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死亡フラグ一覧表
しおりを挟むウッ、眩しい。本日2度目の発光にまたもや目をくらます。なんなんだ、なんでそんなに光るものが多いんだ。いい加減私の目が死ぬからやめて欲しい。
「な、何があった...?」
電気はいいとして、この本まで光られてはたまったもんじゃない。この煌びやかな部屋でさえ眩しいのに。なんだかイラっときて目をこすり強引に目を開ける。思わず手を離してしまったからだろう、閉じてしまったの本の表紙を見て何か違和感を覚える。あれ、なんかさっきと違う。
『イヴ・アルマベールの生涯』
表紙には、先程とは違い赤いドロっとした字でタイトルが書かれていた。なんだろうこれ、まるで血みたいな...
怖いとは思うものの、恐怖よりも好奇心の方が勝った。なんだか、これを読まないといけない気がする。そんな使命感に駆られ、私は思わず日記のページをめくった。
ーーーーーーーー好奇心は猫を殺す。この選択が後々私を振り回す事も知らずに。
* * *
『私の死因』
不気味な言葉に思わず一歩引く。相変わらずドロっとした血のように赤い文字が、そのページには綴られていた。私の、死因?意味が分からない。イヴは死んでいたのだろうか?訳が分からなくなって、ページをもう一枚めくった。
ウィリアム・マチェスリー (16)
死因:銃殺
公爵家の息子。
自分の計画の邪魔になるだろうと判断され、恐らく殺された。致命傷は、頭部を撃ち抜かれた事による失血だと思われる。
レナード・フランシス(17)
死因:刺殺
侯爵家の息子。
魔女と言われる私をよく思わない王族からの命令で、背後から恐らく心臓を一突き。相当の手慣れだと思われる。
シャロン・ビュート(15)
死因:毒殺
男爵家の息子。私の婚約者であり、私を金の為殺した相手でもある。死因は何かしらの即効性の毒によるものと思われ、紅茶に入れられていたと考えられる。
フラン・アルマベール(18)
死因:絞殺
私の家の後継としてやってきた、伯爵家の息子。本名は分からず。死因は首を絞められた事による絞殺。私がいなかった間に両親から言われた事により精神が不安定になっていき、殺害に至ったと考えられる。
フェリックス・ウィルキー(14)
死因:堕殺
私の家の薬剤師の弟子。
平民で、知能が高く美形、私の初恋の相手でもある。死因は二階のバルコニーからの転落による頭部の強打。長年の恨みがフェリックスの弟の死により、私に向けられたと考えられる。
レイモンド・フォー(20)
死因:斬首
私の家で雇っていた探偵の甥。
平民でよく家に来ていたが、いつも必ず不機嫌であった。死因はお父様の行なっていた犯罪を暴かれた事による死刑判決。断頭台で首を切り落とされた事である。私のせいで探偵さんが逮捕されその後死亡した事による恨みではないか、と思われる。
冷静な言葉とは裏腹に、書き殴ったような赤い字が一枚のページにぎっしりと綴られていた。書かれている人物は六人。恐らく私が殺すと予言された人物であろう。
......なんだこれ。
いや、何が書かれているか、理解はできる。理解はできるが、これが私の事なのかと思うと実感が湧かなかった。というか、イヴは、なんでこんなに死んでるんだろう。あれかな、ゲームでよくあるセーブして死んだら戻る、みたいな事を繰り返していたのだろうか。それにしても疑問が残る。何故この情報を残す必要があったのだろう。いや、私としては物凄く助かるけれど。あと、この数字は何なのだろうか、もしかしてイヴが死んだ時のこの人達の年齢とか?
そんな疑問に頭を悩ませながらもう一度読み返していると、ふとある事に気づいた。
......あれ、レイモンド・フォーって聞いたことあるぞ。それにフェリックス・ウィルキーってのも。人の名前を覚えるのが苦手な私だが、流石に生死が関わってくるとなると脳も機能し始めるらしい。くそう、そういうのは単語テストとかで機能して欲しかった。
思わず文字をなぞりながら読む。すると、頭の中に人物の顔が流れ込んできた。
...間違いねぇ。さっきの超不機嫌野郎とひ弱ナイーブ小僧だ。え、あの二人に殺されるのか、しかも主に私が何かしたせいでしっぺ返し食らってる死因だし。
ていうかアラフィフ叔父さん逮捕されちゃうのか......私のせいで。何したんだよ!私。細かい所まで書いとけよ!フラグ防ぎようがないだろ!しかも、さっき会ったフェ、フェリ...フィリップだっけ?あ、もう覚えてないや。長年の恨みってことは今も私が想像してた通り嫌われてるんじゃ...。しかも初恋相手...あー、見えるぞ見える。あれだ、後々怒りが爆発するか、なんかやらかして怒りが爆発するかのどちらかのパターンじゃないですか。ワー、逃げ道ナイ。
それにワガママお嬢様に惚れられて幸せになった攻略対象キャラは見たことが無い。えー、未だにこの身体の持ち主のイヴがワガママだって信じたくないんですが...
いや、だけど殺人は殺人だ。私がどんな酷い事をしたか詳しくは知らないが、殺そうとしてくる奴に情けなんてかける余裕は私には無い。これからはこの人達に対しては常時敵対体制だな。
...え、ちょっと待って。えぇ、あの不機嫌野郎これから家に来るよ。ひ弱ナイーブ小僧とかこの家に住んでるみたいだし、もう1人に限っては義とはいえ兄弟だし。え、私3人も自分を殺そうとしている人と毎日を過ごさないといけないのか。同じ屋根の下だよ、まじか。
顔をしかめながらページを更にめくっていく。そこには先月辺りの一ヶ月位の生活が30ページに渡り書いてあった。さて、眠いが此処での攻略法を見つける為とりあえず読んでみるか。幸い書いてるのは6歳児ではなさそうだし。
ーーーーーーーー結論から言おう。この身体の持ち主、イヴ・アルマベールは重度のツンデレ令嬢だった。
うん、ワガママじゃなかっただけ良かったと言って良いのか、悪いのか。
いや、だってさ、書いてある事と行動が真逆なんだもん。その薬師の弟子が好きになってイヴがアタックしようと弟子を世話係に任命するじゃん?何とか会話しようとするじゃん?すると出てくるのは素晴らしいツンデレっぷりを発揮させた、言いたい事とは真逆の言葉達だった。
「お話ししましょう」と言おうとすれば、
「貴方みたいなのと話すなんて耳が溶けますわ、喋らないで下さいまし(貴方みたいなステキな方と話すなんて恥ずかしいから一旦口を閉じて下さい、耳が幸せすぎて溶けてしまいます)」
とか。「お茶しませんか?」と聞こうとすると、
「平民はお茶の仕方も分からないものね?入れて差し上げても宜しくてよ(私は貴族で平民のお茶の仕方は知りませんが、もし作法が違っていても宜しければ、お茶しませんか?)」
と話声だけ聞けば誤解を招くような発言ばかりしていたのだ。うーん、カッコ内だけ見れば本当にただのいい子なんだけどなぁ。すごく残念である。ちなみに私はツンデレ属性には弱いので、いつでもウェルカムだ。胸に飛び込まれる準備はいつでも出来ている。ついでに「抱きしめてあげてもよろしくてよ?」って照れながら呟いてくれたら最高。あ、ごめんなさい、自分の世界に浸りすぎた。
とまぁ、こんな感じだがカッコ内のことは相手には伝わっていないわけで...相手からすれば毎日嫌でも顔を合わせなきゃならず、挙句の果てに罵倒してくる超嫌味な女だからね。そりゃあ、さっき謝った時あんなに驚いてたわけだ。話した時もビクビクしてたしね。
恐らく超不機嫌野郎の事もこのツンデレが難を祟ったのであろう。もしかしたら何か事情があるのかもしれないし。
あとの問題は、あの義兄、義兄さまだ。この人については覚えがある。恐らくあのエントランスにいた、麻色の髪の少年だろう。しかしこの人に至っては時間が無い。書かれている事が本当であれば、私がいなくなっていた間、そう、この1週間の間に両親に色々言われて精神が不安定になってる筈である。これは不味い、心の病はそう簡単には治らないからね、このままじゃ死亡フラグ真っ直進だね!というかなんで私なんだ!今回は私何もしてないだろ!
まあ、しかし、だ。私を殺すという事は何かしらまた私に非があるのだろう。...くそう、このツンデレ令嬢、想像以上に厄介かもしれない。
...この世界に精神安定剤とかないかな。そしたら一発で解決なんだけどな。
色々な入ってくる情報に頭を悩ませる。うー、私頭使うの得意じゃないんだよ。テストだって、何回赤点取ったと思ってるんだ。ああー自動考察機が欲しい。探偵でもなんでもいいからこれからどうするか教えて欲しい。
とりあえず、だ。今はこの3人だけそうだし残りの3人の事は暫く忘れよう。明日にはきっと超不機嫌やろ...レイモンドさんも来るだろうし、義兄の事も何とかしなくてはいけないし。名前...なんだっけ?ふ、フリン?いやダメだ縁起悪い。ふ、フ、あ、フランだ。フランの精神安定プランを考えないといけないし。ひ弱ナイーブ小ぞ...フィリップさんからの敵対心もどうにかしなくてはいけない。
あとこの日記帳、未完成のようで、30ページ書かれたもの以外、あとのページが所々血のような物がべったり張り付いて読めなくなっていたり、真っ白だったりしていたのだ。いや未完成なのは当たり前なのだけど、これ、何かある気がする。
最後はあのイヴを金の為殺した...し、しし、シャロン!シャロンさんにあったところで終わっていた。また、一ヶ月後合おうと、誘われているのだという。今日が何日か分からないから断定のしようがないが、ここ一、二週間の間だろう。金の為婚約者殺す相手だぜ?いくらイヴがツンデレ令嬢だったからと言って、流石に酷い仕打ちだ。破棄しちまえそんなもん!とか思ったが、貴族の世界って結構ドロドロ何だよな。本に載ってた。ここでの問題はどうやったら婚約を破棄できるか、いや、まず身近に近づける間がらじゃなくなる事だな。
それに、池に書いてあった、六人を救え、というのも気になるし、その事について一切書かれていなかったのだ。あと有力な情報が書かれていない、せめて何をやらかしたのかとか攻略法位載っけといて欲しかった。
...どうしよう、火で炙ってみるか?
そんな事を考えていると、ふと睡魔が襲ってくる。...眠いな。この本を開いてから妙に疲れた気がする。うつらうつら、視界がぼやけていく。...あぁ、このまま夢だったらな。
「お嬢様!お風呂の用意が出来ましたよ!」
...ああ、うん、夢じゃないんだね、よーくわかったよ!有り難いけど寝たかった!
日記帳を机の上に置き、メイドさんであろう人についていく。それはともかく、私まだ夜ご飯食べてないや。
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