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吸血鬼
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「おい吸血鬼!ビール取ってこいよ!」
そう人間が十字架とニンニクをちらつかせながら言う。それに怯えた吸血鬼が言われた通りにビールを取ってくる。
3年ほど前からだろうか。人間と吸血鬼の力関係が大きく変わったのは。
きっかけは5年前に起きた事件だ。
吸血鬼の始祖が死んだのだ。
本来ならば吸血鬼の始祖は死なない。
人間が殺す方法は対立を一つ破壊できるレベルの光魔法で浄化することのみ。
しかし人間はそれほどの力を手に入れる事はできない。
人類が倒すことはほぼ不可能だ。
つまり吸血鬼が殺したということだ。
しかし吸血鬼は直系で自分より上位の吸血鬼に逆らうことはできない上に光魔法は使えない。
ならば始祖を殺すことは不可能であるように見える。
ここで吸血鬼が死ぬもう一つの条件が鍵となる。
自分が直接生み出した吸血鬼に殺させることである。
命令を受けた吸血鬼が銀のナイフで心臓を貫くことで殺すことができる。
人間はこの二つ目の条件を知らない。そのため人間達は人間が吸血鬼の始祖を倒したと思い込んでいる。
しかし始祖が居なくても吸血鬼側が強い。始祖の生み出した吸血鬼に勝てる人間はいまだに存在していない。
ならば何故こうなっているのか。
始祖が死んだことにより吸血鬼に弱点が生まれたのだ。
それがニンニクと十字架である。
しばらくは見つからずにやり過ごせていたのだが、とあるきっかけにより弱点が露出。それにより力関係が逆転して今の状況に至る。
始祖はこのことを知っていた。そしてその子も知っている。
分かっていて始祖は死に、殺した吸血鬼は分かった上で殺している。
何故そんなことをやらかしたのだと憤りを隠せない吸血鬼も多い。
貴族のような振る舞いをしていた吸血鬼からするとその立場を追われるのは辛いのもよく分かる。
だからこそ。
「ちょっとそこの人間。吸血鬼をパシリに使うのはやめて貰えないかな」
「あ?お前も吸血鬼か?お前らの弱点は分かってるんだよ。等しく人間様の配下だよお前らは!」
「ニンニクと十字架かい?私にはそんなものは効かないよ」
「こいつらが効かないって本当かよ!?逃げるぞ!!」
仲間と共に人間は去っていった。
「ありがとうございます。助けていただいて⋯⋯」
「別に構わないよ。それよりちょっと良いかな」
私は虐げられていた吸血鬼の首筋に噛み付いた。
「吸血鬼同士で血を吸っても意味はありませんよ?」
困惑した表情で私を見る。
「分かってるよ。これはおまじないみたいなものだ。人間に虐げられることなく対等な立場でいられるためのね」
私はそう言い残しこの場を去った。
あの場ではおまじないと言ったが当然ながらそんなわけではない。
始祖を入れ替える儀式だ。
そう人間が十字架とニンニクをちらつかせながら言う。それに怯えた吸血鬼が言われた通りにビールを取ってくる。
3年ほど前からだろうか。人間と吸血鬼の力関係が大きく変わったのは。
きっかけは5年前に起きた事件だ。
吸血鬼の始祖が死んだのだ。
本来ならば吸血鬼の始祖は死なない。
人間が殺す方法は対立を一つ破壊できるレベルの光魔法で浄化することのみ。
しかし人間はそれほどの力を手に入れる事はできない。
人類が倒すことはほぼ不可能だ。
つまり吸血鬼が殺したということだ。
しかし吸血鬼は直系で自分より上位の吸血鬼に逆らうことはできない上に光魔法は使えない。
ならば始祖を殺すことは不可能であるように見える。
ここで吸血鬼が死ぬもう一つの条件が鍵となる。
自分が直接生み出した吸血鬼に殺させることである。
命令を受けた吸血鬼が銀のナイフで心臓を貫くことで殺すことができる。
人間はこの二つ目の条件を知らない。そのため人間達は人間が吸血鬼の始祖を倒したと思い込んでいる。
しかし始祖が居なくても吸血鬼側が強い。始祖の生み出した吸血鬼に勝てる人間はいまだに存在していない。
ならば何故こうなっているのか。
始祖が死んだことにより吸血鬼に弱点が生まれたのだ。
それがニンニクと十字架である。
しばらくは見つからずにやり過ごせていたのだが、とあるきっかけにより弱点が露出。それにより力関係が逆転して今の状況に至る。
始祖はこのことを知っていた。そしてその子も知っている。
分かっていて始祖は死に、殺した吸血鬼は分かった上で殺している。
何故そんなことをやらかしたのだと憤りを隠せない吸血鬼も多い。
貴族のような振る舞いをしていた吸血鬼からするとその立場を追われるのは辛いのもよく分かる。
だからこそ。
「ちょっとそこの人間。吸血鬼をパシリに使うのはやめて貰えないかな」
「あ?お前も吸血鬼か?お前らの弱点は分かってるんだよ。等しく人間様の配下だよお前らは!」
「ニンニクと十字架かい?私にはそんなものは効かないよ」
「こいつらが効かないって本当かよ!?逃げるぞ!!」
仲間と共に人間は去っていった。
「ありがとうございます。助けていただいて⋯⋯」
「別に構わないよ。それよりちょっと良いかな」
私は虐げられていた吸血鬼の首筋に噛み付いた。
「吸血鬼同士で血を吸っても意味はありませんよ?」
困惑した表情で私を見る。
「分かってるよ。これはおまじないみたいなものだ。人間に虐げられることなく対等な立場でいられるためのね」
私はそう言い残しこの場を去った。
あの場ではおまじないと言ったが当然ながらそんなわけではない。
始祖を入れ替える儀式だ。
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