく書かれている。
これも先ほどの"コシノ"と同じく、移動都市ディノールのデザインショップらしい。

店員の女性が色々と採寸してくれる。
細かい事は分からないので、アキコさんとミハルさんにお任せした。
当然、アキコさんとミハルさんも採寸してもらい縫製をお願いした。
俺は普段使いのスーツと礼服っぽいスーツの2着を明日夕方受け取りで注文した。

そのあと、もしかしてと思ったら『タカギ』というお店もあった。
そこにはいろいろな革靴や皮のカバンが置いてあった。
もちろん移動都市タカギのアンテナショップだ。

「おうミハルじゃないか!元気にしてたか?」

「あっウミさん!今年も1足お願いに来ました~。」

こちらのウミさんは元タカギ出身。革細工の名工らしく、タカギの代表としてここで革製品のお店を任されているそうだ。

「シズネさん亡くなったって本当?」

「はい。先日デリカ解放戦線の襲撃に遭いまして・・・」

「そう。・・・」

やはりウミさんとしてもシズネさんのことはショックなんだろう。
少し暗いムードになってしまうのは仕方ない。

「そういえば昨日サエが来てたけど、なんでも遊撃隊ができたんだって?」

「はい。私達がその遊撃隊です。本体は明日夜くらいに到着すると思います。」

「おいおい、いつもよりかなり早くないか?まだ半月以上先だと思っていたんだが・・・」

ウミさんが言うには、革細工は服のように今日明日では作れないらしく、あらかじめ何人かに専用の靴屋小物を作って用意することが必要らしい。

昨日、シズネさんの訃報を聞いて、前もって作っておいたシズネさん用のサンダルを寂しそうに見つめていた。

ミハルさんがウミさんと話し込んでいる間、俺は色々な革製品を物色していた。

「おっ君が新しく入ったヤスト君かい?私はウミっていうの、一応テシマのタカギを任されているわ。よろしくね!」

少し離れたところで、俺に気づいて挨拶してくれた。

アキコさんは腰に付けるポーチのようなバックを物色していたが、ウミさんの声に反応して俺を引き合わせてくれた。

「どうも、ヤストです。よろしくお願いします。」

すごく気さくな雰囲気のウミさんにつられて俺も少し砕けた挨拶をしてしまった。

「せっかく来たんだしちょっとサイズ測らせてもらうね。」

ウミさんはおもむろに俺の足にメジャーのような紐?を当ててサイズを測りだした。
先ほどの服屋とは違い、左右を色々は測ってから、近くに売り物として陳列されていた靴を一つ選び出していた。

それから、今のタカギの事や今後革製品以外にも商品が増える事とか色々雑談をしながら、
何やら先ほどの靴を木槌のようなもので調整してくれていた。

しばらくして、
「はい。これがヤスト君用の靴ね。お代はタカギからもらうから大丈夫だよ。」
といって1足の革靴を俺に差し出してくれた。

その場で履いてみると、驚くほどぴったりで、足と一体化したみたいに動きやすい靴になっていた。

「なんかほしいデザインとかあったら言ってね。来年来るときには作っておくから。」
ウミさんはすごく明るい笑顔で、もう来年の話をしていた。

「あっじゃあちょっと頼みたい物があります!」
あまりの靴の良さについ、いきなりお願い事が浮かんでしまった。

「どんな奴?」
それからウミさんに紐を使う靴をお願いした。
こちらの世界にもブーツなどはあるのだが基本的に履いて馴染ませるタイプの既製品が多い。
もちろんこうしてオーダーメイドできればいいのだろうけど、さすがに毎回は難しい。

というわけで、ある程度締め付けを調整できる紐靴のことを話してみた。

元居た世界では普段スニーカーばかりだったので、俺が、紐を結ぶ靴が欲しかった。

「へ~あんた面白いね~。そんなデザインの靴今はないよ~。」
「これならブーツ系も調節可能になりますね~」
「外出中に紐が切れないように革ひもの方がいいんじゃないか?」

いつの間にかミハルさんやアキコさんも一緒に新しい靴をデザインしていた。

最後にもう1足、くるぶしより少し上くらいまでのブーツを調整してもらい、
店の外に出ると既にお昼ちかくになっていた。
結局1時間半くらいタカギのアンテナショップに居たようだ。

ランチを食べるために一度ハウスに戻る。

みんな自由に過ごしながら、なぜだかご飯はみんなで食べる習慣が自然とついていった。

「ヤスト~午後は私たちとも回りましょうよ~」という事で、ユリ、アヤメさん、シズカさんと回ることになった。

ランチを食べながら、マリさんから合流後の予定を聞くと、
俺たちはこのあと北アメリカ大陸側に移動することになっていた。

そこで午後からはユーラシア大陸側のアンテナショップをめぐることにした。

本来なら、本体が北アメリカ大陸側に行くのだが、今回、色々なことがありすぎるので、
本体は一度王都に向かうためにユーラシア大陸側に行くらしい。

そこで、本体の代わりに俺ら遊撃隊が色々な物資を届けるという事になったようだ。
まぁ転送の魔法陣もあるので、物資輸送に関しては何の問題もない。

リングとの念話をしながら、午後の予定を話していると、閃いた。
「折角アンテナショップがあるなら、倉庫に転送の魔法陣置かせてもらっておけば便利じゃない?」
って思ってしまったのだ。

ウミさんは生産職なので、魔力が足りず遠距離魔道通信はムリだとは思う。
しかし、スパさんに超高純度魔石を作ってもらい、それを汎用躯体に入れておけば、
ドロイドの魔力で遠距離魔道通信が可能という結論にもなった。

さすがにリングさんと同じ、魔水晶型ドロイドは何があるか分からないのでやめておいた。

リングを通して、マイコさんとも話し、ウミさんのタカギにドロイドを置く件と
遠距離魔道通信機と転送の魔法陣の件も了承してもらった。

マリさんにウミさん用ドロイドの準備をお願いし、街ブラのついででウミさんの店によって
サポート用のマリオネットを1体持ってくることを告げて、ついでに髪の毛を少しいただいた。

マイコさんは既に、「タカギに行けば何でも揃う!」というドン〇ホーテ的な構想を巡らせているようだ。
ちなみに今は、15の城塞都市のうち4つにこういったタカギのお店があるらしい。

なんかすごい野望を企てているようで、ちょっと怖い。
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